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「2000年問題は、経営戦略上の問題」Peter Jager氏が講演

1998年04月20日 00時00分更新

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 米Software Emancipation Technology社主催の講演会“西暦2000年問題”が行なわれた。ゲストスピーカーとして、英国の西暦2000年問題チーム特別顧問であるPeter Jager(ピーター・ジャガー)氏が招かれ、2000年問題に対する各国の取り組み、対応策のポイントなどを語った。



 2000年問題が起こるのは、西暦を下2ケタで管理しているシステム。1999年から2000年になる時点で下2ケタが“99”から“00”になることで、システムによっては、00をエラーと認識したり、1900年と認識するものもある。たとえば、定期的なメンテナンスを必要とするシステムにおいて、1999年から2000年になった段階で99年前にメンテナンスを受けたとして誤作動あるいは停止する場合がある。

 同氏は、'77年にはこうした問題に気付いていたが、「誰かが何とかしてくれるだろう」と放っておいたらしい。しかし、一向に解決しそうにない状況を見て、'91年ころから、2000年問題に関する研究やメディアへの発言を行なってきた。2000年問題の現状についてはまず、

 「アプリケーションの7割は、2000年には壊れていると思ったほうがいい。現時点が2000年ならば、日本のほとんどのビジネスは停止しているだろう」

 と日本での対応の遅れを指摘した。

 「会計年度のことも考えると、'99年1月にはシステムへの影響が急速に浮上してくるだろう。2000年問題においては、締め切りがはっきり決まっており、そもそも、IT産業が納期の遅れやすい分野だということを認識する必要がある」

 「現在は、対応がもっとも進んでいるアメリカでさえ、企業のうち2000年対応プロジェクトを組んでいるのは、約50パーセントだ。カナダ、英国がそれに続くが、高い数字とはいえない。政府の助成が進んでいる国もあるが、基本的には各国政府とも、民間企業で解決すべきという姿勢を取っている」

 そして、対応策を次のように語った。

 「すべてのアプリケーションを2000年問題に対応させることは不可能だ。そこで、企業にとってどの分野が基幹業務で、どの分野を優先的に解決すべきかという意思決定を行なうことが必要となってくる。つまりこの問題は、技術のみの問題ではなく、経営トップが関与すべき経営戦略上の問題なのだ」

 「対応プロジェクトチームを複数に分けてプロジェクトに冗長性を持たせたり、場合によっては、新たなコンピューターや人員を用意して、急場をしのぐ代替業務を行なうべきケースも出てくるだろう」

 なお、Peter Jager氏や2000年問題関連団体の取り組みは、http://www.year2000.com/で閲覧できる。(報道局 浅野広明)

http://www.year2000.com/

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