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マイクロソフト、“Microsoft Tech・Ed 2000 Yokohama”を開催――企業ユーザーなどを対象に“Microsoft .NET”戦略を説明

2000年07月26日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は7月26日、企業ユーザーを主な対象に同社の最新技術について説明する“Microsoft Tech・Ed 2000 Yokohama”を、神奈川県横浜市の横浜パシフィコで開催した。会期は28日まで。

今回のTech・Ed 2000では、発表されたばかりの同社の次世代インターネット戦略“Microsoft .NET”に関するセッションが多く組み込まれている。会場には情報システム部門の担当者やエンジニアをはじめ、ウェブマスターなどインターネット関連ビジネスの関係者などが数多くの参加者が来場した。



基調講演内容も“Microsoft .NET”に変更

基調講演は、米マイクロソフト社のSQL Serverゼネラルマネージャーであるハル・ベレンソン(Hal Berenson)氏が、“Building The Internet's Next Generation”をテーマに行なった。当初、基調講演ではWindows DNA 2000に関する内容が予定されていたが、Microsoft .NETの発表に伴って急遽内容が変更された。

米マイクロソフト社のSQL Serverゼネラルマネージャーであるハル・ベレンソン氏
米マイクロソフト社のSQL Serverゼネラルマネージャーであるハル・ベレンソン氏



ベレンソン氏は、「今やサービス主体の新しいアプリケーションの波が出てきており、この新アプリケーションサービスは既存のツールでは構築しにくい。そのため新しい世代のアプリケーションサービスを提供する。それをわれわれは“Microsoft .NET”と呼んでいる」と、同社の戦略を説明した。

続いてベレンソン氏は、Microsoft .NETの概要を順に説明した。

「“Web Service”はアプリケーションコンポーネントを構築し、コンポーネントを共有することも可能だ。コンポーネントの共有は、企業同士のアプリケーション連携など、これまでもある程度は実現できた。しかし、一方のシステムが変わるたびにすべてを変更しなければならなかった。われわれはこの問題をXMLで打破する」

「XMLはユニバーサルなデータ方式であり、XMLを利用したやり取りは、単なるデータ交換だけでなく、アプリケーションサービス間でひとつの契約を結ぶようなものだ。XMLは今後すべてのソフトウェアに影響を及ぼすだろう。われわれがリリースする製品はXMLを意識して開発する」

「“.NET Platform”の構成要素は、開発ツールの『Visual Studio .NET』と『.NET Framework』、Windows DNA 2000 Serverとも呼ばれたサーバー群『.NET Enterprise Servers』、『.NET Building Block Services』、『.NET Device Software』だ。.NET Device SoftwareはクライアントPC用のソフトで、携帯電話やPDA、セットトップボックスなどの組み込み用途だ」

「.NET Frameworkは開発用インフラでマルチ言語のランタイム“Common Language Runtime”、新しいクラスライブラリー、ASP+を備えている。Visual Studio .NETはWeb Service開発ツールだ」

「われわれは、次世代サービスを提供する最良のプラットフォームと開発ツールを提供する。今後1~2年のうちにリリースされるだろう」と語った。

“Microsoft .NET”概要を説明するセッションを急遽追加

同イベントでは、Microsoft .NETに関する特別セッションも急遽追加された。“Real“.NET””と題したジェネラルセッションでは、同社.NETソリューション開発部の萩原正義氏が、.NETの概要を参加者に向けて説明した。

マイクロソフト(株).NETソリューション開発部の萩原正義氏
マイクロソフト(株).NETソリューション開発部の萩原正義氏



萩原氏はまず、Microsoft .NETがXMLに対応したプラットフォームであることを強調した。

「現状のウェブサービスはHTMLに対してID/パスワードを入力することでパーソナライズサービスを受けられるが、アプリケーション間の連携ではこういったHTMLによるユーザーインターフェースは意味を持たない。今後はHTMLから柔軟性を持つXMLが中心になる」

「XMLは柔軟性を持ったデータのやり取りが可能、標準インターネットプロトコルに対応するが、足りないところをマイクロソフトが提供していく。そのひとつがSOAPだ。また、共通サービスとしてユーザー認証や検索、カレンダー、メッセージ通知といった機能を共通のサービス構築要素として提供する」

「サードパーティーがウェブサービスを構築するための開発環境も提供する。それらがインターネット標準プロトコルで連携することで、よりよりサービスを提供できるだろう」

「ウェブサービスをアプリケーション構成要素として扱う場合、ファイアーウォールやプロキシーの配布、セキュリティー、異なるシステム環境間のデータ連携といった問題がある。そこでマイクロソフトはXMLを使ってSOAPで解決する」

「ユーザーインターフェースを介さないで企業の3階層システムにおける中間層を直接連携させる。ウェブサービスの実装システムは規定しないため、CORBAやEJBでも動作する。サービス連携で重要なのは連携の順序の規定が取れていることと、交換するデータ形式が決まっていることだ。よって業務プロセス情報を交換する必要がある。ウェブサービスはWindows、COM+以外の環境でも動作可能だ」

Windowsから.NETへの移行は、DOSからWindowsへの移行と同等の飛躍

「Windowsプラットフォームから.NET Platformへの移行は、DOSからWindowsへの移行と同等の飛躍だ。Windows DNAの3階層モデルは.NETでも利用できる。.NETでは、3階層モデルからクライアント/サーバー/サービスモデルとなる。またWin32 APIは、よりサービス指向の強いBase Frameworkに移行される」

「.NET Frameworkのすべてのクラスはコンポーネントとなる。われわれは一気に移行することは考えていない。段階的な移行として、Base ClassesとWin32 APIの併用して必要に応じて移行できるようになっている。また、同じプログラムの中で従来のCOM、Win32 APIのコードと.NETのコードを混在させて動作可能であり、同一ウェブサーバー上でASPとASP+を動作できる」

「.NET Frameworkの目標は開発の簡単化だ。例えば、認証設定などはプログラミングしなくてもプロパティーを設定するだけでいい。属性ベースのフレームワーク、プログラミングモデル、RAD開発環境(Visual Studio .NET)、ストレージ、これらの項目に対してユーザーが単純化して開発できるようにする」

.NETとDNAの共存

「.NETとDNAとの関係は、サービスフレークワークである.NETと、3階層およびコンポーネントロジックであるWindows DNAという位置付け。.NETのサービスを実装する上でDNAアプリケーション(コンポーネント)やDNAサーバーを利用できる。また、あまり密接に結合されていないインターネット連携はウェブサービス、密接な結合であるウェブサイト内の連携はDNAまたは.NET技術を利用する」

「相互運用性としては、.NETオブジェクトからCOM+オブジェクトやWin32のDLLを呼び出せる、また.NETオブジェクトはCOM+サービスを利用でき、COM+オブジェクトからは.NETオブジェクトを呼び出せる」

「.NETサービス階層は、Windows CE/Me/2000、およびWindows .NETを基盤とし、.NET Framework、.NET Enterprise Servers、Building Block Services、その上にOrchestration、Software Service、一番上のクライアント部がUser Experienceとなっている。製品は階層の下から順番に提供していく」と萩原氏は説明した。

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