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【INTERVIEW】「IBMとの提携を武器に、企業ユーザーを開拓」成田明彦シマンテック社長

1998年06月08日 00時00分更新

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 米シマンテック社と米IBM社は、両社のウイルス対策ソフトをシマンテックの『Norton AntiVirus』に統合し、共同でマーケティングや販売を行なっていくと発表した。今後は、米シマンテック社が、米IBM社の“immune System”(イミューンシステム=ウイルスを発見したらオンラインで自動的に定義ファイルやスキャンエンジンの更新を行なう仕組み)などの技術を利用して、ウイルス対策ソフトを開発する。一方の米IBM社は、IBM製のウイルス対策製品の顧客やOEM先をシマンテックに委譲するとともに、『Norton AntiVirus』をIBMのパソコンにバンドルして出荷したり、企業ユーザーに使用を推奨していく。'97年には、IBMのパソコンは、全世界で720万台、日本だけでも87万台出荷されている。これらのすべてに『Norton AntiVirus』がバンドルされるわけではないが、シマンテックにとっては重要な提携であることは間違いない。この提携の日本でのインパクトを、米シマンテック社の日本法人である(株)シマンテックの成田明彦社長に伺った。

日本ユニバック(株)、(株)アルゴグラフィックスを経て、'89~'94年までアップル・コンピュータ(株)で営業部門を担当し、日本でのMacintoshのシェアを2位にまで引き上げた功労者。'94年に(株)シマンテック代表取締役社長に就任。また、米シマンテック社の副社長も兼任している。 日本ユニバック(株)、(株)アルゴグラフィックスを経て、'89~'94年までアップル・コンピュータ(株)で営業部門を担当し、日本でのMacintoshのシェアを2位にまで引き上げた功労者。'94年に(株)シマンテック代表取締役社長に就任。また、米シマンテック社の副社長も兼任している。



----IBMとの提携が、日本法人に与えるインパクトは?

成田「今回の提携により、IBMはウイルス対策ソフトの開発・販売をやめ、シマンテック製品の販売を支援することになる。今回の提携は、シマンテックにとっても魅力のある話だった。それは、まず、IBMの“immune System”という技術を利用できるという点、そして、IBMの販売網を利用できるという点、さらに、IBMの支援により、企業ユーザーからの信頼度も大きくが上がったことだろう」

----日本法人の業績に関し、どのような影響があるか?

成田「提携の効果に関しては、現在日本IBMにヒヤリングを行ない詰めている段階で、具体的な数字は申し上げられないのが現状だ。ただ、一般ユーザー向けのパッケージでのウイルス対策製品では、(株)トレンドマイクロとほぼシェアを分け合っている状態だが、企業ユーザーに関しては、当社が日本でウイルス対策ソフトの販売を開始したのが昨年からだったこともあり、他社の後塵を拝している。だが、日本DECをはじめ、いくつかの大企業が当社製品に切り替えるなど、徐々に拡大しつつある。ウイルス対策ソフトの拡大もあり、1~3月の当社全体の売上高は60パーセントも伸びた。今後も、IBMのバックアップが大きく貢献してくれるだろう」

----大阪営業所を開設したり、TVCMを流したり(毎週水曜日に日本テレビ系『今日の出来事』で放送)、徐々に日本での活動を積極化させているようですが?

成田「大阪営業所は2人体制でスタートしたが、年内には4~5人に拡充する予定。企業ユーザーからすると、ソフトメーカーに直接意見を言いたいという要望が強いのだが、大阪は特にそういう傾向が強いようだ。また、西日本の営業を拡充するのも狙いのひとつ。TVCMを開始したのも、企業ユーザーへの浸透を図るのが、その狙い。CMを流す枠をテレビ東京ではなく、日本テレビ系のニュース番組にしたのは、当社の製品をできれば全国に、少なくとも関東、関西、名古屋の企業ユーザーに知ってもらいたかったからだ」

----企業向けユーザーを開拓するために、新しいサービスを検討中とのことですが?

成田「6月上旬に、電子メールにより、定義ファイルやスキャンエンジンの更新情報を知らせるサービスを開始する。当社は、これまでも定義ファイルやスキャンエンジンを最低でも月1回、多いときは月5回、定義ファイルやスキャンエンジンの更新を行ないホームページで無償ダウンロードを行なってきた。電子メールによる情報提供を行なうことで、よりタイムリーなウイルス対策が行なえるようになる。また、この秋にも、ユーザー登録をホームページで行なえるようにする計画中だ」

----今後の日本法人の目標は?

成田「日本法人の売上は、シマンテック全体の7パーセントを占めているが、これを10パーセントにまで拡大させていきたい。また、現在約20人の派遣社員も含め80人の体制だが、これを100人にまで増やすことも考えている。これまでは中途採用だけだったが、2000年入社の新卒社員の採用も計画している。これは、米本社の方針でもあるが、新卒社員を教育することで、シマンテックのカルチャーをより強化していきたい」

----シマンテックのカルチャーとは?

成田「これまでは、開発中心でずっときたこともあり、ユーザーの声を聞こうとしない開発重視の体制だった。しかし、1年半ほど前に売上が伸び悩んだこともあり、“Taking Change”という意識改革運動を開始した。お客様を常に中心に据えて、客が何を求めているかを考えることを社員に働きかけた。また、今日何をすべきか、明日何をすべきかといった目標を、随時社員一人一人に与えている。“Taking Change”と書かれたパンフレット(注:冒頭の写真で成田社長が手にしている)を配布して、意識改革を進めているところだ。また、“Taking Change”にかかれた標語のいくつかは社内に掲示してある」



----ライバルのトレンドマイクロが、この8月にも株式を公開しますが?

成田「企業ユーザーに当社を認知してもらうためには、株式を公開した方がよいとは思っている。将来的には、公開したいという気持ちはあるが、当面は当社が株式を公開する予定は無い」

 シマンテックのウイルス対策ソフトの浸透度を考えると、日本での販売開始が昨年だったと聞いて意外に感じる人も多いだろう。また、つい最近発見されたMacintoshに感染する“AutoStart98”というウイルスへの対策の早さから、『Norton AntiVirus』のMacintosh版は、2~3割の売れ行きの伸びを示しているともいう。すでに一般ユーザーに製品が浸透している同社が、なぜTVCMを開始したのかと言えば、その狙いは企業ユーザーの開拓にある。ウイルス対策に関する企業ユーザーの意識が高まりつつある中で、IBMという強大なパートナーを得たシマンテックのウイルス対策へのプレゼンスは、今後ますます大きくなっていくのだろう。

(報道局 佐藤和彦)

http://www.symanec.co.jp/

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