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【INTERVIEW】ニィス・伊藤社長、「PDF文化の広がりに期待」

1998年07月06日 00時00分更新

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 (株)ニィスは、7月25日、MacintoshとWindowsに対応したCIDフォント105書体を発売する。CIDフォントの今後と、PDFファイルとの関わりに関して、同社の代表取締役、伊藤 晃氏にお話を伺った。


MacintoshとWindowsの架け橋としてPDFに期待

----7月25日にMacintoshとWindowsに対応したCID/OCFフォントを発売すると発表なさいました。いち早く、CIDフォントに取り組まれた理由は何ですか。

「今後、PDF形式のドキュメントでは、CIDフォントを活用せざるをえない状況になってきます。Adobe社は、CIDフォントに力を注いでいくでしょうし、Windows環境では、OCFフォントの種類が少なく、増える見込みもありません。また、CID形式のみ対応の日本語ポストスクリプトプリンター『Xerox 2230 PS』が発売されたりしています」

ニィス代表取締役の伊藤 晃(いとう ひかる)氏
ニィス代表取締役の伊藤 晃(いとう ひかる)氏



----なぜ、PDFを重要視なさっているのですか。

「私どもの会社は、もともと『日本情報科学株式会社』という名前で、1972年から、大型コンピューターの受託計算を行なってきました。しかし、パソコンが登場したとき、受託計算業務は早期に衰退すると予感しました。そこで、受託計算での人名処理の経験をもとに、土地勘のある文字デザインの世界に飛び込んだのです。それだけに、情報処理と文字デザインの双方に思い入れがあります」

「今までは、どう美しく見せるかというデザインにこだわるMacintoshの世界と、情報処理を重視し、文字は伝達の手段として機能しているWindowsや大型コンピューターの世界とがあり、それぞれ独自の文化を築いてきました。しかし、データとしての性格が強い情報も、顧客へのアピールが必要な時には、デザインや見栄えが問題になります。そんな時、Windowsの集計データをMacintoshで美しくレイアウトしてMacintoshでもWindowsでも見せるという芸当が、PDFを介してなら実現できます。PDFは両者の文化の橋渡しとなるのです。また、データベースのレイアウトはページ数も多くまとまった仕事になるため、その意味は大きいと思います」

PDFとCIDは手を携えて進歩していく

----どのパソコン、どのプリンターでもまったく同じに出力されるといいながら、受け取った側にオリジナルで指定した日本語フォントがない場合、代替のフォントが利用され、見栄えなどが変化するという批判が、PDFにはありますが。

「Adobe社の『Acrobat4.0』が、今年の暮れに発売になります。このバージョンから、日本語でもフォントデータをコンパクトにまとめ、ドキュメントに埋め込めるようになります。フォントの置き換えが生じないため、制作者の意図をそのまま反映した書類が見せられます」



----PDF形式がどんどん広がり、それに付随する形で、CIDフォントも普及していくと考えますか。

「PDFとCIDは手を携えて広がっていくことになるでしょう。例えば、フォントのバリエーションが増加すれば、PDF書類中に選ばれたフォントで、発信側の意図や性格を表現できます。電子メールによるテキストのみの伝達とは異なった、表現の世界が広がることでしょう。また、CIDフォントの説明会などの席で、大手電機メーカーの人々を見かけるようになりました。きっと、マーケットやアプリケーションの広がりを予感しているのでしょう」

----商品としてフォントを出しているメーカーは20社程度あります。各社、何千字もの文字デザインをデジタルデータとして所有しているわけですが、どうしてCIDの市場に参入してこないのでしょうか。

「インストーラーを作ることの困難さが挙げられると思います。ポストスクリプトプリンターははっきりとしたOSを持っているわけではありません。ファイル管理のやり取りをすることが難しいのです。各社のそれぞれの機種に対し、個別に対応していくしかないのが現状です。ニィスでは、プリンターメーカーにフォントのインストーラーを預け、検証してもらいます。弊社フォントのパッケージ発売後、新たに対応したソフトRIP用のインストーラーについては、次の改訂時期までメーカー、販売店にインストーラーを提供し、ユーザーに利用していただくつもりです」

(報道局 小林 久)

http://www.nisfont.co.jp/

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