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IrDA、N:Nの双方向赤外線データ通信規格“AIR”を標準化へ

1998年04月16日 00時00分更新

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 IrDA(Infrared Data Association:赤外線データ通信協会)総会が4月14日~16日の3日間、大阪・中央区のホテルニューオータニ大阪で開催され、最終日の本日、記者会見および赤外線データ通信技術のデモンストレーションが行なわれた。



 IrDAは、世界各国の通信関連企業、パソコンのハードおよびソフトメーカー、デバイスメーカーなど163社により構成され、赤外線データ通信規格の標準化や普及促進を行なっている。IrDAによる通信規格は、通信デバイス間を結ぶわずらわしいコードを取り払ってくれるだけでなく、高速データ通信が行なえる、消費電力が低い、飛行機、病院など電磁波の影響を受けやすい環境下で利用できることなどで注目を集めている。Windows98でも標準装備する予定だ。

 現在、最大4Mbps、通信距離1m以内のデータ通信をサポートする通信規格“IrDA DATA (IrDA 1.0および同1.1)”のほか、今年2月には“IrDA Control(以前IrBusと呼ばれていた規格)”がIrDAによって認定されている。IrDA Dataが1:1のデバイス間の双方向通信に対応するのに対し、IrDA Controlは最大1:8の双方向通信が行なえるのが特徴。たとえば、ひとつのリモコンで8つの家電製品を操作したりできることになる。最大75Kbpsのデータ通信をサポート、通信距離は8mまで。

 今回の総会では、N:Nのデバイス間で室内無線LANを構成できる“AIR”が新たな通信規格案として採択され、7月の標準規格化を目指すことが明らかにされた。また、IrDA Dataを100Mbps程度まで高速化すべくワークグループを結成、1年後をめどに標準化を図りたいとした。

 IrDA副会長の高川雄一郎氏(日本電信電話(株))は、「IrDAの規格を、パソコンやデジタルカメラ、携帯電話だけではなく、腕時計や玩具にも拡張していきたい」などと今後の抱負を語った。

 主なデモンストレーションは以下のとおり。

●NTTグループ

 展示会場では、NTTグループの出展が特に目を引いた。日本電信電話(株)(NTT)は、IrDAインターフェース付き公衆電話機を都内での設置をすでに今月より開始。'98年第4四半期から導入を予定している非接触型ICカード対応公衆電話機にも、IrDA機能を標準装備するとしていた。これらによりノートパソコンやPDAを公衆電話に無線で接続し、ネットワークへアクセスすることが可能となる。



 NTTではそのほか、デジタルカメラを利用してホームページが作成できる『Irマルチメディアキオスク』や、ISDNステーション『ComBase』の参考展示も行なった。ComBaseは公衆電話としての機能のほか、ノートパソコン、PDAを利用したワイヤレスデータ通信、ICカードを利用したEメール受信、デジタルカメラからの画像転送の機能を備えている。



 また、NTTドコモ(株)は、ザウルス、携帯電話、ノートパソコンの無線接続のデモや(シャープ(株)との共同出展)、手で持たずに会話できる車載用携帯電話『HANDS FREE UNIT』などを、NTTアドバンステクノロジ(株)は、IrDAインターフェースを備えた本『Internet TVIQ Book』を参考展示した。この本は、ホームページ情報を掲載しており、ユーザーが気に入ったホームページの横についているボタンを押すと、それを閲覧できる仕組みになっている。



●カシオ計算機(株)

 カシオはIrDA対応腕時計『PC-UNITE』を展示。腕時計どうし、あるいは腕時計とパソコンとの間で、名前、住所、電話番号、Eメールアドレスなどのデータ転送が行なえるというもの。夏ごろ発売予定で、価格などは未定。同社では、「名刺代わりにも利用できる」としている。



●シャープ(株)

 シャープは、キーボード、マウス、複数のコントローラーを無線でパソコンに接続したIr Control対応システムや、複数のビジネスザウルスを無線で接続したHubなどのデモを行なっていた。また、デジタルTV放送を利用して、リモコンにデータを取り込み、ビデオ予約や電子レンジによる調理が行なえるなどといった応用例を提案していた。



 この赤外線データ通信の市場は、まだ未成熟。大量の情報を容易に交換できるという利点を活かして各社、応用例を模索中といったところだ。今後のアイデア合戦に期待したい。(報道局 浅野広明)

http://www.irda.org/

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