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マクロメディアとタワーズが儲かりまっか

1998年07月28日 00時00分更新

文● メディカルソフト研究所 馬場幹彦

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 『WEBデザインで儲かりまっか』といういかにも大阪風のセミナーが27日、“エル・おおさか”にて開かれた。主催はマクロメディア(株)とクリエイター向け素材ダウンロードサービスなどで知られるタワーズ(株)。関西のデジタルクリエイター数百人が押しかけ熱気のこもった6時間となった。

KNNの神田敏晶氏 KNNの神田敏晶氏



 派手な音響効果とともに司会のKNN神田敏晶氏が登場。喝采の拍手を浴びた。氏の軽妙な司会進行で聴衆の心をほぐした後、パネルディスカッションの冒頭でマクロメディア米国本社の突撃取材の様子をビデオで紹介した。

マクロメディアの手嶋雅夫社長 マクロメディアの手嶋雅夫社長



 キーノートスピーチではマクロメディア(株)の手嶋雅夫社長がFlash3、Dreamweaver、Fireworksの誕生とその展開をダイナミックに紹介した。組識を全面変更し、赤字を出してまで開発へ集中投資して作り上げた商品への愛着が伝わってくる。手嶋社長は、これから成功するビジネスモデルとしてデザイナーとプログラマーのタイアップを挙げる。物流とデザインとデータベースの技術が高いところが発展するという。「デジタルクリエーターはマーケティングのプロであるべきだ」と語った。

アップルコンピュータの大西一朗氏 アップルコンピュータの大西一朗氏



 アップルコンピュータ(株)からはフィールドマーケティング部長の大西一朗氏がG3を中心に元気の出てきたアップルの現状を紹介した。また、AppleStoreの順調な売り上げやアスキーの中古車ビジネスを引き合いに出して、Webビジネスは明るいと強調した。

漫画家のまつむらまきお氏とテクニカルライターの笠居聡宏氏 漫画家のまつむらまきお氏とテクニカルライターの笠居聡宏氏



 次に、雑誌でおなじみの漫画家のまつむらまきお氏((有)ルナパーク)、テクニカルライターの笠居聡宏氏(mad-C Design)によるFlash3の最新Tipsの紹介があった。アニメーションの作り方から始まり、掛け合い漫才風、抱腹絶倒の巧みな話術で、熟達技に進んでいく。逆転の発想による複雑な動きの実現法や3D表現が紹介されると驚きの声があがった。ホームページ自身にメニューバーをつけるといったインターフェース技術の紹介があった。この手法は、今後のWebデザインに大きな影響を与えると思われた。

ビスタ・アーツの杉山氏 ビスタ・アーツの杉山氏



 Web構築ビジネスを手がけるビスタ・アーツの杉山氏はDreamweaverがきれいなHTMLを作成することに着目し、共同制作を行なう際の効率のよいツールとして使うという手法を紹介した。スタイルシートやライブラリーなどによって統一されたWEBサイト作りに絶大な効果を発揮するという。ディレクターとしてのノウハウも満載であった。たとえば、プラグインを利用する他の技術と違ってDHTML(Dynamic HTML)技術やJavaはクライアントに受け入れられやすいという状況の説明には、会場でうなずく姿も。

タワーズの森川眞行氏 タワーズの森川眞行氏



 さらに、関西のデジタルクリエイターの重鎮、タワーズ(株)の取締役クリエイティブディレクターの森川眞行氏がFireworksにかける熱い思いを語った。Fireworksにひとめぼれした森川氏ならではのノウハウが披露された。Fireworksに出会ったとき、いままでのIllustratorやPhotoshopを駆使して作成してきたWebイメージが簡単にできてしまうことに“Webデザイン上の大事件”と衝撃を受けたという。その日からFireworksによるWeb作りを“徹底検証”し、その極意を3日後にホームページで公開している。クライアントの過酷な変更要求に対応するFireworksの実力を、観衆の面前で実際に証明した。ビットマップデータとベクトルデータの垣根を取り払い、オブジェクト単位でデータを管理できる点が、その柔軟性の秘訣である。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子



 最後に“手嶋社長にもの申す”というテーマで、全員によるパネルディスカッションを行ない、新製品の魅力を語り合った。誰にもチャンスがある中で、従来のデザインにとらわれずデータベースとの連携や柔軟な発想と的確なディレクションでビッグチャンスをつかもうと盛り上がった。“デジタルビッグバン”が今起こりつつあるとの認識で一致するなど堅い話の一方で、“アダルトサイトに学べ”といった本音も飛び出す和気あいあいのディスカッションであった。

 6時間を超え、息も付かせぬ盛りだくさんの内容で、参加したデジタルクリエイターたちへの力強い応援メッセージになったようだ。これを契機に新しいタイプのWebサイトが関西で一気に生まれてくることを期待したい。

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