マイクロソフト(株)は、マルチユーザー対応のWindows NT Serverである『Microsoft
Windows NT Server Version 4.0, Terminal Server Edition』日本語版(以下:WTS)のプレス向け技術説明会を行なった。
今回は、4月6日に行なわれたWTS技術説明会のアップデートとして、製品概要および最新情報の説明が行なわれた。
WTS(開発コード名:Hydra)は、Windows NT Serverにマルチユーザー機能を追加した製品。Windows
NT Serverが、同時に利用できる対話的デスクトップインターフェースを1つしかサポートしていないのに対し、WTSは、同時に複数の対話型セッションをサポートする。この個々に対応した対話型セッション(仮想のWindows
NT Workstation)は、WinStationと呼ばれ、WTSのセッションマネージャによって管理される。アプリケーションは、サーバー上で集中管理/実行され、画面イメージがクライアントに送信されるとともに、クライアントからキーボードおよびマウス入力がWTSに送られる。
動作概要
WTSは、アプリケーションをサーバー上で実行し、Remote Desktop
Protocol(以下:RDP)によって、ユーザーインターフェースをクライアントに送信、それをクライアント側で表示するというアーキテクチャーとなっている。クライアントとして、Windows CE 2.xをOSとして搭載したWTS専用端末『Windows-based Terminal』(以下:WBT)が、WTSと同時期にハードウェアメーカー各社から出荷される予定。また、PCをWTSのクライアントにするためのソフトウェア『Windows-based Terminal Emulator』(以下:WBT Emulator)により、Windows95/NTが動作する既存のPCをWTS端末として利用できる。
RDPは、TCP/IP上で動作し、WTSと、WBTおよWBT Emulatorを利用したPCの間で、画像やサウンドの転送を行なうプロトコル。約20Kbpsの帯域で動作し、電子会議システムITU-T.120に準拠、Windows95/98/NT3.51/NT4.0、およびWBTをサポートする。
DOS、Windows3.1、Macintosh、UNIX、NCマシンに関しては、米シトリックス・システムズ社のIndependent Computing Architectureプロトコルを利用したMetaFrameによって、WTSのクライアントとして動作するという。このMetaFrameは、WTSと同時期に出荷される予定。
WTSの特徴
WTSを利用することで、クライアントの設定やアプリケーションのインストールが不要で、アプリケーションやユーザー環境を集中管理できるため、システム管理コストが削減できるという。また、CPUが486などのローエンドPCや、Macintosh、UNIXなどもクライアントとして利用できるので、既存のハードウェア資産の有効活用が可能としている。しかし、すべてのアプリケーションがサーバーで動作し、1セッションあたり約10MBのメモリーを要するため、サーバーの負荷が多くなり、高性能なサーバーが必要となる。また、クライアント側のローカルデバイスをサポートしていないので、ローカルストレージや入出力装置が使用できないが、この点はMetaFrameを使うことにより利用可能となる。また、RDPの次期バージョンでは、ローカルデバイスのサポートを予定しているという。
同社は、WTSの用途として、会計などの業務アプリケーション端末や、特定用途端末としての使用法を挙げている。クライアント側にサーバー管理者が不要なため、企業の支社から本社へのリモート接続にも利用できる。ただし、先述の通りサーバーに負荷がかかるため、“軽い”アプリケーション向きだとしている。
WTSクライアントは、米国版ではWin16クライアントも提供されているが、日本語版ではWin32のみの対応となる。あらかじめ、接続先WTSやウィンドーサイズ、ユーザー名/ドメイン名/パスワード、起動アプリケーションなどをウィザード形式で指定できるクライアント接続マネージャを搭載する。
今後の予定
同社は、'98年8月後半に製品の正式発表を行ない、9月末までに出荷したいという。システム構築に必要なライセンスは、WTS、Windows
NT Server 4.0 Client Access License、Windows NT Workstation 4.0の3種類。Windows NT
Server 4.0 Client Access Licenseのライセンスは、スタンダード版と共通のもので、ライセンスモードは接続クライアント数モード。また、Windows
NT Workstation 4.0のライセンスは、クライアントの種類(WBT、Windows95/98、Macintoshなど)を問わずに必要となる。また、WTS次期バージョンは、Windows NT Server 5.0のカーネル自体にマルチユーザー機能を追加するほか、先述したように、ローカルデバイスに対応する予定。また、現在は256色/システムサウンドのみの対応だが、次期バージョンでは、多色カラーや各種サウンドをサポートしたいとしている。(報道局 桑本美鈴)
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