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日本IBM、オリンパス、ジャストシステムが音声認識技術を活用した製品を発表

1998年06月24日 00時00分更新

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 日本アイ・ビーエム(株)、オリンパス光学工業(株)、(株)ジャストシステムの3社は、音声認識技術を活用した製品とその共同開発および協業体制について発表した。

 3社は、この協業により、場所・機器の形態にとらわれない、使いやすいコンピューターや電子機器を共同で開発し、需要を開拓していくという。

 共同開発プロジェクトとして、“日本IBMとオリンパスのジョイント・プロジェクト”と“日本IBMとジャストシステムのジョイント・プロジェクト”のふたつを発表した。



●日本IBMとオリンパスのジョイント・プロジェクト

 オリンパスの小型ボイスレコーダー『Voice-Trek VT1000RV』で録音、圧縮した音声を、日本IBMとオリンパスが共同開発した音声認識ソフト『ViaVoice Transcription』用の入力データとして扱い、録音した音声を文字データに変換するプロジェクト。

●日本IBMとジャストシステムのジョイント・プロジェクト

 日本IBMの音声認識ソフト『ViaVoice 98 日本語版』を、ジャストシステムの『一太郎Lite』に対応させ、音声だけで文章の入力や操作ができるようにするほか、情報検索システム『ConceptBase Search』と日本語変換システム『ATOK』を音声入力に対応させるプロジェクト。

 日本IBM社長の北城恪太郎氏は、「コンピューターは、進化をとげてきた。しかし、まだまだ使いにくい。人間にやさしいヒューマンインターフェースを開発し、使いやすいものを提供していきたい。消費者にとって、価値あるものを作って、この不況を乗り越えたい」とし、「ただソフトを販売するだけでは、実際の利用までつながらない。今回、オリンパスとの協業で、コンピューターとの接続が可能なボイスレコーダー『Voice-Trek VT1000RV』を共同開発した。そして、ジャストシステムとは共同で『ATOK』、『ConceptBase』、『一太郎Lite』を音声入力に対応させた」と述べた。

 また、上記のふたつのプロジェクトに伴い、3社はそれぞれ関連製品を発表した。

●日本IBM、音声認識ソフト『ViaVoice 98 日本語版』を7月24日に発売

 日本IBMは、音声認識ソフト『ViaVoice 98 日本語版』を7月24日に発売する。あらかじめ用意されたふたつの文章を読むことによって、入力者の声の癖を認識して、しゃべった人の特徴に合致する音声データパターンを選択する“クイックトレーニング”機能が新たに加わった。また、音声サンプリングレートを従来の約11kHzから22kHzへと2倍にし、より細かく音声データを抽出することが可能になった。さらに、基本辞書を従来の約4万2000語から6万6000語に拡充、合計12万8000語が収容可能になった。

 これらの機能の追加によって、音声認識速度が大幅に向上し、修正を含めてキーボード入力よりもおよそ2倍速い文字入力が可能になったという。音声認識率は約90パーセント。価格はマイクロホン付きで1万8000円。対応OSはWindows95/98/NT4.0。『Aptiva』シリーズに同ソフトをバンドル。『ThinkPad』シリーズには同ソフトの優待クーポンが同梱される。



●オリンパス、ボイスレコーダー『Voice-Trek VT1000RV』を7月4日に発売

 オリンパス光学工業(株)は、ボイスレコーダー『Voice-Trek VT1000RV』を7月4日に発売する。同製品は、音声を録音し、圧縮したデータを音声認識ソフトの入力データにできるもの。音声は記録メディア(ミニチュアカード)に保存され、このカードをPCカードアダプターでコンピューターに接続し、『Voice-Trek』専用音声認識ソフト『ViaVoice Transcription』で文字に変換する。

 本体の重量は150gと携帯性に優れている。サンプリング周波数は標準モードで12kHz、長時間モードで8kHz。録音時間は同梱の2MBミニチュアカードでは、標準モードが約15分、長時間モードが約33分。オプションで販売される4MBのミニチュアカードでは、標準モードが約32分、長時間モードが約1時間10分。

 「わが社では、新しい需要を創生していきたいと考えている。そのためには、先を見通して、需要を開拓するような製品を市場に投入していかなくてはならない。現時点では、映像のデジタル化、デジタルカメラの市場が期待以上に市場が広がっている。今後は音のデジタル化、音を活用した製品を展開していきたいと考える」と同社社長の岸本正壽氏は語った。

●ジャストシステム、『一太郎』、『ATOK』と『ConceptBase』を音声認識に対応

 (株)ジャストシステムは、『一太郎』のノートパソコン版『一太郎Lite』(7月30日発売予定)をIBMの『ViaVoice 98 日本語版』に完全対応させると発表した。音声入力だけでなく、音声によるコマンドの実行も可能。

 そのほか、『ViaVoice 98 日本語版』の音声認識エンジンに完全対応した日本語変換システム『Voice ATOK(仮称)』と、『ViaVoice 98 日本語版』の音声ファイルに対応した情報検索システム『ConceptBase Voice Filter(仮称)』を今年の秋に発売する。『Voice ATOK』は音声入力とキーボード入力の併用にも対応しており、用途に応じた入力を実現できるという。

 『ConceptBase Search』は、自然文による検索を実現した情報検索システム。同製品への音声情報取り込みを実現する『ConceptBase Voice Filter』は、音声ファイルと文書ファイルの混在検索が可能なシステムで、音声による指示で検索ができる。また、オリンパスの『Voice-Tek』の音声メモをそのまま『ConceptBase Search』に取り込み、検索することが可能。さらには、『ViaVoice 98』との連携により、音声認識で変換された文字データをデータベースに取り込み、検索が行なえるという。

 「今回の発表で文字検索だけでなく、音声検索が可能になった。映像についも、音声を映像に付け加えることによって検索は可能。情報家電の分野ではキーボード入力は大きな壁であるから、音声は大きなキーワードになると考える」と同社社長の浮川和宣氏は語った。

(報道局 西川ゆずこ)

・日本IBM
 http://www.ibm.co.jp/
・オリンパス光学工業
 http://www.olympus.co.jp/
・ジャストシステム
 http://www.justsystem.co.jp/

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