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“電子メールを利用したビジネス戦略”MPU定例会

1998年09月07日 00時00分更新

文● 報道局 清水久美子

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 マルチメディアビジネスを志す、パブリッシャー・プロデューサーの、相互協力を目指す組合“マルチメディア・プロデューサーズ・ユニオン”(MPU)は、4日、新宿のDigital Creator College ワオ!(WAO!)にて、定例会を開催した。

 MPUは、出版などの既存のメディア産業が、デジタルコンテンツへと変化し、拡大していくためのナビゲーターとして'93年4月に発足。マルチメディアタイトルやデジタルコンテンツの企画、制作に関わる出版社側の編集者同士が、相互に協力しあうことを目的に活動している。

 今回の定例会は、講師にフリーライターで、“アクセス向上委員会”の責任者、橋本大也氏を招いての講演が行なわれた。テーマは、“成功事例から学ぶ、インターネット電子メールを活用した出版ビジネスの戦略と手法”。今年3月に、早稲田大学を卒業した橋本氏は、在学中に“アクセス向上委員会”を立ち上げる。ホームページのアクセス数をいかに増大させるかについて考える委員会で、メーリングリスト、掲示板も開設。現在、メーリングリストの加入者1200人、同テーマの電子メールニュースレターは約2万3000人に送られているという。

アクセス向上委員会 橋本大也氏
アクセス向上委員会 橋本大也氏



 同氏はまず、世界で1日に約150万ページ増えているといわれる、ホームページについて、「これらへのアクセスは、雑誌など既存のメディアを持つサイトや、広告など露出の多いサイトの寡占状態。一方、メールマガジンの場合、読者数は、露出数やリンクなどの外部の環境に左右されず、今日より、明日、明日より、明日後と読者数は必ず増えていく」と、ホームページとメールマガジンの相違点を説明した。

 「現在、発行されているメールマガジン4、5000誌のうち、ビジネスとして利益を得ているものは、2、30誌程度。この中には、学生や主婦が中心となって発行し、大手企業のメールマガジンと同じ位の読者数を得ているものもある。ある、ベンチャー企業向け情報を扱うメールマガジンは、1人で週3回発行。月額500円で、2000人の読者がいるので、1ヵ月100万の収入になっている」と、個人でも互角に戦えるメールマガジンのメリットを挙げた。

 一方で問題点をこう指摘する。「メールマガジンには、メール配信で発生するエラーメールの処理、対応という避けては通れない問題がある。1万通送ると、2、300通のエラーメールが来ると言われている。また、個人で発行する場合、電話回線の問題も深刻。数100人規模のマガジンなら、同報で送ることもできるが、数1000、数万人ともなると回線が飽和状態になってしまう。」

 「私が、近々起業する予定のベンチャー企業では、このようなメール処理対応の代行を行なうことを考えている。5回送って5回エラーメールが返送されてきたら、自動的にそのアドレスをリストから削除するなどのシステムづくりをしたい。加えて、“メールマガジン始めませんか?”というコンセプトでコンサルティングなども行なう予定」という。

 また、同氏は“メールのクライアントソフト”に注目していると言う。「今のメールマガジンは、テキストオンリー。クライアントソフト次第でいろいろ工夫は可能だと思う。XMLを利用して、文字色を変えたりなど、電子メールソフトだけで受け取ることを考えなくてもいいのではないか。メールソフトでペットを育てる『PostPet』も好評だった」と語った。

 メールマガジンの拡大につれ、専門の広告代理店も増えてきている。「もともと読者の選別が図られているメールマガジンは、出稿主にとっても格好の媒体。読者のセグメントができていて、5000人の読者がいれば広告入稿は十分可能だろう」とした。

 最後に、読者を増やす秘訣として「自分の発行するものと関連する、ほかのメールマガジン間で、記事の交換をしてみること。普段、新規登録者は1日で多くても50人程度だが、私のメールマガジンで試したところ、3~500人増えた」とアドバイスした。

マルチメディアコンテンツ振興協会 井口敦氏
マルチメディアコンテンツ振興協会 井口敦氏



 今回のセミナーでは、、(財)マルチメディアコンテンツ振興協会の井口敦氏による“デジタル・コンテンツ・プラザ”の説明も行われた。“ビジネスチャンスをgetする デジタルコンテンツプラザ活用ガイド”と称して、11月25~27日に渡り、幕張メッセで開催される“第3回デジタル・コンテンツ・プラザ”の募集も行なわれた。クリエーターと企業家の、作品、技術、人材の出会いの場として開催されるもので、昨年も多く商談が成立したという。参加費用は、1×1メートルのブースが1万円から。問い合わせは同協会まで。

 また、同期間中“ウェアラブル・コンピューターシンポジウム&ファッション・ショー”も開催。着られるコンピューターをコンセプトに、シンポジウムやファッションショーなどが行なわれるという。事前登録が必要。

  • MPU
  • アクセス向上委員会
  • (財)マルチメディアコンテンツ振興協会問い合わせ先:TEL.03-3506-1703“ウェアラブルコンピューターシンポジウム&ファッションショー”問い合わせ先:日本経済新聞事務局総合事業部TEL.03-5255-2847

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