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日本ガートナーグループ、“GartnerGroup SYMPOSIUM/ITxpo98”開催

1998年10月22日 00時00分更新

文● 報道局 西川ゆずこ

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 日本ガートナーグループ(株)は、“GartnerGroup SYMPOSIUM/ITxpo98 21世紀に勝ち残るIT戦略:グローバル企業への挑戦”を千葉県舞浜にて21日から23日にかけて開催する。同シンポジウムでは、ガートナーグループの国内外のアナリスト20名によって、最新のIT動向を30のセッションで分析・解析する。また、ベンダーの人によるプレゼンテーションも行なわれる。初日の21日は、“今後5年間、日本パソコン市場のたどる道”、“インターネット・シナリオ:主流となるインターネット”などのセッションが開催された。



GartnerGroup SYMPOSIUM/ITxpo98会場GartnerGroup SYMPOSIUM/ITxpo98会場



●“今後5年間、日本パソコン市場のたどる道”

日本ガートナーグループ(株)データクエストアナリスト部門主席アナリストの志賀嘉津士氏

日本のパソコン市場の現状

「データクエストの調査によると、日本におけるパソコン市場は、'97年の第2四半期以降、マイナス成長に転じており、台数、金額ともに4期連続マイナスだという。加えて、'98年第2四半期の金額ベースの成長率は22パーセントと過去最悪だ。ビジネスモバイル、ホームモバイル、ビジネスデスクトップとホームデスクトップと4つのセグメント別に見ると、ホームデスクトップの単価の下落が著しい」

「デスクトップとモバイルの成長率を比較して見ると、デスクトップ型は、5期連続して前年同期比マイナスの成長率。一方、モバイル型は'97年の第1、第2四半期と高い成長率を示してきたが、'97年の第3、4四半期以降低い成長率へと転向した。モバイル型に関して言えば、日本の厳しい経済環境の中でも高い伸び率を示していることは注目に値するとし、日本市場でモバイル型の需要が高いこと、昨今B5スリム型など選択肢が増えたことが、低い数値ではあるが、伸び率に貢献した要因という」

「また、ベンダー別のシェア動向を見ると、上位ベンダーは不振であるが、2番手ベンダーの日立製作所、シャープ、ソニーが好調。外資系ベンダーでは、デル、ゲートウェイも好調だった」と、同氏は述べた。

今後、AMD搭載の個人向けデスクトップのシェアは拡大

「米国では、1000ドルPCと言われる個人向けの低価格デスクトップPCの出荷が伸びてきており、特に'98年第1四半期以降出荷推移が著しく伸びてきている。一方、日本では、'98年第2四半期以降、3ヵ月遅れで個人向けデスクトップの低価格化が加速、売れ筋のデスクトップは15万から20万円台と予想される」

「この動きは、米AMD社製のインテル互換CPU、K6を搭載するシステムの比率の増加から分かるとおり、K6が低価格化の牽引と位置づけている。そして、今後も個人向けデスクトップでAMDのシェアが拡大すると見込んでいる」

「低価格の売れ筋システムは、最速なスペックを搭載していないが、一般ビジネスアプリケーションを利用するには十分なスペックを持っている。そして、日本でも米国と同様にビジネス市場でのPCの低価格化が進むと、企業の購入プランにも影響し、買い換えサイクルの短期化が予想される」

B5ノートパソコン市場を探る

「ノートブック市場では、A4スリム(30mm以下)、A5サイズのミニノート、B5スリムなど、選択肢が増えた。B5ノートの登場は、すでに市場に出ていたA4スリムとミニノートのメリットを併せ持つものだった。ミニノートより大きい画面を確保し、操作性も比較的高い。B5スリムの普及要因として、小型液晶を搭載したため、A4スリムより低価格だったため、お手ごろ感覚が高かったからとしている」

「ソニーが成功したB5スリムであるが、すでに3社が同じ市場に製品を投入、今後も約2社が導入を予定しているという。将来的に、B5スリムは企業のモバイル戦略の重要な位置付けとなると考えられる」

B5ノート“VAIO”の成功要因のひとつ、ソニーのとった流通戦略

「同時に、B5スリムの登場とともに、ベンダーの流通チャネルが変化したという。特筆すべきは、ソニーやアップルの流通戦略。特徴のある製品を市場に投入することによって、差別化を図り、利益重視の流通戦略をとっている。ソニーは、線密なマーケティングと細かな市場の情報収集により、あらかじめ決めた数量しか製品を生産せず、短期的に売りきってしまい、在庫を抑える手法をとった。これはまた、製品が安売りされる前に市場から姿を消す戦術でもある。商品の力があるからこそ、とれる手法でもあるが、市場に飢餓感を与え、製品の力のある限り、製品に“質”を与える戦術だ」

「これは、かつてアップルがとっていたと言われるTeaser(意味:難問・難事)戦略に似ており、最近のiMacでもこの手法が取りいれられている」

'99年以降、市場は再び活性化

「日本市場における低い普及率と高い潜在需要が存在する市場だ。'97年、'98年の不振の反動で、'99年以降は市場が再び活性化することが予想される」

「また、計算値を基にすると'99年の買い換え需要が500万台。これにより、新規購入を買い換え需要が上回り、市場も買い換え需要中心のものへと変化する。サポート体制の変化、流通チャネルの変化が考えられる。また、先述した買い換えサイクルの短期化、ノート市場での選択肢の増加は新規需要を創出するとも考えられる。よって、2000年以降は、高成長で市場は回復する見込み」と、同氏は結んだ。

●エンドユーザー・コンピューティング戦略

日本ガートナーグループ(株)ジャパンリサーチ センターアナリストの針生恵理氏

「今後、“ムーアの法則”はPCユーザーに対して、その意味を失っていくだろう。ハードウェアの進歩とソフトウェアの進歩が平行線を辿らない限り、“ムーアの法則”のユーザーへの影響力は少ない。下位システムでも、ビジネスに必要なソフトは十分に動作する。'98年中は、Pentium II-266MHz、Pentium II-300MHzプロセッサーを搭載するシステムがデスクトップでは主流を占め、2001年まで、ほとんどのユーザーは下位のPentium IIシステムで満足する」

「マイクロソフトは、Windows NTとWindows 9XのOSを提供している。2001年まで、両OSは共通のデバイス・ドライバーを共有、マイクロカーネルも共通化されるだろう。しかし、この共通化は両OSの統合化ではなく、今後も引き続き異なるユーザーを対象とした製品として提供される。つまり、Windows NTは、ハイエンド向けに、Windows 9Xはローエンド向けに供給されるだろう」

「64bitマイクロカーネルのような技術はハイエンド向けに先に採用される。ユーザー・インターフェースなどの技術はローエンド向けOSに先に採用されるだろう」と、同氏は述べた。

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