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東京は百貨店、関西は専門店を目指せ--国際シンポジウム“デジタル革命”開催

1998年10月28日 00時00分更新

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 国際シンポジウム“デジタル革命~デジタル革命が日本を再生する~”が、26日、大阪商工会議所・国際会議ホールで開催された。



 シンポジウム前半の基調講演については、この記事の末尾で触れる。

「“情報の臨場感”に期待する」

 後半のパネルディスカッションでは、いずれも地元関西のデジタル市場で活躍する人たちをパネリストに迎え、多方向からさまざまな意見を交換した。

 関西電力副社長の宮本一氏は、インフラおよび産業の視点から、NTTコミュニケーション科学研究所長の東倉洋一氏は、ハードおよび技術研究の視点から、奈良先端科学技術大学院大学助教授の山口英氏は、ソフトおよびユーザーの視点から、それぞれの意見を語った。それらをコーディネーター役の関口和一氏がまとめるというスタイルで進行する中、話題は“ソフトウェアと人間性の問題”、“インフラの整備”へと徐々に絞り込まれていった。

パネリスト 右から宮本氏、東倉氏、山口氏、関口氏
パネリスト 右から宮本氏、東倉氏、山口氏、関口氏



 奈良先端大の山口氏は、3年間にわたって続けている“サイバー関西プロジェクト”の経験を通じて、「今後のデジタル技術、特にインターネットのユーザー層は、定年後の高齢者、子供、女性へと拡がっていくだろう」と語った。「インターネットを使うという意味でいえば日本は世界で2位だが、1位のアメリカと約5倍の格差がある。インフラが整備されて、インターネットがTVなどと融合すれば、デジタル端末が家電製品のように家庭内で当たり前に使われるようになる。産業、引いては市場と技術をも牽引する要素となる」

 この山口氏の話を受けたのが宮本氏。氏は、以前に専用回線サービスを提供する大阪メディアポートの社長を務め、現在はCATVでインターネットをサービス提供する会社(関西マルチメディア協議会)の社長に就任する。その経験を踏まえ、インフラ整備という立場から、「電話会社もCATVのようなコンペティターの登場ではじめて競争が生まれ、価格や技術で使い手に喜ばれるものを提供できる。また、こうした前倒しの情報投資が市場を支えることにもなる」と語った。

 一方、NTTの東倉氏は技術の視点からデジタル革命に“モバイル技術”と“情報の臨場感”を期待するという。「情報は今や、“いつでも、どこでも、なんでも”というニーズに変わりつつある。そうしたニーズを満たすにはモバイル技術が必須。また、コンテンツとしては、個性があり、五感に訴える臨場感が伴ったものが求められる。サービスの価値を生み出すことが、技術と市場拡大につながるのでは」と展望した。

 最後に関西市場に対する期待として、情報と文化の多様性に恵まれた土地柄を活かし、さまざまな業界の交流から世界にも通用する個性を生み出すこと、とまとめられた。宮本氏が語った「東京は百貨店。関西は専門店を目指すべき」という言葉が、まさしくこれからの関西の在り方を象徴している。

「ソフトウェア技術の革命を待つ」

 講演では、まず地元関西から松下電器産業(株)社長の森下洋一氏が、デジタル技術と放送の融合の可能性について語った。同社がビジネスパートナーを務める米ディレクTV社からは、ビル・カモサ副社長が来日。森下社長に続いて、デジタル衛星放送の今後の戦略について語った。

 前半の基調講演の中で森下氏は「革命的な技術が待ち望まれているが、それはハードウェアだけでなくソフトウェア方面にも期待されている」と語ったが、両方向へのバランスの良い取り組みが、本当の意味での“デジタル革命”」につながっていくといえそうだ。

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