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【INTERVIEW】アビッドジャパン村野社長、「Windows NTのプラットフォームにも注力」

1998年07月17日 00時00分更新

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 アビッドジャパン(株)は、ノンリニア編集用ソフトのトップメーカーである。同社の『Avid Media Composer』、『Film Composer』といったシステムは、映画制作の現場でも多く用いられている。最近では“GODZILLA”や“TITANIC”などの作品が同社のシステムを用いて制作されたという。今回は、同社の代表取締役社長、村野雄一氏に、ノンリニア編集の現状についてお話を伺った。なお、同社は、本日、非圧縮でノンリニア編集が可能な『Media Composer』を発表した(詳細は、http://www.ascii.co.jp/ascii24/issue/980717/hard02.html)。

アビッドジャパン代表取締役社長の村野雄一氏。アビッドジャパン代表取締役社長の村野雄一氏。



----ノンリニア編集システムとは銀塩フィルムやビデオの映像をデジタル化し、コンピューターで編集し、出力するものだと考えていいですか。

「厳密には違います。基本的にアビッドのノンリニア編集システムは、デジタル化して取り込んだアナログ映像を編集し、デジタル映像として出力するものではないのです。主な機能は2つです。第1は、銀塩映画フィルムをそれなりの画質で取り込み、いろいろな切り貼り編集を試したあと最終的に決めたカットリスト(銀塩映画フィルムをどのコマできってつなぐかを指示するリスト)を出力することです。第2は、システム中で特殊効果を事前に試し、実際に利用する特殊効果を選択することです。実際にフィルムやテープをつながなくても、編集後の状態がわかりますし、コストの高い特殊効果をやってみて失敗だったということがなくなるのです。いずれも最終的には、ノンリニア機とは無関係に、画質のより高いフィルム自体を切り貼りします。弊社のノンリニア編集システムの中心は、その中で最終映像データを作るのが目的ではなく、より低いコストで試行錯誤し、納得のいく編集結果を上げるためのシステムなのです」

----アビッドのシステムは、どんなユーザーがどんな目的で利用しているのですか。

「放送局やプロダクション、教育機関などが主な納入先です。また、大規模な工事のプレゼンテーション用にゼネコンなどが購入する例もあります。変わったところでは、自動車会社や銀行などでしょうか。自動車の設計現場では、CADを用いて設計し、3Dグラフィックスで走行の様子をシュミレーションします。それだけでは現実感にとぼしいので、実写と3Dのグラフィックスの合成を行なうわけです。例えば、最近のテレビコマーシャルに、実際の風景の中を走る車を撮影し、その車体だけを3Dグラフィックで置き換えたものがあります。また、銀行などでは、自社の研修用ビデオなど、秘密保持の関係で外注できないものの制作に利用しているようです」

----現在ノンリニアシステムとテープ編集システムのユーザー比はどのぐらいなのでしょうか。

「現状では、7対3から8対2ぐらいの割合でテープが多数派です。今後の広がりは、利用者がどこでテープを捨てようと決意するかに掛かってきます。機械の総入替の際に、テープを選択するという例はなくなるでしょう。テープ編集システムが5000万円程度なのに対し、ノンリニア編集システムは2000万から2500万円程度です。また、大きく省力化できますから、ケーブルテレビなど安く・早く番組を作ることを重視している放送局に、アピールできます。なお、映像データの蓄積から放送(データを読み出してオンエア)まで一手に担える放送用サーバーシステムが、世界で30から40ほど稼動しています。日本でもそのうちの2つが実際にオンエアーを行なっています(*1)」

*1:とはいえ、現場の抵抗も大きいという。例えば、コンピューターは必ず、しかも突然壊れる。特にハードディスクのクラッシュは良く経験するところである。一方でテープ放送機構のようなメカニズムを抱える環境では、変な音がする、動きがおかしいといった予兆をもとに製品の交換時期などを把握してきた。アナログからデジタルへと環境を移す上ではいろいろなレベルの意識改革が必要である。

----Avid Cinemaのような、ローエンドユーザー向けの商品開発に関してはどうお考えになりますか。

「ローエンド向けの製品開発は、あまり大きな利益に結びつく分野ではありません。むしろ強調したいのは、製品の裾野が広がることによって生じる戦略的な意味です。ローエンドユーザーが、ハイエンド向けで大きな地位を確立しているアビッドブランドで映像編集をすることに意味があるのです。アビッドはプロが必要とする技術をだんだんと広めることを目指してきました。アップルと進めてきた『Avid Cinema』のコンセプトも、プロに匹敵する技術を使いやすいインターフェースでエンドユーザーに提供することを目的としたものでした(*2)」

*2:アビッドの、ハイエンドの技術をエンドユーザーのマーケットへと広げていくアプローチは、アドビシステムズ(株)のそれとは対照的である。アドビは、個人ユーザーがより深いものを実現するために『Premiere』のバージョンアップを重ね、下から上に攻めた。

----最後に、今後の製品開発について教えてください。

「ハイエンド向けモデルとして、アップル用の『Media Composer Online』とNT用の『Symphony』の発売を予定しています。また、対応するプラットフォームに関しては、今まで、アップルとシリコングラフィックスが中心でしたが、今後は、WindowsNTのプラットフォームに主力を移していきます。コアの部分のプログラミングはすべて同じなので移植は容易です。プラットフォームによって、お客さんの使用が制限されることは避けたいので、今後は、より多くのお客様が望むものを提供していくことになります」

(報道局 小林久)

http://www.avid.co.jp/

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