(財)データベース振興センター(DPC)と日本データベース協会(DINA)が主催する、日本最大規模のデータベース総合展“DATABASE
'98 TOKYO”が東京国際フォーラムで21日に開幕した。
初日は、10周年記念セミナーの“データベース国際フォーラム”において、英Dialog社のDan
Wagner社長など3人が講演を行なった。“オンライン情報産業の将来展望~挑戦と成功の機会~”と題されたWagner氏の講演では、今後データベースがスキルの浅いエンドユーザーにも利用されていくようになること、氾濫する情報の中からよりバリューの高い情報を選別し効率的に利用する“ナリッジ・マネージメント”が重要になると述べた。
Wagner氏は、今後は、データベースの検索において高いスキルを有する専門的なユーザーよりも、むしろ経営戦略の決定手段として情報を利用するエンドユーザーのニーズが爆発的に増えると語った。オンラインデータベースにおいては、株価や決算情報などデータとしての価値が低いものから、市場調査や特許調査など価値の高いデータまでを豊富に備え、かつ使いやすいインターフェースでそれを利用できることが鍵になると語った。
一方、データベースをより活用していくためには、速くて正確、かつ効率の良い活用が求められる。インターネット上には情報が氾濫し、有効な情報を見つけにくい。そのため、“インターネット・ナリッジ・マネージメント”(インターネット上での知識管理)が必要になると主張。インターネット・ナリッジ・マネージメントとは、適切な情報を効率的に入手し、共有するための仕組み。適切な情報への迅速なアクセス、常に新しい情報が配信されるサービス、関連項目への豊富なリンクなどがその中に含まれている。
同氏は、イントラネットが多くの企業で整備されている現状を例に引きながら、その中に流す情報がなければそれは“Emptynet”(空っぽのネットワーク)になってしまうと述べた。講演を通じて一貫して強調されたのは、データベースの価値が、その中に含まれるデータの量と質だけではなく、コンテンツに素早くアクセスし、効率的に共有するという技術的な問題に移っているということだった。
英Dialog社Dan Wagner社長 |
一方、展示会場では、(株)ジー・サーチや(株)日本経済新聞など55団体が出展する“総合ゾーン”、(株)ジャストシステムや松下電器産業(株)など24団体が出展する“データベースシステム構築ゾーン”など4つのゾーンに分かれ、110の団体がブースを出展した。展示の中心はやはり各種のデータベースソフト。多くのデータベースがWebブラウザー対応や、テキストベースの検索ソフトを利用していたためか、会場内の展示は比較的地味なものだった。
今回、目立ったのは、インターネットを通じた情報検索・情報提供サービス。(株)ジャストシステムは、同社の『ConceptBase
Search1000』を利用したニュース検索サービス『NewsTrek』を展示していた。(株)朝日新聞社は、画像検索サービス『PhotoASK』を参考出品。同社の所有する画像のなかで、明治時代から'95年までに渡って撮影された写真から9万点をデジタル化しており、今秋中には社内テストを始める予定。来年春までに一般向けの公開を開始したいとしている。なお、同種のサービスには、(株)毎日新聞社の『フォトバンク』などもある。
(株)ジー・サーチのブースでは、富士通(株)の“新聞記事ダイジェスト技術"を参考出品。同技術は、新聞記事をキーワード検索する際に、検索した記事の要約を高速に表示するもの。記事中から、検索時に用いたキーワードを含む文章を抜粋して表示することで、記事の内容を大まかに把握することを可能にする。
協力:毎日新聞 |
『DATABASE '98』では、3日間の会期中に、36のプレゼンテーションセミナー、5つのワークショップと『データベース国際フォーラム』として9つの講演が行なわれた。入場料は1000円。