意義が小さくなってきた展示会
Seybold San Francisco/Publishing 98(SSF98)について、これまで2回のレポートをお伝えしてきた。そのSSF98が、いよいよ大詰めである。3日からは印刷、出版、マルチメディアをテーマに“Publishing Systems Conference”(以下コンファレンスのテーマ名などは原語のまま)が始まった。さらに、セミナーと並行して、展示会場では9月1日~3日まで、大規模な展示会が開かれていた。モスコーニセンターを北側から撮影した。今回のSSF98も連日晴れだった |
これまでにもさまざまな機会を通して感じたことだが、インターネットの浸透で展示会の役割は変化してきている。それぞれのメーカーの新製品情報、それらの細かいスペックまでがホームページで紹介されるようになってから、日本でも海外でも展示会ではじめて公開される新製品は希になった。だから、展示会への来場者も、すでにアナウンスされた新製品のさらに詳しい部分、実際の動きなどを確かめるために来場している。展示会の役割は以前に比べて小さくなり、展示会に参加するメーカーも少なくなってきた。今回もその傾向が受け継がれたような気がする。
展示会場のマイクロソフト社ブース。デジタル印刷、出版に役立つWindows NT対応ソフトウェアが展示されている |
業界標準への道を歩むXML
今回のPublishing Systems Conferenceの目玉は何かと言われれば、それはPDF(Portable
Document Format)であろう。それに次いでは、XML(eXtensible Markup Language)である。日本ではまだまだのものばかりであるが、アメリカでは多くの部分で使われている。XMLはW3Cで本格的な規格が決まり、『Microsoft
IE』、『NetscapeCommunicator』でもサポートされるに至って、インターネットでの活用も期待されている。今回のSSF98でクレイグ・クライン氏と司会進行してくれたタッド・マクロイ氏。PDFの推進者でもあり、“Publishing Systems”ではキーノートスピーチも |
実際、今回の“Web Publisher Conference”(SSF98の前半部)で、XMLは、データベースとインターネットとをつなぐ言語として注目されていた。データベースとの連携なしには進められないEコマース、デジタルパブリッシングには不可欠な言語である。また、“Publishing
Systems Conference”でも、これまでに蓄積されたドキュメント、画像データ、既存のデータベースに蓄積された遺産(化石)のデータを活用(復活)するための言語として注目されている。
“Publishing Systems”のキーノートスピーチに登場したパネリストたち |
もちろん、PDF(Portable Document Format)はかなり進んでいる。日本ではAdobe
AcrobatとPDFといっても業界標準という気はしない。しかし、アメリカではすでに多くの場面で使われ、いくつかの問題点は残るものの、業界標準への道を確実に進んでいる。
また、展示会でもそれらの活動を支援するアプリケーション、機能強化のためのツールがかなり出展されていた。これまで日本で「こういうツールはありませんか?」と訊ねられたものは、「すでにアメリカにはありますよ。」という状況である。
SSFの展示会で、さまざまな方面で話題になったクォーク社のブースを見る |
さらに、アメリカの大手印刷会社でもPDFを軸にしたデータベース化が進んでいる。この状況から見て、日本でPDFとXMLが注目を浴びる日も近い。
最後に、この記事に掲載した写真について述べる。写真はすべてコダック社のデジタルカメラ『DC
260Zoom』で撮影したものである。暗い会場でもよく写るので重宝している。