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【INTERVIEW】スリーコム、東社長、『日本でのブランドイメージを高めたい』

1998年07月13日 00時00分更新

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 スリーコムジャパン(株)は、昨年11月、USロボティクス(株)と合併した。以来、クライアントアクセス系とネットワーク系の事業部を、それぞれ芝と新宿に置く形で事業を進めてきたが、今回、2つの事業部を1ヵ所に集め、文京区の新社屋で新しいスタートを切ることとなった。同社の新しい組織と今後の展望について、この6月に、代表取締役社長に就任した東光明(ひがしみつあき)氏に聞いた。

「組織を確立。これからは成果を目指す段階」

スリーコムジャパン、代表取締役の東光明氏。 スリーコムジャパン、代表取締役の東光明氏。


----6月3日に社長に就任してから、約1ヵ月が経ちましたが、スリーコムジャパンの現状についてどのようにご覧になっていますか。

「昨年11月にUSロボティクス社(USR)の日本法人と合併しました。以来、スリーコムとUSRのマージが行なわれ、仕事のやり方などが徐々に統一されるようになってきました。しかし、芝と新宿の2つの事業部に分かれ別々に仕事を行なってきたので、完全な効率化ができていたわけではありませんでした。今回、新社屋に移り、一つの場所で仕事をすることで、2つの組織間にあった組織上のむだを取り除き、効率のよく業務を遂行できる仕組みができあがったと思っています」

----社屋の移動で物理的に一つになったわけですが、組織的な意味での改変はあったのですか。

「日本法人に限らず、ワールドワイドのスリーコム全体にいえることなのですが、市場のニーズに応じて営業やマーケティングを組織化する、“サーブド・マーケット・フォーカス”という考え方を取り入れました。従来は、クライアントアクセス事業部はモデムやネットワークアダプターといったように、製品群を中心に組織ができていたものを大きく変更したわけです。これからは、この新体制によってネットワーク分野の総合ベンダーとして、市場のニーズに応えていきたいと思います」

「具体的には、キャリア、エンタープライズ、SME(Small Medium Enterprise)、コンシューマー、PC OEMという5つの大きなセグメントのニーズに特化した形で、マーケティングや営業を進めていきます。製品開発を行なう部署はそれぞれ別々にあるのですが、そこで開発した製品が、各セグメントに分配され、市場に特化した形で提供されることになるでしょう。例えば、同じデスクトップスイッチでも、エンタープライズ向けとSME向けで異なった売り方をするわけです」

----日本法人でも、そのサーブド・マーケットに基づいた体制が整ったということでしょうか。

「はい。組織を確立し、これから成果を目指す段階に入っています。現在、セグメントとしては、エンタープライズの割合が高く、将来性も高いと考えています。今後はこの分野に注力していくことになるでしょう」

----クライアント向け製品のビジネスについてはどうお考えになりますか。

「OEMと合わせた規模では、エンタープライズとそう変わらないと思います。クライアントPCでは昨年の秋ごろから、企業向けはLANを標準で備えたものが主流になり、コンシューマー向けでも、モデムを標準で搭載した機種が増えています。したがって、コンシューマー向けのアフターマーケットはアップグレードユーザーが中心になリ、新規購入者の割合は少しずつ減少していくことでしょう。一方で、オンボードで搭載するネットワークコントローラーなどのOEM出荷はのびていきます。OEMと合わせて考えるといったのはその意味なわけです」

日本でのシェア拡大とブランドイメージの普及に努めたい

----日本でのスリーコムのシェアに関してはどうお考えになりますか。

「ワールドワイドの市場では、ネットワークアダプターカードのシェアが年を追うごとに増え、10Mbps/100Mbpsの製品では、60パーセント近いシェアを押さえています。また、今年度の第1四半期に、オンボードで搭載するLANインターフェースの分野でトップシェアを獲得したことを始めとして、出荷する製品の多くが1位または2位のシェアを獲得しています」

ワールドワイドの市場でのスリーコムのシェア。ネットワーク関連の多くの製品が高いシェアを誇っている。
ワールドワイドの市場でのスリーコムのシェア。ネットワーク関連の多くの製品が高いシェアを誇っている。


「10Mbps/100Mbpsのアダプターカードは日本でもトップシェアを収めていますが、まだ、全体の20パーセントほどのシェアにとどまっています。今後は、より多くのシェアを取るとともに、今まで弱かったPC OEMにも力を注いでいきたいと思います」

----Palm IIIの正式な日本語版を待ち望んでいる声も多く聞きますが。

「Palm IIIはまだ、テストマーケティングの段階です。日本でも近い将来、出荷する予定ですが、明日、明後日というほど近くはないでしょう。アメリカでは、約50パーセントがバーチカル(企業向け特定用途)向けに供給されているのですが、日本で出荷する場合にも、バーチカル向けに供給できるよう、サポートなどの環境を整えてから投入していきたいと考えています。Palm IIIは本腰を入れれば成果の大きい分野だけに、期待しています」

----アメリカで発売されている、SOHO向けISDNルーターに関してはどうでしょう。

「SOHO向けISDNルーターに関しては、私も期待しています。ISDNのインターフェースを日本向けに合わせるところで時間がかかっていますが、そこをクリアーすれば製品化が可能でしょう」

----Gigabit Ethernetに関してはどうでしょう。

「サーバーのバックボーンにつなぐ用途としては徐々にニーズが高まっています。エンドユーザーからは、バックボーンにつなぐためのスイッチをGigabit Ethernetに対応させてほしいという要望があります。しかし、Gigabit Ethernetが広範に普及するにはまだまだ時間がかかるでしょう。クライアント向けの製品が普及するためにはあと4、5年は必要です」

----最後に今後の目標について教えてください。

「スリーコムは、日本市場でも、ネットワークアダプターカードの接続性の高さや信頼性の面で高い評価を受けています。しかし、それ以外の分野の知名度ではまだまだこれからです。今後は、スリーコムのブランドイメージを広く浸透させることに力を注いでいきたいと思います」

「また、スリーコムジャパンとしては、将来的には売り上げを本国のスリーコムコーポレーションの10パーセントにまで持っていきたいと考えています。私どもとしては、今後、エンタープライズのチャネルを拡大していくとともに、SMEに向けたチャネルも活性化していきたいと思います。これが2つの大きなフォーカスです。また、成長率の高いPC OEMの分野でも徐々にビジネスを広げていくつもりです」(風穴 江、報道局 小林 久)

http://www.3com.co.jp

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