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米司法省、スコット・チャーニ氏、コンピューター犯罪について講演

1998年07月13日 00時00分更新

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 日本ガートナーグループ(株)主催のコンファレンス、“Information Security:競争優位への選択”が、8日から9日まで、東京ヒルトンホテルで開催された。2日目の基調講演では、米司法省のScott Charney(スコット・チャーニ)氏が、コンピューター犯罪の国境や物理的障害のないインターネット上への広がりについて警鐘を鳴らした。

米司法省のスコット・チャーニ氏米司法省のスコット・チャーニ氏



 インターネットは、60年代、軍事利用を目的として生まれた。当初は研究者や軍事関係者など、特別な権限を与えられた人々のみが利用するもので、大きな犯罪が起きることはなかった。しかし、80年代に入り、インターネットが一般に公開され、また、パソコンの普及が始まると、状況は一転、コンピューター犯罪が急速に増え始めたという。

 同氏は、95年に米国防省に25万件、96年には米航空宇宙局(NASA)に12万件の不正アクセスがあり、民間企業でも毎年100億ドルの損害が出ていると指摘。同時に、利用者の実態把握が困難で、管理者からの報告も少ないという現状では、コンピューター犯罪の実状をつかむことすら困難だと語った。

 コンピューター犯罪に関して、米国では、“Economic Espionage Act”(経済スパイ法)を適用。企業が機密性を保持しようとするすべての情報を、書類・データの形を問わずに、保護する仕組みを作ったり、知的所有権に修正を加え、商用ソフトを無償で配布するだけで、罰金を課すといった対応を進めている。

 コンピューター犯罪は、情報監視のレベル、匿名性とアカウンタビリティー(ユーザー情報の開示責任)のバランス、暗号技術の是非といった微妙な問題をはらんでいる。同氏は「今後、こういった問題に、長期的に解答を出していく必要がある」と述べたほか、インターネット上での国境を越えたテロ・犯罪についても、「法的管轄権の帰属問題や2国以上の国にまたがった場合、法律の相違で協調がうまくいかないケースがある」といった問題点を指摘している。(報道局 小林久)

http://www.gartner.co.jp/

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