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【INTERVIEW】「松下にとってパソコンもワープロも情報家電」三木弼一・松下電器産業取締役

1998年08月05日 00時00分更新

文● 報道局 植草健次郎

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 セットトップボックス型のインターネット端末や、インターネットTV、インターネット冷蔵庫など、家電にマルチメディア機能を持たせた製品が話題になっている。各メーカーがこうした情報家電への取り組みを発表しているなか、松下電器産業(株)の三木弼一(みき すけいち)マルチメディア担当取締役にお話を伺った。

 映画、ゲームともに鳴り物入りで参入したが、松下電器産業本体の風土では大きな成果を出すことはできなかった。コンテンツの制作では、自社では制作しないというコメントが目立った。コンテンツを作るグループ会社の代表は日本ビクター(株)であろう。  映画、ゲームともに鳴り物入りで参入したが、松下電器産業本体の風土では大きな成果を出すことはできなかった。コンテンツの制作では、自社では制作しないというコメントが目立った。コンテンツを作るグループ会社の代表は日本ビクター(株)であろう。



----機器がデジタル化することでどのような変化が起きたのでしょうか。

「情報家電の本質というのは、データがデジタル化したことだと思います。メモリーを持っていることとマルチメディア化できることがデジタル機器のポテンシャルの基本でしょう。デジタルならすべてのデータが同じ0と1で構成されるデータになり、音声も画像も同様に扱えます。インターフェースの標準化をしてしまえば他の機器との接続が容易に行なえるようになる。オープン化ですね」

「デジタルですとデータを蓄積しておく部分が必要になるのでメモリーを搭載します。メモリーが低価格化すると情報を蓄積しておくのが容易になります。情報蓄積が可能になると、通信の容易さなどの特徴が生まれます。従来のようなリアルタイムの通信でなくても、メモリーからメモリーへ、非リアルタイムでできるようになりました」

「デジタル化することで家電は大きく変わりました。これまでの10年は機器がアナログからデジタルへと置き換わるのにかかった時間です。デジタル化によって小型化、携帯化、通信化、マルチメディア化がされていった。これに10年かかりました」

----今後はどう変わっていくとお考えですか。

「通信機能がすべての機器に備わっていくでしょう。通信機能を実現するには現在のままではインフラが不足しているので、この先の10年はインフラの整備に費やされます。ここでいうインフラとは双方向性を実現するためのものです。電話、移動体通信、CATV、放送局、衛星といったキャリアーや、DVDやDVCなどのパッケージメディアがデジタル化していくことです」

「通信化して可能になる機能として今やっているのは、EPG(Electronic Program Guide)です。番組表をダウンロードして、内容をあらかじめ設定したキーワードに基づいてフィルタリングをかけ、ユーザーの好みの番組をガイドするといったようなものです」

----今後のご予定などお聞かせください。

「携帯電話の通信規格であるCDMAの次の規格のW-CDMAを使用して、携帯テレビ電話のようなものを考えています。また、ホームサーバーというものを作っております。研究所レベルのものですが、テレビに蓄積機能、双方向性を持たせたようなものだと考えてください」

 松下は“まねした”ではなく“待つ下”だという人がいる。他社のヒット商品が出てからまねするのではなく、ヒット商品と同様の製品の原形を持って、じっと待っている。必要な技術開発を終えている。お先走りの他社が先駆的商品を出して市場を切り開いたら、その欠点を克服した商品をおもむろにだして市場を刈り取るのだという。

 “ワープロも情報家電”などとは並みの家電メーカーは言えない。最先端を走るイメージを常に維持しなければ、巨人松下の影から脱け出せないからだ。“ワープロも情報家電”と公言する松下に“自虐的自信”を見た。

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