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SCC(Supply Chain Council)日本法人発足記念、米サプライチェーン協議会主要メンバー来日

1998年08月03日 00時00分更新

文● 報道局 篠田友美

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 米サプライチェーン協議会(SCC)は、SCC(Supply Chain Council)日本法人を発足することで、日本のERP研究推進フォーラムと合意した。来日したSCC首脳陣が30日東京ビッグサイトで記者発表したもの。フォーラムは、日本のERP(統合業務パッケージ)関連の研究、推進団体。

 同フォーラムは30日と31日、“サプライチェーン・マネジメント提言セミナー”を同じ東京ビッグサイトで開催した。米SCCのチェアマンを務めるVinay Asgekar(ヴィネイ・アスゲカー)氏が、“米国サプライチェーンの状況とSCCの活動内容”と題する基調講演を行なった。テーマは、日本でのSCMの展開とSCCの活動内容について。

ヴィネイ・アスゲカー氏 ヴィネイ・アスゲカー氏


 講演の中でアスゲカー氏は、「米国では90パーセント近くの企業が、SCMを導入し、企業の経営体制を根本から見直すことで優位性を確立している。つまりSCMは米国経済の好調を牽引したエンジンだ」とSCMの重要性を強調した。

 「企業は、60年代はコスト削減、70年代は品質管理、80年以降は、顧客主体のCS(顧客満足)経営を追求し、在庫管理や価格競争のプレッシャーに晒されてきた。90年の課題はリードタイムの縮小、日々刻々と変化する需要の予測、在庫管理におけるコストの削減など。今後2000年にかけての課題は、各部門だけでなく、企業全体での効率性を重視し統合的にコストを削減すること。“goods”“funds”“information”の3本柱を確立し、cash flowの改善をもたらした企業が優位になる」とキーワードを挙げて分析。

 「SCMは、単なる“戦術”ではなく“戦略”だ。ERPとかAPSとか3文字、4文字の横文字は、一時の流行語として扱われがちだが、SCMは違う。企業全体の経営方式を“RE-engineering”する21世紀の戦略なのだ」

 米SCCに関しては「発足から1年が経過した現在参加企業は、ソフトベンダー、コンサルティング、学会など380社におよぶ」と急成長ぶりを強調した。

 「SCC日本法人に関しては、'97年12月から話が持ち上がり、7月15日に正式に発足した。現在登録している企業は数社だが、参加費用を1750ドル(20万円)と負担のそれほどかからない額に設定した。今後も参加企業が増え続けるだろう。半年後をめどにボードメンバーとチェアマンを決めたい。内容的には、コンサルティングや情報システムプロバイダーを介して、スコアモデルを作り、ベンチマーキングを実施する。そしてSCMの事例研究と実用化などを行なっていく」

 「ここで重要なのは、あくまでも“オープン”であることだ。日本でもSCMの成功企業であるセブンイレブンや花王などの企業が存在する。しかし情報は非常にクローズだ。日本が今後国際競争力を維持していくためにも、各企業が情報を共有し日本に最適なデファクトスタンダードを構築していく必要がある」と締めくくった。



 また記者会見には、米SCCのメンバーとともに、SCM研究プロジェクトリーダーの福島美明氏、主幹研究員梅澤伊憲氏、専務理事の和田英男氏も同席した。

 福島氏は、「もちろん日本でもSCM成功事例は多々存在する。優秀な例として流通方式ではセブンイレブン。トヨタのカンバン方式もオーダーに対してまだpush型だが、生産方式として評価できる。しかし日本企業にはないSCCの情報共有という姿勢を日本に浸透させ、世界中から学ぶという意味でもこの活動を活発化させていきたい」と意気込みを語った。

  • 米SCC 
  • SCC日本法人  問い合わせ先:TEL.03-5421-0318

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