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TLDの議論をしない“ドメイン名支持組織評議会”に会場が荒れた――“ICANN Meeting in Yokohama”から

2000年07月14日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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ICANN *1 は7月13日~17日の期間、横浜のパシフィコ横浜において、“ICANN Meeting in Yokohama”を開催している。会期中、世界50ヵ国以上から約600名の参加が見込まれている。14日には、“DNSO *2 General Assembly”(ドメイン名支持組織総会)と“DNSO Names Council”(ドメイン名支持組織評議会)が行なわれた。

*1 ICANN:Internet Corporation for Assigned Names and Numbers。グローバルに、ドメイン名やIPアドレスなどのインターネット資源の管理調整を行なう非営利法人。米国に本拠を置いている
*2 DNSO:Domain Name Supporting Organization。ICANN理事会の下部組織で、ドメイン名についての勧告などを行なう組織。評議会と総会からなる



新TLDも大事だが、ドメインの乗っ取り対策も急務

午前中に行なわれたDNSO General Assemblyでは、DNSOの7つの支持組織から前日に行なわれた会合の報告が行なわれた。それに続いて活発な意見交換が行なわれたが、現在の組織の改革案について多く議論され、新しいTLDについての議論はほとんど行なわれなかった。

GA議長のロベルト・ガエターノ(Roberto Gaetano)氏(中央)
GA議長のロベルト・ガエターノ(Roberto Gaetano)氏(中央)



新しいTLD(トップレベルドメイン)の導入については、安定性や負担の増加を懸念して1つ程度から始めるのがよい、導入は時間をかけて実行するべき、テスト期間が必要などの報告が各組織から出された。

そのほか、複数の組織からドメインの乗っ取りについての話題が出たと報告された。簡単にドメインが乗っ取られてしまう事件が相次いでおり、ドメインを乗っ取られないようにする仕組み作りが求められた。

ディスカッションで、新しいTLDとして“.web”や“.union”はどうか? という意見が出たが、具体的に導入をどうするのか、新TLDの数をどうするのかといったことに関しては特に議論されなかった。

TLD以外には、一般会員組織“At-Large”から出す理事の人数を、現在の9人から、2001年に5人、2002年には0人まで減らす案について、複数の人から懸念が表明された。

最後の最後で会議は大荒れ

午後にはDNSO Names Councilが開催されたが、ドメインについてはほとんど報告も議論もされず、予算や請求書をどう処理するのか、支持組織間の情報交換をどうするのかといった運営面の話題をずっと続けた。そして、最後になって、評議会として理事会にTLDについてのアクションに懸念を表明するかどうかで、会議が紛糾した。

壇上にDNSO Names Councilの評議員が並び、議事を話し合う形式で進行された
壇上にDNSO Names Councilの評議員が並び、議事を話し合う形式で進行された



会議の前半で議員の一人がTLDについて話を切り出したところ、ケン・スタブス(Ken Stubbs)議長は「皆がここで意見を言い出したらきりがないので、理事会のオープンセッションで発言してほしい」と述べ、アジェンダに含まれていなかったTLDの話をあっさりと退けた。

議長のケン・スタブス氏。この横浜会議で任期が切れるが、全員一致で可決され2期目を務めることが決まった 議長のケン・スタブス氏。この横浜会議で任期が切れるが、全員一致で可決され2期目を務めることが決まった



会議の最後に再び、TLDの導入のやり方に懸念をすることを評議会から理事会に意見を上げてほしいと発言があった際にも、「今言っても遅い。プロセスをちゃんと踏んでほしい」(議長)としたが、議員からもさまざまな意見が出て、感情的になり会議が大荒れ。会議に呆れた会場からはブーイングが巻き起こった。結果的には決議をとり、賛成7、反対3、棄権6とし、決議を記録に残すこととなった。

会場に詰め掛けていた聴衆も、評議会では評議員それぞれの意見なり、声明なりが聞けるものと期待していたが、どうやら評議会はそういうディスカッションをMeetingで行なう気はないようで、聴衆を落胆させただけだった。

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