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【INTERVIEW】日本NCR「3つのデータウェアハウスソリューションを開発中」

1998年05月26日 00時00分更新

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 増大、分散化する業務データを一元管理する“データウェアハウス”に対する企業の関心は確実に高まりつつある。データウェアハウスにより、社員は企業全体の状況を把握でき、業務分析や戦略立案に活かすことができるからだ。今回アスキー24は、データウェアハウス業界最大手である日本NCR(株)の金井啓一・産業システム本部統括部長に、現在開発中という3つのシステムについてお話を伺った。いずれもデータウェアハウスをベースとした業務用システムで、概要は以下のとおり。

・『RAPID(Rapid Action with Pilling-up Intelligence by Data-warehousing)』
 管理会計を主眼としたシステム。各種伝票を一元管理し、企業の各部門の財務分析、経営分析を行なう。

・『LAD(Logistic Analyzing Datawarehouse)』
 在庫や入出荷、配送などのデータを一元管理、分析することで、物流プロセス全体を最適化するシステム。

・『顧客データウェアハウス』
 クレジットカード、保証書、修理明細などの顧客データを一元管理し、マーケティング分析や顧客サポートの強化を図るシステム。

金井啓一氏。「システムの仕組みを作るのが私の仕事。いろんな企業のノウハウを吸収しながらコンセプトを固める。そして開発部門に渡す」 金井啓一氏。「システムの仕組みを作るのが私の仕事。いろんな企業のノウハウを吸収しながらコンセプトを固める。そして開発部門に渡す」



----コンピューター業界が、分散化、ダウンサイジングを進めている中で、一元管理を基本とするデータウェアハウスのアプローチは、時代に逆行しているようにも見えますが。

 「設計、製造、営業成績、受発注、在庫、物流、財務などがばらばらでは、企業全体としての戦略が決定できません。また、週締め、月締めがばらばらであったり、製品型番ごとに集計されているだけでは、全体が見返せません。1件1件の伝票のレベルで、何十ヵ月ぶんのデータがひとところに集まっていてこそ、整合性を保った分析ができるのです」

----RAPIDはどの程度、開発が進んでいるのでしょうか。

 「論理データモデルの構築、つまり複数のデータをデータベースのどこに配置し、どのデータとどのデータとを関連付けるかという作業は完了しています。NCRは現在、積水化学の管理会計システムの構築をサポートしており、RAPIDにはこの共同作業で得たノウハウも取り入れています」

----RAPIDをパッケージソフトとして発表する予定は。

 「それに関しては未定ですが、システム自体は半年後をめどに本格的な稼動にこぎつけたいですね。われわれも3つのシステムの中で一番注目しています」

----LADの開発状況は。

 「考え方の枠組みが固まり、本格的に展開を始めたという段階ですね。物流コストの削減は、すべてのメーカーに絡んでくる課題なので、ひょっとすると大当たりするかもしれません。複数の運送会社からデータを提出させ、分析することで、積載率のアップや配車の効率化が図れるはずです。今、荷物が1個でも100個でもトラック1台当たりの価格が変わらないという状況で、積載率などは本当にいいかげんなものです。LADはRAPIDとは別システムですが、最終的には融合していくことになるでしょうね」

----顧客データウェアハウスは。

 「これも考え方の枠組みを決めた段階。ターゲットには家電メーカー、自動車メーカーを想定しています。顧客データウェアハウスはこれまで金融、クレジットカード、流通など、もともと顧客データを持っている業界で利用されていましたが、最近、メーカーも注目し始めています。マーケティング分析を行なうために、顧客データを欲しがっているわけです」

 「今、家電においても自動車においても、個人情報を握っているのはディーラーです。その意味でディーラーはメーカーより強い。メーカーはデータウェアハウスを活用することで、主導権を奪おうとしているんだと思います。しかしディーラーも、大事な情報を簡単に手渡すわけがありません。メーカーは情報を受け取る代わりにこういうサービスをします、こういうメリットがあるんです、ということを示さねばならないでしょうね」

----データウェアハウスシステムの開発のポイントは。

 「2つのポイントに重点を置いて開発を進めています。まず初めのポイントとなるのが、論理データモデルの構築です。これは、データウェアハウスを設計するときに、データそのものを中心として捉えた上で、複数のデータをデータベースのどこに配置し、どのデータとどのデータを関連させるかということです。データを中心とするこの手法は、DOA(Data Oriented Approach)といいます。従来、POA(Process Oriented Approach)という、処理を中心とした手法が主流だったのですが、これでは、入出金や受発注など、処理が変更するごとにプログラムを作り直さなければなりませんでした。しかしDOAならば、データの配置を考えるだけで、基本的にどんな処理でもできるんです。例えば売上一覧表を作る場合でも、データの配置を変えるだけで製品別、お店別の一覧表が簡単に作れます」

 「次のポイントがビジネスビュー。データウェアハウスを検索するとき、どういう視点で見、どういう分析をするかということです。例えば、製品番号順に見るとか、店番順に見るとかいうことですね。このビジネスビューの設定は、各企業の業務を知らないとできません。ですから、われわれはシステムのパイロットユーザーになってくれる企業と、一緒に開発を進めていきたいと考えているわけです」

----『第3回データウェアハウスExpo'98』(7月8日~10日開催、http://www.reedexpo.co.jp/dw/)での出展予定をお聞きしたいのですが。

 「この3つのシステムのデモ版を参考出展する予定です。今、ハードもソフトも値段が下がっているから、売れはするけど儲かりません。NCRでは、これらのシステムで行なっているような、企業を対象としたシステム構築、運用サポートの比重が高まっており、今後もその傾向は続くでしょうね」

(報道局 浅野広明)

http://www.ncr.com/ncr_japan/

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