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東大先端研安田研究室公開、未来社会のビジネススタイルとは?

1998年07月31日 00時00分更新

文● 報道局 小林久

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 東京大学先端科学技術研究センター、安田浩教授の研究室が、27日から28日まで公開された。“マルチメディアアプリケーション時代に処する”と題された安田教授の講演のほか、同研究室で実験中の“文殊の知恵のための視線一致システム”、“絵ことば通信システム”などの展示も行なわれた。

安田浩東京大学教授。対面環境での知能の集積(Collective IQ)で、新たな創造の可能性が広がると語った安田浩東京大学教授。対面環境での知能の集積(Collective IQ)で、新たな創造の可能性が広がると語った



 講演では、安田氏が29世紀までも視野に入れた“2x世紀”の情報空間構築に関して見解を示した。同氏は、即時決済可能な電子カード“デビットカード”を利用したEコマース、156Mbpsの高速ネットワーク上で、複数の人間がネットワークを介して共同作業する“文殊の知恵環境”などを紹介。ネットワークが社会の基盤となり、その上に流される情報・コンテンツが最重要資源になる未来像を提示した。また、同氏はビデオを用いながら、超高速ネットワークを基盤とした近未来社会のビジネススタイルについても説明した。

また、同研究室で実験中の装置の展示が行なわれた。

 “文殊の知恵のための視線一致システム”は、遠隔地間でのコミュニケーションのためのツール。従来のテレビ電話などでは、話し手の上方または下方にカメラが設置されるため、画面上の人物の視線が不自然になってしまう。同システムでは、画面の裏側にカメラを設置し、特定の角度からの光のみを通す特殊な素材越しに話し手の姿を撮影する。これにより、自然な視線で会話できる。

“文殊の知恵のための視線一致システム”。遠隔地に離れた人との協業で文殊の知恵を得られるか?“文殊の知恵のための視線一致システム”。遠隔地に離れた人との協業で文殊の知恵を得られるか?



 “絵ことば通信システム”は、言葉ではなく、絵を用いることで新たなコミュニケーション手段を模索しようとするもの。言葉が通じない外国の子どもたちとのコミュニケーションや、絵解きによる新しい解釈、言葉では表現できないイメージの共有などの可能性などを模索していくという。

“絵ことば”によるコミュニケーション実験は、まだ始めたばかりの試みだが、小学校などの教育機関での実験を計画しているという“絵ことば”によるコミュニケーション実験は、まだ始めたばかりの試みだが、小学校などの教育機関での実験を計画しているという



 また、テレビ画面や文字情報端末に近づけることによって、さらに詳細な情報を得られる携帯端末の紹介もあった。特徴は電波ではなく、赤外線を使っていることで、ペースメーカーなどを使っている人々などへ配慮したものだという。

文字情報端末に腕時計型の携帯端末を近づけ、より詳細な情報を得ることができる文字情報端末に腕時計型の携帯端末を近づけ、より詳細な情報を得ることができる

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