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アドビシステムズ、『Illustrator 8.0 日本語版』を発売

1998年09月22日 00時00分更新

文● 藤崎孝二

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 アドビシステムズ(株)は、プロフェッショナル向けドローソフト『Adobe Illustrator 8.0 日本語版』を11月中旬に発売する。Windows 95/98/NT4.0およびMacintosh対応で、価格は12万円。アップグレード価格は2万5000円。

 今回のバージョンアップでは、同社製品に共通する統合性の追求、創造性を高める機能の追加、使いやすく能率的なユーザーインターフェースの改良など、数多くの強化がなされている。



 フォトレタッチソフト『Adobe Photoshop』との統合化に着目すれば、表示倍率および表示位置を瞬時に変更するナビゲータパレットを採用し、目的とするオブジェクトの素早い確認や選択、編集ができるようになった。表示倍率は3.13~6400パーセントの範囲で自由に設定可能。また、アクションパレットの採用で処理手順の記録/再生という自動化が可能になり、制作作業を効率化できる。製品には約150種類のアクションが用意される予定。さらに、Photoshopドキュメント(PSD)の書き出しではレイヤーをそのまま保持するので、PhotoshopやWeb用画像作成ソフト『Adobe ImageReady』、ビデオ編集ソフト『Adobe Premiere』などでの効果的な利用が可能になる。ただしPhotoshop 5.0同様に複数ステップのアンドゥーおよびリドゥーは可能だが、ヒストリーパレットは用意されていない。

 ページレイアウトソフト『Adobe PageMaker』との統合化に関しては、リンクパレットの採用が挙げられる。リンクあるいは埋め込みデータをサムネールつきで一覧表示するだけでなく、リンクの変更や元データの編集、ファイルの存在チェックなどが可能。また、オブジェクトの周囲にバウンディングボックスを表示することで、オブジェクトおよびテキスト、パスの移動やサイズ変更が簡単になった。

ここでは「ASCII24」という文字を入力しただけ。ほかのオブジェクトはすべてアクション機能で生成した
ここでは「ASCII24」という文字を入力しただけ。ほかのオブジェクトはすべてアクション機能で生成した



 表現力の向上に注目すれば、アートワーク(あらかじめ用意されているものを使うことも、ユーザーがIllustratorで作成したものを登録することも可能)をパスに沿って配置するアートブラシ、アートワークをパスに沿ってランダムに配置する散布ブラシ、ひとつのオブジェクトに対して複数のグラデーション効果を色や方向、形状など細かくコントロールし、絵画的な描画を可能にするグラデーションメッシュツールなどが装備された。また、カリグラフィブラシも強化され、固定幅、ランダム幅に加え感圧式タブレットを使った線幅のコントロールが可能。カリグラフィブラシでの描画は線幅をもったパスとして処理されるようになったので、編集作業が楽に行える。

グラデーションメッシュツールを使用したサンプル。アンカーポイントを選択し、色や方向などを指定する
グラデーションメッシュツールを使用したサンプル。アンカーポイントを選択し、色や方向などを指定する



 Illustratorの基本はベジェ曲線での描画だが、思い通りの線を描くには慣れが必要だ。そこで、誰でも簡単かつ直感的に描画できるように、鉛筆ツールが改良された。マウスポインタを動かせば、それに沿ってパスが生成されるので、フリーハンドでの描画が可能だ。特筆すべきは修正の容易さで、アンカーポイントを操作する必要はなく、変更したいパスの近くで鉛筆ツールを動かせば、それに合わせてパスの形状が変化する。パスを滑らかにするにはスムーズツールを、パスを削除する場合には消しゴムツールを、鉛筆ツールと同様の操作で使えばいい。機能的には、それほど大きな改良とは思えないかもしれないが、実際に使ってみれば、手軽な描画作業と試行錯誤の容易さを大いに実感できるだろう。

禁則処理では句読点のぶら下がりを指定できる。アートブラシは、描画後もパスに沿って編集可能
禁則処理では句読点のぶら下がりを指定できる。アートブラシは、描画後もパスに沿って編集可能



 作業の効率化という点では、オブジェクトの拡大縮小、傾斜、回転、リフレクトなどを一括して操作できる自由変形ツールの装備も見逃せない。選択したオブジェクトを直接操作できるので、細かいコントロールがリアルアイムで可能だ。

 文字のスタイル設定は用意されていないが、スポイトおよび塗りつぶしツールを利用すれば、フォント種類やサイズ、色などの文字属性、および文字揃えやインデントなどの段落設定を別の文字列にコピーできる。文字以外のオブジェクトに関しても、塗りや線などの属性をコピー可能だ。

 サポートするファイルフォーマットの種類が増え、マクロメディアの『FreeHand』や、コーレルの『CorelDRAW』、DXFなどの読み込み、PNGやMicrosoft Word(たたし欧文のみ)などの書き出しも可能になった。目玉は、日本語(2バイトコード文字)を含むAcrobat(PDF)ドキュメントの読み込み、編集、保存、および配置、リンクが可能になったことだろう。Acrobatドキュメントの性格上、文字データに関してはブロック単位でしか編集できないが、手軽に編集できるので、そのメリットは大きい。

 透明化機能や複数ページなど、いまだサポートされていない機能もあるが、全体的には満足できるバージョンアップだろう。



 β版を試用してみた限りでは、7.0で大幅に遅くなった起動時間が短縮され、ストレスを感じないまでになったのは嬉しい。ただし起動しただけでUSERヒープが約30%消費されるので(Windows 98の場合)、複数のアプリケーションを同時に使用するのが困難な場合も予想される。英語版の412ドル(約5万5000円)という価格に対し12万円という日本語版の価格が適正なものか疑問を感じないでもないが、印刷を前提にしたドローソフトとしては、最適な製品と言えるだろう。

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