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ベリタス、同社の今後の戦略について発表----SAN対応製品に注力

1998年11月06日 00時00分更新

文● 報道局 小林久

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 ベリタス・ジャパン(株)は、5日、同社の今後の戦略を説明する記者発表会を開催した。本社の米ベリタス・ソフトウェア社は、10月5日(現地時間)、米シーゲイト・ソフトウェア社のネットワークおよびストレージ管理グループ(NSMG)部門を買収している。今回の記者会見では米本社CE0のMark Leslie(マーク・レスリー)氏が出席し、今回の合併によって生じる新生ベリタスについて説明した。また、ベリタス・ジャパンの代表取締役社長である宮脇正行氏は、今後同社の製品戦略が“SAN”を中心に据えたものとなると発表した。

米ベリタス・ソフトウェア社のCEO、マーク・レスリー氏米ベリタス・ソフトウェア社のCEO、マーク・レスリー氏



 レスリー氏は、「ベリタスはWindows NT向けの、シーゲイト・ソフトウェアは、エンタープライズ向けの市場の強さが欲しかった。今回の合併によってお互いの欠けている分野を補完することができた」と今回の合併による両社のメリットを強調した。一方同氏は「従来ストレージ・マネージメント・ソフトの分野ではUNIX向けとWindows NT向けが完全に切り離されており、競合してこなかった。しかし、企業では複数のプラットフォームの混在する環境が普通で、今後2つの領域が統合するのは必至である」と指摘し、両分野でトップシェアを誇る両社が合併することで、他社に先駆けて両プラットフォームの統合を図った同社の強みを強調した。

 一方、日本向けの戦略に関して宮脇氏は「今後、すべての製品をSAN対応にし、ストレージセントリックなコンピューティングに基づいた戦略を積極的に展開していく」と述べた。“SAN(Storage Area Networking)”は、ネットワーク構築のための基本概念。LAN環境でのクライアント・サーバーの図式をストレージデバイス中心に置き換えたもの。

ベリタス・ジャパン代表取締役社長の宮脇正行氏ベリタス・ジャパン代表取締役社長の宮脇正行氏



 共有されたストレージデバイスネットワークには複数のクラスターサーバーが接続し、クライアントは同サーバーを通じデータにアクセスできる。クライアント・サーバーの環境とは異なり、データは個々のサーバーに蓄えられないため、1つのサーバーがクラッシュしても、他のサーバーを通じてストレージデバイスにアクセスすることができ、システムの信頼性を高めることが可能になるという。

 

従来のクライアント・サーバーシステム(左)とSANシステム。クライアント・サーバーシステムでは各ストレージデバイスの管理が1台のサーバーに依存するのに対し、SANシステムでは、ストレージデバイスは、ストレージネットワークとして共有化され、複数のサーバーからデータにアクセスすることができる。従来のクライアント・サーバーシステム(左)とSANシステム。クライアント・サーバーシステムでは各ストレージデバイスの管理が1台のサーバーに依存するのに対し、SANシステムでは、ストレージデバイスは、ストレージネットワークとして共有化され、複数のサーバーからデータにアクセスすることができる。



 今回、宮脇氏は同日に日本での提供が始まった新製品『VERITAS Cluster Server』を紹介した。同ソフトは、ストレージデバイスを中心とした高可用性(High Availability)を提供する1つの選択肢となるもので、各ノード上で個々に実行されるアプリケーションのいずれか1つがクラッシュしても、その処理を他のノードに引き継ぎ、処理の実行を継続することが可能。従来のクラスター・サーバーの多くでは、1つのアプリケーションを複数のアプリケーションでサポートする1対複数の方式が大半だったが、同ソフトでは、複数のサーバー上で動作する各アプリケーションのいずれかがクラッシュした場合、他のサーバーがそれを引き継ぐ、複数対複数の方式にも対応している。なお、対応するノード数は最大で32となっている。

 宮脇氏は「今後、クライアント・サーバーがもたらしたのと同じくらいのブレイクスルーがSANによってもたらされる」と語ったほか、同氏は記者会見の最後の質疑応答で「データ、デバイス、クラスター共有と3つのフェーズで段階を踏みつつ、2000年以降には、Windows NTやUNIXなど、異なったプラットフォームでのデバイス共有に備えたい」と同社の製品開発のロードマップに関してもコメントした。

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