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【Wireless Japan 2000/IP.net 2000 Vol.4】通信メーカーやキャリアのトップがカンファレンスに出席

2000年07月17日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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“Wireless Japan 2000/IP.net 2000”(東京ビッグサイト)では各社の展示に加え、モバイル関連企業のトップによるカンファレンスも開催されている。初日は“モバイルインターネットで開く通信新時代”をテーマに、内外の通信機器メーカーや通信事業者のキーパーソンが出席。数年後には固定通信網を上回るとされるモバイルインターネットがもたらす社会とビジネスの革新を解説した。ここでは、10月に大合併を控える第二電電(株)(DDI)副社長の小野寺正氏と、インターネット企業への転換を急ピッチで進める日本電気(株)(NEC)社長の西垣浩司氏の講演を紹介する。

東京ビッグサイトで開かれたカンファレンス
東京ビッグサイトで開かれたカンファレンス



「IMT-2000導入当初のサービスはcdmaOneで提供済み」

DDIとケイディディ(株)(KDD)、日本移動通信(株)(IDO)の3社合併による新通信会社“KDDI”の誕生まであと2ヵ月余り。4月には3社共同の“モバイルコンテンツ開発企画室”を立ち上げ、今月に入ってからは携帯電話によるインターネット接続サービスの名称を“EZweb”に統合、携帯端末も新ブランド“au(エーユー)”に切り替えた。合併を前に相次ぐ共同ブランド構築について、DDI副社長の小野寺正氏は「NTTドコモとJフォンに対抗するナショナルキャリアによるサービス提供をイメージさせるため」と説明する。

DDI副社長の小野寺正氏 DDI副社長の小野寺正氏



EZwebについては“cdmaOne”契約者の約8割が加入しているという。さらに情報量回収代行の開始や一般ユーザー向けにWAP対応コンテンツ制作ソフトの無償提供、カスタマイズ可能なポータルサービス“EZポータル”の提供で加入者増に弾みをつけたい考え。小野寺氏は「沖縄サミットでNTTドコモが“iモード”向けに英語コンテンツを用意するというが、EZwebで採用されているWAPはグローバルな規格であり、当初から英語コンテンツに対応している」と対抗心ものぞかせた。

今後提供を予定しているサービスとして、シティバンクと富士通(株)と共同で開発を進めている新決済システムの概要を解説した。販売商品に独自の番号を割り振りチラシやカタログなどの広告媒体に商品情報とともに番号を掲載。商品購入の際は携帯電話に番号を入力すれば、あらかじめユーザーが登録しておいた銀行口座から代金が引き落とされ、ユーザーは宅配便やコンビニエンスストアで商品を受け取る――という仕組み。小野寺氏は「注文と同時に決済が終了する新しい仕組み」と自信を見せた。

3社の次世代移動体通信対応をめぐっては、当初日欧方式のW-CDMAの採用を決めながら土壇場で米国方式のcdma2000に決まるという“迷走”を見せた。サービス開始時期も国内3グループで最も遅い2002年9月を予定している。だが小野寺氏は「W-CDMAも当初はサービス地域が限定される上、通信速度も実質は64kbpsが主流だろう。同等の通信速度で人口の99パーセントをカバーするcdmaOneで十分に対抗できる」との認識を示した。さらに144kbpsのパケット通信が可能な“cdma2000 1x”を現状の800MHz帯で提供する予定という。こうした“2.5世代”のサービスで先行2グループのW-CDMAに対抗、本命の高速データ通信方式(HDR)実現までの時間を稼ぐ考えだ。

「NECはインフラとサービス、デバイスまでトータルに提供できる」

NEC社長の西垣浩司氏は、インターネット企業への脱皮を急ぐ同社のモバイルへの取り組みを説明した。西垣氏によると、モバイルにおけるNECの強みは“Eサービス”“Eインフラ”“Eコンポーネント”という3つのレイヤーを持つ点にあるという。

NEC社長の西垣浩司氏 NEC社長の西垣浩司氏



インフラ面では、高シェアを誇る基地局や交換機から人気の折り畳み式端末までトータルにカバー。サービスでは国内2位のインターネット接続サービス“BIGLOBE”を抱え、コンポーネントでは関連デバイスを自社で開発/生産している。これらのシナジー効果が期待できる上、「IMT-2000ではアプリケーションが複雑になるため、基幹設備から端末まで一貫して提供できるNECにとって有利になる」という。

さらに西垣氏は、「モバイルインターネットで先行する日本でいち早く事業モデルを確立し、成功例を世界に提案していくべき」と主張。「社長就任以来、“あなたのために、できること。”というコピーを掲げてきた。少しでも多くの人にネットを使ってもらえるよう、NECとして努力していきたい」と語った。

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