このページの本文へ

今年も盛況のPDFカンファレンス! PDF自動作成管理システムなど注目製品も多数出展

2000年07月14日 00時00分更新

文● 山木大志

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

7月13日、PDFカンファレンスが開催された。これは、PDFの普及を目指す団体/企業が集い、その活用方法などを講演、協議するイベントで、セミナーのほかに展示会も催された。会場は東京都品川区のゲートシティ大崎。本コンファレンスは14日にも開催される。ここでは、展示会の概略をレポートする。

PDFカンファレンスは、PDF Conference実行委員会が主催し、アドビシステムズ(株)が後援するほか、以下の5団体が協賛している。(社)日本経営者協会、(社)印刷技術協会、テクニカルコミュニケーター協会、Japan Publishing Consortium、PDFコンソーシアムジャパン。PDFカンファレンスの詳細については、Webサイトを参照されたい。

同カンファレンスは昨年に始まり、今年は2回目の開催。昨年は、Adobe Acrobat 4.0がリリースされた直後とあって大変な盛況であった。今年は、Acrobatそのものには大きな動きがなく、関連製品もそれほど増えていないので、それほどの反響は期待できないように思われた。しかし、セミナー予約のほとんどは満席で、相変わらずAcrobat、PDFへの関心が高いことを伺わせた。

展示会には27社が出展した。展示場のスペースが小さいこともあって、来場者で非常に混雑していた
展示会には27社が出展した。展示場のスペースが小さいこともあって、来場者で非常に混雑していた



PDFを活用局面を広げる『ePware』は注目の製品

展示会で紹介されていた製品は、以下の大きく2つの傾向があった。

(1)一般用途向け:主にオフィスなどを対象として、Acrobatの個々の機能を向上させるプラグインと、PDFをドキュメント管理に利用しようとするマネジメント製品など
(2)業務用向け:印刷物制作にPDFを活用する製品

最初に(1)の用途で非常に注目される製品、『ePware』(イーピーウェア)を紹介しよう。コニカビジネスマシン(株)が販売している。このソフトは、各種デジタルドキュメントを登録すると同時にPDFを自動作成し、ドキュメントを一元管理する、一種のデータベースである。さらに、PDFの作成から編集、保管、出力、情報配信など、PDFを活用する局面でその機能を大幅に拡充する。

この製品が注目されるのは、個人や小規模事業者でも簡単に導入できることである。機能的には類似システムはすでにいくつかあるものの、それらはインテグレート製品であり、個人や小規模事業者が簡単に導入できるものではない。ePwareはパッケージソフトとして2万9800円で販売されている。単体ソフトとしては、やや高いようにも思われるが、使いようによってはインテグレート製品に劣らない高度な活用ができる。

ePwareに非常に多くの機能があるが、特徴的でかつ実用上も便利なものを紹介する。下記のほか、複数ファイルの一括プリントや丁合してのプリント、PDFはもちろん、オリジナルドキュメントを作成したアプリケーションで開くローンチャの機能などがある。

・スキャン、OCR処理:紙のドキュメントなどをスキャナーから読み込み、OCR処理してテキストデータ付きのPDFとすることができる。Acrobatでは、スキャニング機能はあるがOCR処理はできない。これによって、紙の文書も検索可能になる

・サムネールによるページ編集:複数のPDFをサムネール(縮小)表示し、サムネールをドラッグ&ドロップ操作で編集できる。電子丁合が視覚的な環境で行なえる

机の上に広げた複数の文書を、手でまとめる感覚で整理ができる。ドラッグ&ドロップである1.PDFを他の2.PDF上に載せると、自動的に2.PDFの後ろに1.PDFが追加される。逆に複数ページのPDFを簡単に1ページ単位に分割できるのも便利だ
机の上に広げた複数の文書を、手でまとめる感覚で整理ができる。ドラッグ&ドロップである1.PDFを他の2.PDF上に載せると、自動的に2.PDFの後ろに1.PDFが追加される。逆に複数ページのPDFを簡単に1ページ単位に分割できるのも便利だ



・検索機能:ePwareに登録したPDFを複合検索できる。全文検索も可能。検索されたPDFが一覧で表示される。

一般のデータベースと同様、データに書き加えたタイトルなどフィールド定義に基づいた検索も可能だが、全文検索で対象ファイルを抽出できるのは使いやすい
一般のデータベースと同様、データに書き加えたタイトルなどフィールド定義に基づいた検索も可能だが、全文検索で対象ファイルを抽出できるのは使いやすい



一般用途の製品としてはこのほか、(株)ディアイティのPDFセキュリティー管理システム『PageVault』(ページボールト:)、(株)シンプルシステムズが出展した、Webベースでのデジタルドキュメント検索システム『PullDoc』(プルドック)などが面白い。以上の製品について、詳しくはそれぞれ以下のWebサイトを参照されたい。PullDocのホームページでは、その機能を使ってみることができる。

・ePware 
 http://www.konica-kbj.co.jp/products/epware_top.html
・PageVault 
 http://www.dit.co.jp/pagevault
・PullDoc 
 http//www.simplesystems.co.jp/product/pulldoc
/index.html


PDFでポップを自動作成/配信

業務用のソリューションとしては、(株)二ィスの『POP DATABASE on Web』が興味を引いた。これは、WebとPDFを利用したポップ(店頭販促ツール)作成ツールである。スーパーなどのチェーン店の店舗と本部の間で利用することが想定されている。Webブラウザー上で各種の条件設定などによって、ポップが自動的にPDF化され、店舗に配信される。ニィスはフォントメーカーであるが、「ポップでは弊社のフォントが広範に利用されているので、こうした製品を提案してみました」とのことだ。

必要なポップが自動配信されるPOP DATABASE on Web
必要なポップが自動配信されるPOP DATABASE on Web



遠隔地間でカラー校正を行なう『NSG Proofシステム』も注目を集めていた。これは日本プロセス(株)と(株)Tooが共同開発したもので、PDFとインクジェットプリンターを利用して、校正を行なう仕組みだ。これまで遠隔地間では、デジタル工程で分業が可能でも、最終の色校正は校正紙を物理的に搬送しなければならなかった。NSG Proofシステムは、このプロセスを大幅に簡略化することになる。

来場者の関心が高かった日本プロセス(株)と(株)Tooのブース
来場者の関心が高かった日本プロセス(株)と(株)Tooのブース



印刷用途など高精度が要求される場合、PDF作成とその後処理が別途必要になる。このような用途のものとしては、以下のものが展示されていた。

日本アグフア・ゲバルト(株)の『Apogee Create』(アポジー・クリエイト)――ハイエンド出力用PDF作成ツール。ハイエンド出力に必要な各種設定が可能
ウエノ(株)の『QBox』(キューボックス)――面付け(*1)
三菱製紙(株)の『FACILIS』(ファシリス)――面付け
(株)ヒューリンクスの『HELIOS PDFHandShake』(ヘリオス・PDFハンドシェイク)――カラー分版(*2)

HELIOS PDFHandShake画面。この画面はフルカラーだが、4色分版の1色ずつを見ることができる
HELIOS PDFHandShake画面。この画面はフルカラーだが、4色分版の1色ずつを見ることができる



(*1)面付け:印刷機が実際に印刷するときの版の形に合わせて、ページの連続性を再構成すること
(*2)カラー分版:カラー印刷では一般に4色しかインキを使わず、その掛け合わせによってすべての色を表現する。オリジナルデータは無数の色を持っているので、事前に印刷機が利用するインキの色に分解する必要がある

以上の製品について詳しくは以下のWebサイトをご覧いただきたい。QBoxのホームページからはデモ版がダウンロードできる。FACILISのページではデモが見られる。なお、HELIOS PDFHandShakeは、まだ製品が発売されていないのでWebサイトには掲載されていないが、参考のため関連サイトを示しておく。

・Apogee Create 
 http://www.agfa.co.jp/gs/apogee/create.html
・QBox
  http://www.uenocorp.co.jp/japan/fr_j.html
・FACILIS 
  http://www.facilissoftware.com
・HELIOS PDFHandShake 
 http//www.hulinks.co.jp/DPG/networks/helios.html

PDFカンファレンスの展示会では、“Webトップ”という言葉が実感された。これまでデータベースなど企業内システムでは、メーカーがそれぞれ勝手に端末を作成し、スタッフは利用するシステムによっていくつものソフトに習熟する必要があった。展示会では、多くの企業がWebブラウザー上でそのシステムを運用できる仕組みを提案していた。今後の汎用システムは、特殊なものを除いてWebブラウザーのみでオペレーションが可能になるだろう。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン