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障害者とその家族のためのコンピューターネットワーク入門----使いやすいソフトはどれだ!

1998年08月10日 00時00分更新

文● 報道局 降旗敦子

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 在宅リハビリテーションを考える“'98 公開サマーセミナー”の第一回が、学校法人岩崎学園、横浜リハビリテーション専門学校で7日に行われた。障害者とその家族のためのコンピューターネットワーク入門講演、リハビリテーション体験と2部構成である。地域の主婦や会社員が参加して、実際、障害者がどのようなソフトを使ってパソコンを利用しているのかを体験した。



 障害者とその家族のためのコンピューターネットワーク入門では、日本IBM(株)SNSセンター顧問である脇田修躬氏が講演。参加者全員が、障害者向けソフトをインストールしたパソコンを使用して説明を受けた。今回使用した障害者向けソフトは以下の3つである。日本電気(NEC)が開発した『Zoom Text Xtra Level1』。IBMが開発した『漢字Pワード』。また同社開発の『ホームページ・リーダー』である。 

 『Zoom Text Xtra Level1』は、最大16倍まで画面の拡大が可能なので、画面を見るのが困難な視覚障害の人が使用する。参加者は、弱視体験めがねを受け取り、どれほど画面が見づらいのかを理解した上で、この拡大ソフトを使った。確かに(弱視状態では)画面に、ぼんやりと光が見えるだけだったが、拡大ソフトを使うと、文字が表示されるのがわかった。

 今回は、パソコンを普段あまり使っていない参加者が多いため、操作の難しさに参ってしまったのが『漢字Pワード』である。キーボード操作の難しい人がスイッチを利用して、画面上の文字盤から文字をスキャン方式で選択する。カラオケの時、TV画面に表示された文字の色が歌に合わせて変化するが、このソフトのスキャン方式も同様である。文字盤の上で、表示された50音の色が変化していく。入力したい文字のある行や列の色が変化した瞬間、クリックするとその行や列が選ばれる。行と列とを指定して、特定の文字を指定する。慣れないとスキャンのタイミングが合わず文字が入力できない。

スキャンのタイミングが難しい『漢字Pワード』
スキャンのタイミングが難しい『漢字Pワード』



 インターネットの利用率が高いのが、全盲者である。そうした人たちのため、画面に何が表示されているのかを読み上げるソフトが、『ホームページ・リーダー』である。「このソフトはTVの番組表の読み上げによく使われている。しかし、絵中心のホームページでは機能しないので、いろいろな人が利用するというアクセシビリティーを考慮して(例えばキャプション付けなど)ホームページを作って欲しい」と脇田氏。

 脇田氏が強調していたのは、パソコン関連メーカーが採算が合わないという理由で、障害者向けハード、ソフト製品の開発をよく止めてしまうことである。同氏は、障害者やその周囲の人がパソコンを利用する上での手伝いをする“ UNDO(アンドゥ)”というボランティアサークルにも参加している。メーカーが製作してくれるのを待っていては日が暮れてしまうというので、自ら踏み込まざるをえないのが現状のようだ。

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