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“仮想試着室”でウエディングドレスのオーダーも実現?--“SVJトーク関西”開催

1998年10月15日 00時00分更新

文● 濱村和恵

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 SVJ(スマートバレージャパン)は、13日、大阪・梅田で“SVJトーク関西”を開催した。今回のテーマは“この人に聞く。通信の未来”。BBCC(新世代通信網実験協議会)専務理事の小野隆夫氏をスピーカーに迎えた。SVJは非営利の民間任意団体で'96年9月に設立。ベンチャー企業支援、学校へのデジタルネットワーク支援、地域連携などさまざまな角度からの活動を行っている。今回の内容は、BBCCの目的や仕組み、具体的な実験例をもとに、次世代ネットワークの可能性を探るというものである。

BBCC専務理事の小野隆夫氏BBCC専務理事の小野隆夫氏



“仮想試着室”に議論が集中

 BBCCの設立は'92年12月。日本で初めてのB-ISDN利用研究、実験を通じて新たな情報ビジネスと情報文化を創造することを目的とした機関である。会長を関西電力(株)相談役の小林庄一郎氏が務める。現在会員は、企業や自治体など含めて217社。

 現在までの成果としては、最高150Mbpsの高速・広帯域ネットワークを利用した“距離の死”から生まれるものが多いという。地方の診療所から大学病院の専門医の診断が受けられるといった事例や、将来の地方過疎化をにらんだ遠隔教育システムなどを紹介。自治体がBBCCの会員になることがあり、それをきっかけに町ぐるみの実験が行なわれることもある。それらの例が示すように、大規模な実験もできるようだ。



 これらの実験結果が会員にフィードバックされ、実際のビジネスやサービスに結びつく仕組み。また、国立国会図書館と連携した、BBCC主催の電子図書館システムの実験が実現に向けて進められている。

 今回、参加者の興味を一番ひいたのは“仮想試着室”。大手衣料メーカーとプロジェクトを組み、実験を進めていく予定という。これは、よくある画像を組み合わせた着せ替え的なものから一歩進んだもの。個人のサイズや生地の種類、色などを入力し、その人の体型にあった完成予定画像を見れる。型紙も出力できることから、オーダーメイドでの利用も可能。これが実現化すれば、仮想空間といわれるものが個人レベルのもっと身近なものになると思われる。



 参加者からは、“仮想試着室”の具体的な方向性、ビジネス化についての意見が多く出された。「サイズを入力するよりも、試着したい人間の動画を取り込み、それ自体に組み合わせられないか」、「店舗に設置し、並んでいる商品をまず仮想試着した上で、気に入ったものだけを実際に試着するようにできれば面白い」、「デザイナーが完成をシミュレーションするためのものや、マーケットリサーチ用に適しているのではないか」といった意見があった。オーダーメイド性が高く、売り手買い手双方のニーズが一致しそうなウエディングドレスへの利用を求めた意見が共感を得ていた。

 BBCCの実験は、よくある“実験”のための“実験”ではなく、技術重視ではあるものの、実現可能なものを模索するもの。このトークから生まれたウエディングドレスのアイデアが実現するのも遠い将来ではないかもしれない。

 ただ単なるスピーカーを招いてのセミナーではなく、アットホームな雰囲気の中、活発な意見交換で盛り上がる2時間だった。

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