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エフ・アイ・シー販売、日本語版“Opera”を搭載したインターネット専用端末を発売。矢野経済研究所と新ビジネスモデルで販売展開へ

2000年07月26日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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エフ・アイ・シー販売(株)は25日、(株)矢野経済研究所と業務提携し、同社が開発したインターネット専用端末『SMART BLUE』の販売に関するビジネスプランを共同で進めていくと発表した。

アプライアンス用OSとしてBeIAを採用。ブラウザーには日本語版“Opera”を搭載

『SMART BLUE』は、台湾の大手PCメーカーFIC社が開発したインターネット専用端末。外形がW38×D225×234mmのスリムなノンPCで、10秒程度でクイック起動する。

CPUにナショナルセミコンダクターの233MHz・GXLVを搭載し、32MBのSDRAM、8MB(最大256MB)のコンパクトフラッシュに対応、USBポート×2、56Kbpsモデム、10/100MbpsのLANを標準装備している。サウンド出力、アナログVGA出力もあるので、テレビとの接続も可能だが、解像度の限界からCRTで使用を推奨している。

液晶ディスプレーに接続したSMART BLUE。外形W38× D225×H234mm、重量2Kg
液晶ディスプレーに接続したSMART BLUE。外形W38× D225×H234mm、重量2Kg



アナログVGA出力があるので、テレビにも接続できる。 ただし解像度はあまりよいとは言えないかもしれないアナログVGA出力があるので、テレビにも接続できる。 ただし解像度はあまりよいとは言えないかもしれない



SMART BLUEの前面。フロントパネルには USBポート×2と、マイク、ヘッドホン×各1を備えるSMART BLUEの前面。フロントパネルには USBポート×2と、マイク、ヘッドホン×各1を備える



SMART BLUEの側面。放熱用の穴がたくさん開いている のが分かる
SMART BLUEの側面。放熱用の穴がたくさん開いている のが分かる



SMART BLUEの背面。アナログVGA出力 ×1、PS/2×2 RJ11×2、電源コネクターを装備SMART BLUEの背面。アナログVGA出力 ×1、PS/2×2 RJ11×2、電源コネクターを装備



特筆すべき点は、アプライアンス用OSとしてBeIAを採用し、インターネットブラウザーに日本語版“Opera”を搭載している点だろう。

Operaのサイズは1MB以下と軽く、1枚のフロッピーに入るシンプルなブラウザー。ブラウジングのほかにもメールやニュースリーダー、Webページのズームイン/ズームアウトなどの機能を持つ。日本語版は今回の発表会が初お披露目となった。MP3の再生や、MediaPlayer、Macromedia Flash 4.0、PealPlayer G2 6.0、などのマルチメディア関連のプラグインもサポートしている。

価格は本体と15インチのCRTディスプレー込みで6万9800円を予定。

固定表示の広告収入をユーザーに還元するビジネスモデルも展開

両社は、このSMART BLUEを、ホテルなどの宿泊施設やマンションなどをターゲットに売り込んでいく。矢野経済研究所が考案したビジネスモデルは、『SMART BLUE』に画面固定の地域広告情報を表示させ、広告主から広告料を徴収、それをユーザー側に一部還元するというもので、ビジネスモデル特許を出願中。たとえば、賃貸マンションなどにSMART BLUEを設置し、広告収入の一部を管理費や修繕積立金に充てるといったことが考えられる。それによりマンションの入居率が向上するという相乗効果も狙える。

近隣情報の広告を表示する固定画面のイメージ近隣情報の広告を表示する固定画面のイメージ



ホテルでのサービスイメージ
ホテルでのサービスイメージ



マシンに固定IDを持たせることにより、どの場所の地域にマシンが設置されているか分かる。サーバー側から広告をダウンロードし、その地域にマッチした周辺店舗や情報などを効果的に宣伝できるので、広告主とネット端末購入者のワン・ツー・ワン・マーケティングが可能となる。地域に密着した広告は、矢野経済研究所のインターネット調査員2万5000人の協力により収集する。広告料については、ロケーションによって変わるので、一概には言えないが、数千円から数万円ぐらいを考えているという。

今後の展開としては、大手マンションやホテルでのデモンストレーションを実施し、本格的な販売を開始する予定。まずB2Bに特化したかたちで企業に売り込み、将来的にはコンシューマーを対象にした展開も考える。同時に広告希望企業を募集、全国の広告主やターゲットユーザーのデータベース化も進めていく。

矢野経済研究所の代表取締役社長、矢野曉氏は「IDCの調査によれば、ノンPCの出荷台数は、低コスト、柔軟性、汎用性などの要因により、2002年にPCを超えると予測されている。'99年のノンPCの出荷台数は1100万台(米国300万台)、2004年には8900万台(4000万台)になるだろう。今回発売するSMART BLUEは、ウェブアプライアンスに属するものだが、MP3フォーマットで音楽が聴けたり、デジタルカメラ、ゲームなどにも利用できるので、コンシューマー寄りの要素も持っている」と、今回の製品の開発背景やコンセプトなどに触れた。

右からBe社COOのSteveSakoman氏。エフ・アイ・シー販売(株) の代表取締役社長、蔡永桂氏。矢野経済研究所の代表取締役 社長、矢野暁氏
右からBe社COOのSteveSakoman氏。エフ・アイ・シー販売(株) の代表取締役社長、蔡永桂氏。矢野経済研究所の代表取締役 社長、矢野暁氏



また、同社の情報ネットワーク室課長、北沢良雄氏は、過去においてIA(インターネットアプライアンス)が成功しなかった要因について「ネット端末としての販売戦略があいまいだったこと、接続料金が高すぎたこと、価格だけしかセールスポイントがなく、サービスがあまり提案されなかったこと」を挙げ、同社が進めるSMART BLUEのビジネスモデルについて説明した。

エフ・アイ・シー販売(株)の代表取締役社長、蔡永桂氏は「プロトタイプの段階で、SMART BLUEは企業のB2Bに活用でき、我々の仕事を変化させるものだと考えた。そして、3ヵ月ほど前に、なにか良いビジネスモデルが提案できるのではないかと矢野研究所に話をもちかけた」と、業務提携の経緯を述べた。

Be社COOのSteveSakoman氏は、「“Opera”の日本語版は先週開発が終わったばかり。Be社としては、メーカー各社からBeIAのライセンス料をもらって収益を得たいと考えている」。また、先日フリーになったBeOSについては、「BeIAとは別ものだが、同じプラットフォームなので、同時に発展していけるようにしたい」と語った。

Be社COOのSteveSakoman氏Be社COOのSteveSakoman氏

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