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ケイ・ティ・テック、3Dホログラムを使用するセキュリティーカードシステムを開発──まずはパチンコ店向けに来年製品化

2000年07月26日 00時00分更新

文● 編集部 小林久

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ケイ・ティ・テック(株)は、米アメリカン・バンクノート・ホログラフィックス社(American Bank Note Holographics, Inc.)と共同で、機械読み取り式のセキュリティーカードシステムを発表した。3Dホログラムに割り振られた固有のIDを利用して、カードの磁気情報を暗号化。データ盗用を防ぐもので、プリペードカードやキャッシュカードへの応用が可能。同社では、その第1段として、偽造/変造の被害が多発しているパチンコ用プリペードカード市場に参入する。

ケイ・ティ・テックが開発したホログラム・セキュリティーカード“PASSカード”
ケイ・ティ・テックが開発したホログラム・セキュリティーカード“PASSカード”



会見に出席したケイ・ティ・テックの羽田卓也代表取締役会長は、「(今回の技術は)(1)偽造・変造ができない、(2)コストが安い、(3)汎用性が高い、(4)特許などの工業商用権が取れる、という4点を目標に7年前に開発をはじめた。当初は、2次元ホログラムで開発を始め、5年前に試作したが、うまくいかず、アメリカン・バンクノート・ホログラフィックス社と共同で3次元ホログラムを使用したカードの開発に着手した」と、開発経緯を説明した。

羽田氏は、「パチンコ業界では、プリペイドカードの偽造変造が相次ぎ、複数店舗間の汎用性が失われてしまった。我々が開発したセキュリティーカードが、全国共通という形で利用されれば、別店舗でカードが使えないことによるユーザーの金銭ロスもなくなり、パチンコファンにも喜んでもらえるはず」と、同社が来年市場投入する予定の“PASSカード”のメリットを強調した。

ケイ・ティ・テックの羽田卓也会長
ケイ・ティ・テックの羽田卓也会長



今回、ケイ・ティ・テックが開発した“ホログラム・セキュリティカード”は、3Dホログラムの中に8bitのID情報を埋め込み、それを利用してカードの磁気記憶部分に書きこまれた金額、日付、購入/使用店/セキュリティーコードなどの情報を暗号化する。また、各店舗に置かれた読み取り機は、ネットワークでホスト端末に接続されており、カードを使用するたびにセキュリティーチェックと新たなコード付加が行なわれるため、機器やカードを単体で持ち去っても暗号解析はできない。また、時系列情報を利用してさらにセキュリティーを高めている。

ホログラムは裏側に磁性体が塗りこまれたテープとして提供され、カード製造時にはそれを裁断して貼りつける。ホログラムのID情報をランダムに配置することで、カードごとに異なるID情報を低コストで提供できるようにしたという。カード1枚あたりの製造コストは、通常100~200円程度のデビットカードやICカードの10分の1以下。300~500回程度使いまわすことも可能なため、さらに低コストとなる。

ケイ・ティ・テックは、主にPASSカードの製造および供給を担当し、“PASSカード”システムの販売は、9月に設立する新会社“ホロ・インターナショナル株式会社”に託す。10月にはフィールドテストを開始し、システムの販売は2001年1月に開始する見込み。販売店舗数は当初の3カ月で300店舗、1年程度で1500店舗程度に拡大する予定。PASSシステムの販売を通じて、ケイ・ティ・テックは2000年度の年商270億円、2001年度の年商530億円、ホロ・インターナショナルはそれぞれ1兆3000万円、2兆7000万円を計上したいとしている。

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