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【INTERVIEW】デジタルネットワーク世代のための新雑誌『MONTHLY BART 3230』が集英社より本日創刊

1998年07月06日 00時00分更新

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 (株)集英社は月刊誌『MONTHLY BART 3230』を本日新創刊する。各種のツールを駆使した読者との双方向コミュニケーションを意欲的に展開する。また一般誌では珍しくCD-ROMを付録に付ける。一方、写真画像と漫画家の線画とを組み合わせるなど、デジタル手法と紙媒体との連携のあり方も探る。デジタルメディアを強く意識した『BART 3230』は雑誌の新しい在り方をどう提案していくのか?堀江信彦編集長にお話を伺った。

『BART 3230』 堀江信彦編集長 『BART 3230』 堀江信彦編集長


----まず『MONYHLY BART 3230』のキーポイントを伺いたいのですが。

「ポスト・バブル世代に向けた“新世代サラリーマンのためのストリート誌”ということです。いわゆる“ストリート系雑誌”ではなく“真実は路上にある”という基本を意識しています。ターゲット読者層は22歳から32歳のサラリーマンですが、この世代は一獲千金といった現実ばなれしたことより、自分のごく身近のリアルな情報を重視しているんですよ。携帯電話所有率が70パーセント、PC利用率が80パーセントにも及んでいます。リアルさ、スピード、双方向性に関して非常に敏感なのも特徴です」

『MONYHLY BART 3230』創刊号 『MONYHLY BART 3230』創刊号


----積極的な読者参加を強く意識した企画が多いようですが。

「はい。特集では147人のサラリーマンの方に登場してもらいました。これには雑誌があこがれの世界ではなく、実際読者に参加してもらう、身近なコミュニケーションツールのひとつになれればという思いがあるんです。例えば、パソコンを買うときまずどうするかと言えば、身近の詳しい人に聞くことから始めますよね。『BART 3230』はそういうネットワークの一つになりたいと思っています」

----具体的な手段としてどんなことをお考えですか?

「読者との双方向性を考えたとき、E-mailやインターネットは非常に有効な手段だと思います。本誌目玉の一つとして“3230バートマイレージ”というコラム・システムがあります。これは読者にE-mailなどで情報を提供してもらい、その価値に応じてマイルを発行するというもので、マイル数により航空券をプレゼントします」

「この他に“Eメール文学賞”という企画を旧『BART』の時から引き続いて行なっています。パソコンのモニターで読まれるための“文学”を募集するコーナーです。星新一さん以降、短編の書ける人が少ないですよね。そういう短編の書ける人を発掘したい。これから新しい文体、新しいメディアに載る活字というものが生まれてくる期待があるんです」

----今回の号にはCD-ROMが添付されるそうですが。

「ええ、そうです。年に4~5回、付ける予定です。CD-ROMも雑誌の一部として考えていまして、独自の企画内容になっています。野茂選手の独占インタビュー、表紙を飾った広末涼子さんのデジタル写真集や撮影現場のメイキング・ムービーを取り入れました。ほかにも以前から連載中のコミック『日本国初大統領・桜木健一郎』のバックナンバーや、南伸坊さんのデジタル版『私が本人です』も収録しています。家なり、会社なりで80パーセントの読者がCD-ROMを使える環境にあるのですから、これを使わない手はないと思います」



トップメニューで“空き缶”をクリックすると、それぞれのコンテンツが始まる トップメニューで“空き缶”をクリックすると、それぞれのコンテンツが始まる


----だとすると、CD-ROMのみに凝縮すれば、という感じもするのですが。

「ペーパーメディアとしての雑誌の可能性もまだまだ見失ってはいません。例えば漫画界ではCGを取り入れた手法が一つのブームとなっていますが、それをもっと進めた“デジタル・フィクション”というものを考えています。これは写真画像と漫画家の線画を合わせて、デジタル処理で一つのコミックを仕上げる新しい表現手法です。カラー彩色では難しかった人の肌などを実際の写真から取り込むことで、リアリティを追求できます。次号から漫画家の北条司氏と、CGクリエイター永田太氏とのコラボレーションによる作品が連載されます」

「現在の漫画には手塚治氏が始めた“漫画”と漫画の物足りなさに対して派生してきた“劇画”、今のところこの2派が存在します。これからは言うならば“デジ画”なんていうものがあってもおもしろいですよね」

----最後に、タイトルにある数字“3230”の意味を教えて下さい。

「これは集英社の編集部の多くが使っている電話番号“03-3230-XXXX”の局番部分なんです。そして『BART』編集部の読者専用FAX番号“ホットライン3230”の下4けた、“03-5211-3230”でもあります。ファッションデザイナーのポール・スミス氏が提案してくれたのですが、数字を使うことによって文字以上に脳裏に焼き付く、世代のにおいがそこにはあると思うのです」

 “デジタルフィクション”では服や小物、車まで実在のものを使い写真と絵の間にあるものを表現することを試みる。活用法はコミックにとどまらない。企業とのタイアップで提供された小道具を使うなど、新たな表現手段で製品を紹介することもできる。

 新生『BART 3230』がデジタルメディアを取り込んだ新しいスタイルのペーパーメディアとして、雑誌のひとつの方向性を導き出すのか、楽しみだ。(千葉英寿、報道局 清水久美子)

http://www.bart-magazine.com/

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