日本ユニシス(株)は、企業の中・大規模業務にWindowsNTを核として活用する“エンタープライズNT(eNT)戦略”を体系化し、本日記者発表会を行なった。同社代表取締役社長の天野順一氏は、「ユニシスの得意とするメインフレーム技術を活用して、NTプラットフォームをさらに大規模な業務に対応させたい」と戦略の趣旨を説明した。
代表取締役社長の天野順一氏 |
eNT戦略の中核となるのが、中・大規模サーバー向けアーキテクチャー“CMP(Cellular
MultiProcessing)”。インテルの次世代プロセッサー『Xeon』(32bit)を最大32個搭載できるほか、メモリー容量は最大32GB、PCIスロット数は最大96などとなっており、メモリーとL3キャッシュとの間に“クロスバー”を設けることで、最大8のシステムでメモリーを共有できるとしている。また、64bitプロセッサーをサポートした設計をとっているため、インテルが2000年にリリース予定のプロセッサー『Merced』も搭載できるという。
米ユニシス社副社長のLeo Daiuto氏 |
米ユニシス本社より来日したLeo Daiuto(レオ・ダイウート)副社長がCMPについてさらに詳細な説明を加え、「SMP(Symmetric
MultiProcessor:対称型マルチプロセッサー)とクラスタリング(複数のシステムをひとつのサーバーシステムとして運用する技術)の長所を兼ね備えたアーキテクチャーである」、「システムを区切るパーティションは動的に変更でき、WindowsNTのほかにも複数のOSをサポートする」などの特徴を紹介した。なお、CMPサーバーの具体的な製品発表については今年第4四半期に行ない、出荷開始は'99年前半を予定しているという。
さらに同社ではeNT戦略の一環として、CMPアーキテクチャーをベースとしたサーバーソフト群を開発・販売すること、サービス・サポートの拠点となる“eNTテクノロジーセンター”を7月28日に開設することなどを発表した。現在、同社のWindowsNT関連事業の売上は500億円に満たないが、2000年には2、3倍まで引き上げたいとした。
また発表会の席上、同社が販売しているPC『AQUANTA』シリーズのミッドレンジ以下の製品について、自社開発を取りやめ、今後は日本HPからのOEM供給を受ける方針が明らかにされた。上位製品については自社開発を継続するという。
左から、インテル代表取締役会長の西岡郁夫氏とマイクロソフト常務取締役の長谷川正治氏 |
同社はインテル(株)、マイクロソフト(株)と連携して製品開発やサポートを進めていくことを強調。発表会には、西岡郁夫・インテル代表取締役会長、長谷川正治・マイクロソフト常務取締役も同席し、それぞれ、「メインフレームをはじめとする“基幹系”と、インテルアーキテクチャーが荷っていた“情報系”の相互の情報がCMPによって急速に統合されるだろう」(西岡氏)、「WindowsNT5.0では、C言語のコードで3000万ステップ、BackOffice全体では数億ステップにも及び、ソフトは巨大化している。CMPアーキテクチャーでどのように使われていくのか楽しみ」(長谷川氏)などとコメントを寄せた。(報道局 浅野広明)
CMPサーバーの試作機。サイズは幅673×奥行き1118×高さ1765mm。 |