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第3回アシストワールド'98開催-慶応の井関教授は他社との競争から連携へと強調

1998年10月21日 00時00分更新

文● 報道局 横田雅美

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 東京・六本木の全日空ホテルで、15日、アシストワールド'98が開催された。開催は今回で、3度目。マネジメント、ソリューション、ユーザー事例などの6セッションについて、4時限(1プログラム、45分)に分け、22のプログラムが講演された。その他に、午前には基調講演も行なわれた。今回はその中から、慶応大学の井関教授、アシスト、ロータスについての講演について紹介する。

米国に見るリレーショナルマーケティングの必要性

 慶応大学総合政策部の井関利明教授は『ワン・トゥ・ワン・マーケティングの導入の問題点』と題して講演した。会場は、約250人のビジネスマンで埋め尽くされた。

 米国では、'80年代から'90年代にかけて、ビジネスの変化を社会が推進をした。一方、日本では'80年代のビジネスのままであると述べた。これからは、コンピューターとネットワークが、ビジネスを支配するという。ネットワークは、客との関係づくりに使われるものである。

 '90年代、米国では、予想をはるかに越えるインターネット利用があった。それは、インターネットキャッシングが意外と安全だと認識されたことが一因だと述べた。それらにより、ネット上でのビジネスが急速に発展したという。

 米国では、新しい競争原理として、他社との競争という戦略から、対顧客という考え方の戦略へと移った。そして、他社との連携(パートナリング)が重要だという。情報や知識をどれだけ共有できるかが問われている時代であると語った。

ビジネス戦略の焦点移動とワントゥーワン

 '70年代までは、機能や価格が注目されたマスマーケティングの時代であり、'70年代から'80年代は、品質やサービスなどクオリティ改善の時代であったという。そして、これから'90年代以降は、価値の追求の時代ではないかと述べた。価値は、商品自体にあるというよりも、どう組み合わせ、どう提供するかということだという。ビジネスは、顧客主導型の個別対応に、焦点は絞られていく。ビジネスとは、1人の顧客のために行なうものと、強調した。

 最後に、ワントゥーワンマーケティングの必要条件を示した。顧客との関係作りという発想の定着、顧客のデータベース管理や加工、双方向対話のチャネルの必要性を強調。また、顧客が参加できることが大切であるとまとめた。
 会場では、井関氏のユーモアある語り口に、時折、笑い声が上がった。

JCORBAを搭載した『Oracle Application Server4.0』

 『Oracle Application Server4.0』をプレビューするプログラムでは、(株)アシストの石倉努氏が、壇上に立った。まず、過去における『Oracle WebServer1.0/2.x』から『Oracle WebApplication Server3.0』までの、ユーザーにとっての位置付けについて述べ、続いて新製品の紹介へと移った。今までの『Oracle』から変化した特徴を中心に報告した。同製品は、クライアント/サーバーシステムとイントラネットの行き詰まりから、開発されるに至ったという。

 OMG(Object Management Group)が策定した分散アプリケーション実行環境であるCORBA2.0を、Javaによって『Oracle Application Server4.0』に実装したのがJCORBAである。JCORBAは自動IDL生成機能を備えている。このため、CORBAコンポーネントの開発はJavaの知識のみで開発可能になる。IDLによる定義、CORBAサービスの設定などの面倒な作業の必要がなくなる。また、開発したコンポーネントはOAS上で実行することができるという。

 加えて、CORBAの分散オブジェクト技術により、負荷分散ができる。

RDBなどと連携する『Notes Pump』

 『Notes Pump』についてのプログラムでは、ロータス(株)の尾形修氏が、登壇した。企業は現在、経営管理の最新情報や、数値にならない情報を把握する必要があると、同氏は述べた。経営には、基幹システムとグループウェアとの融合が重要であると強調した。『Notes』で開発したデータを『Notes Pump』というパイプを介して基幹システムと融合する。『Notes Pump』を使って、リレーショナルデータベースなどの基幹システムと融合することで、社内の情報を網羅し、判断することができるという。『Notes Pump』は『Oracle』、『DB2』、『Sybase』など、ほとんどのデータベースにリンクできると強調した。

 今回参加した、アシストワールド'98のプログラムは、各企業の製品などを、紹介するもの。各社が、自社製品をアピールする小規模のEXPOのようなものである。しかし、限られた時間の中だったため、聴講者には理解しにくいところもあった。今後の工夫が期待される。

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