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デジタルデバイド解消を目指した民・産・官・学の共同体“DCs地域情報化推進センター”が設立

2000年07月17日 00時00分更新

文● 若菜 麻里

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“民・産・官・学”が一体となって地域情報社会の実現を目指した新団体“特定非営利活動法人 DCs地域情報化推進センター”は17日、設立総会を開催、同時に記者発表会を行なった。

同団体は、理事長が元文部大臣の有馬朗人氏、また20県21団体(7月17日現在)のNPO(非営利組織)、民間企業では東日本電信電話(株)(NTT東日本)や、(株)日立製作所、(株)東芝、日本電気(株)、富士通(株)などコンピューターメーカーを中心とした13社、そして東京大学や三重大学などが支援・参画し、組織されている。

「DCs推進協議会設立準備事務局では、'98年から特にNPOとの関係を深めていった」と有馬朗人理事長
「DCs推進協議会設立準備事務局では、'98年から特にNPOとの関係を深めていった」と有馬朗人理事長



同団体の前身は、'96年に設立された“デジタルコミュニティズ(DCs)推進協議会設立準備事務局”だ。当時より、民・産・官・学が共同でITを活用して地域の問題を解決するための取り組みを行なってきた。

NPO法人化あたり、同団体は、以下を事業の柱に掲げている。
(1)デジタルデバイド(情報格差)の解消のためのIT人材育成
(2)全国のNPOを支援する知のネットワーク化とその基盤作り
(3)産・官・学・民の連携および協働のためのITプラットフォームの提供

今年度から来年度にかけては、ITを活用して、大学間の交流支援や産学の連携、コミュニティカレッジなどを開催する“デジタルコミュニティ(DC)スクール”や、地域情報社会に対応した人材を育成する“リテラシー促進事業”を推進する。また同団体に参画する地域のNPOサポートセンターの連携などを目指し、インターネットを活用したインフラ“NPOパートナーシップ情報センター”を10月をめどに公開するという。

特にリテラシー促進事業に関しては、“高齢者・主婦など情報リテラシーの初歩段階にある初心者向けプログラム”および“社会人のリカレント教育や再就職にあたっての職業訓練としての職業訓練プログラム”の2本立てで、IT教育が地域住民に提供される。そのためにまず、インストラクターにあたる“市民ITプロデューサー”を1県あたり約150人、育成するという。各県の事情により異なるが、市民ITプロデューサーは、IT系スキルをある程度持っている学生や主婦、社会人などから、ボランティアベースなどで募る予定としている。

財源としては、最初は国や県の予算で、そして事業が立ち上がってきたら、独立採算でまわしていくことを検討しているという。今年度は、宮城県、岩手県、三重県、京都府、広島の4県1府が、モデル事業としてリテラシー促進事業を開始する。

なお、リテラシー促進事業を提言としてまとめた“デジタルデバイド解決に向けた地域からの緊急提言”は、本日の設立総会で採択され、夕方に内閣総理大臣の森喜朗氏に手渡されたという。

有馬氏は、「アメリカに比べると、日本では一人ひとりがIT化に乗り遅れており、IT革命を推進していく必要性を感じている」と述べ、「情報格差を解消するために、ITに強い人材の育成を、従来のように産業の立場ではなく、生活者の立場から支援していきたい」としている。

なお、理事会のメンバーおよび同団体に参画するNPOサポートセンターは以下のとおり。

理事会は次のメンバーで構成される。
理事長:有馬朗人氏(参議院議員、元文部大臣・元科学技術庁長官)
副理事長:荒井広幸氏(衆議院議員)
理事:北川正泰氏(三重県知事)
理事:開原成允氏((財)医療情報システム開発センター理事長)
理事:濱田純一氏(東京大学大学院情報学環庁)
理事:藤原和好氏(三重大学学長補佐・遠隔事業室長、教育学博士)
理事:加藤哲夫氏(せんだい・みやぎNPOセンター代表理事・常務理事)
理事・事務局長:小島謙二氏

「IT革命に遅れをとると、エコノミよりもむしろデモクラシで世界に乗り遅れる。 この団体では、生活者の立場から、デモクラシの創造再生を目指したい」と北川 正泰理事
「IT革命に遅れをとると、エコノミよりもむしろデモクラシで世界に乗り遅れる。 この団体では、生活者の立場から、デモクラシの創造再生を目指したい」と北川 正泰理事



「IT革命で一部の人が利益を得るようではいけない。DCs地域情報化推進センターでは、すべての人たちの生活が豊かになるように、生活者起点という発想に基づいている
「IT革命で一部の人が利益を得るようではいけない。DCs地域情報化推進センターでは、すべての人たちの生活が豊かになるように、生活者起点という発想に基づいている



地域情報化リテラシー促進事業に参加するNPOは今のところ以下のとおり。

NPO法人NPO推進北海道会議/NPO法人北海道NPOサポートセンター(北海道)、あおもりNPOサポートセンター(青森)、いわてNPO-NETサポート(岩手)、あきたNPOネットワーク(秋田)、山形創造NPOネットワーク(山形)、せんだい・みやぎNPOセンター(宮城)、会津NPOセンター(福島)、ふくしまNPOネットワークセンター(福島)、特定非営利活動法人 長野県NPOセンター(長野)、コミュニティシンクタンク評価みえ(三重)、つなぐねっと(愛知)、NPO政策研究所(奈良)、市民活動センター(兵庫)、きょうとNPOセンター(京都)、市民活動ネットワークふくい(福井)、岡山NPOサポートネットワーク(岡山)、ひろしまNPOセンター/カントリーネットワーク(広島)、NPO高知市民会議(高知)、四国NPOサポートセンター(愛媛)、山口NPOサポートネットワーク(山口)、NPOふくおか(福岡)

設立総会には各県からNPOサポートセンターの代表が集まった
設立総会には各県からNPOサポートセンターの代表が集まった

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