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ソニー、Palm携帯端末を9月9日に発売――「Pocket PCではなくPalmを選んだのは、ハードとソフトのバランスがとれたOSだったから」

2000年07月13日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニー(株)は7月13日、Palm OSを採用した携帯端末“パーソナル エンターテインメント オーガナイザー(Personal Entertainment Organizer)”『PEG-S500C』(カラー液晶モデル)、『PEG-S300』(モノクロ液晶モデル)の2機種を9月9日に発売すると発表した。

カラー液晶モデルの『PEG-S500C』とクレードル
カラー液晶モデルの『PEG-S500C』とクレードル



うわさのソニーPalm機は9月9日に国内発売

パーソナル エンターテインメント オーガナイザーは、Palm OSを採用し、本体にメモリースティック専用スロットとジョグダイヤルを装備した携帯端末。ジョグダイヤルを利用することで、住所録やスケジューラーなどソフトの基本操作はほとんど片手で行なえる。携帯電話やPHSと接続できる“モバイルコミュニケーションアダプター”が付属しており、インターネットへの接続が可能。対応フォーマットはPDC、PHS、H"。付属のクレードルはUSB接続。オプションとして、シリアル端子を装備したクレードルも別売するという。

モノクロモデルの『PEG-S300』
モノクロモデルの『PEG-S300』



ソフトウェアは、メーラー『MultiMail』、ウェブブラウザー『Palmscape』、ジャストシステム(株)の日本語入力変換機能『ATOK Pocket』を搭載するほか、オリジナルソフトとして、メモリースティック内のデータを表示/管理できるツール『Memory Stick Gate』、本体やメモリースティックに記録されている静止画を表示できるビューアー『PictureGear Pocket』、動画ビューアー『gMedia』を搭載する。Memory Stick Gateを利用することで、64MB容量のメモリースティックで静止画2000枚、動画120分のデータを保存、利用できる。gMediaは、本体付属のCD-ROMに収録されているPC用の『PictureGear 4.2 Lite』とセットで利用するもので、PictureGear 4.2 LiteでAVI/MPEG-1/QuickTimeといった動画データを、オリジナルのパーソナル エンターテインメント オーガナイザー専用動画フォーマットに変換し、変換後の動画データをgMediaで再生できる。コマ数に制限はあるが、Palm端末上で動画を楽しめるようになる。

さらに、ネットワーク上のサービスとも連携を強化する。同社は米国で画像を利用したサイト“ImageStation”を運営しているが、9月のパーソナル エンターテインメント オーガナイザー発売に伴い、日本語版のサイトサービスもスタートさせるという。ImageStationは、動画や静止画を自分専用のウェブページに保存したり、アルバム編集をしたり、グループコミュニティーで画像を共有したりできるサイト。同社は新しいプラットフォームサイトサービスとして国内でも展開していくという。

『PEG-S500C』、『PEG-S300』とも価格はオープンプライスで、推定小売価格は、PEG-S500Cが6万円前後、PEG-S300が5万5000円前後。販売台数は、ワールドワイドベースで月初7~10万台。

なお、ソニースタイルドットコム・ジャパン(株)は、同社が運営するECサイト“ソニースタイル”で、Palm OS搭載の携帯端末専用サイト“PDA Style”(仮称)を本日オープンした。PDA Styleでは、パーソナル エンターテインメント オーガナイザーの販売や、アプリケーションのダウンロード販売、周辺機器の販売を行なう。同サイトでは、パーソナル エンターテインメント オーガナイザーの先行受注を実施する予定(受注開始時期/販売価格とも未定)で、詳細は追って同サイト上で発表するという。

カメラ付きメモリースティックやGPS機能付きメモリースティックなどが2001年に登場

ソニーは、メモリースティックに関して今後さまざまな用途の拡張を予定しており、I/Oスロットとして展開していくための拡張モジュール“Memory Stick Expansion Module”(仮称)を用意していくと発表した。現在製品化を検討しているのは、画像入力用に小型カメラを装備した“カメラモジュール”、GPS機能を搭載した“GPS位置情報モジュール”、Bluetoothなどに対応した“無線通信モジュール”、ジョグダイヤルを装備した“ジョグダイヤルモジュール”などで、製品化は2001年を予定しているという。本日発表されたパーソナル エンターテインメント オーガナイザー2機種は、既存のメモリースティックにしか対応していないが、今後の新機種では、著作権保護技術“MagicGate”を採用した『マジックゲート メモリースティック』をはじめとする、さまざまなメモリースティックの拡張モジュールに対応していくという。

記者発表会の会場に展示された“Memory Stick Expansion Module”のサンプル。右から、GPS位置情報モジュール、カメラモジュール、Bluetooth対応無線通信モジュール、ジョグダイヤルモジュールとなっている
記者発表会の会場に展示された“Memory Stick Expansion Module”のサンプル。右から、GPS位置情報モジュール、カメラモジュール、Bluetooth対応無線通信モジュール、ジョグダイヤルモジュールとなっている



開発者向けにパーソナル エンターテインメント オーガナイザー用デベロッパープログラムを提供

また同社は、本日の発表に伴い、パーソナル エンターテインメント オーガナイザー用のデベロッパープログラムの提供を開始した。ハードウェアベンダーやソフトウェアベンダー向けに、ジョグダイヤル対応やメモリースティック対応といった同社独自機能に対応するためのアプリケーション開発キット(SDK)を、専用ウェブサイトで無償提供するほか、製品本体の仕様を公開する。また、デベロッパーが開発した製品をエンドユーザーに販売するためのサポートも行なう。

「ソニーブランドで国内PDAマーケットを広げる」と井原

本日銀座ソニービルで行なわれた記者発表会で、パーソナルITネットワークカンパニーNCプレジデントの井原勝美氏は、「これまではネットワークへのゲートウェイとして、デジタルTV、プレイステーション2、VAIOの3つを提供していたが、昨年後半より携帯電話やPDAなどのモバイル機器ビジネスを強化しようと取り組んできた」

「従来より行なっている携帯電話ビジネスは、キャリアに対するビジネスであり、本日発表したパーソナル エンターテインメント オーガナイザーは、ソニーがエンドユーザーに直接提供するもの。携帯電話とはビジネスモデルが異なる」

「日本国内では携帯電話は大変普及しており、さまざまな機能を搭載している。PDAの機能の一部は携帯電話で実現できるであろうが、文章や画像の表現力には相当の差がある。携帯電話とノートPCの差を埋めてくものとしてPDA市場は展開していくだろう」と語った。

パーソナルITネットワークカンパニーNCプレジデントの井原勝美氏
パーソナルITネットワークカンパニーNCプレジデントの井原勝美氏



また、インフォメーションテクノロジー(IT)カンパニーのプレジデントである木村敬治氏は、OSにPalmを採用した理由について、「Microsoft Pocket PCとPalmは、それぞれに特徴がある。Palmを採用した理由は、ソフトとハードのバランスが非常にうまくとれているプラットフォームであり、われわれのイメージング戦略を展開しやすいと判断したからだ」としている。

インフォメーションテクノロジー(IT)カンパニープレジデントの木村敬治氏。なお、本日一部媒体報道された、携帯電話など組み込み用途のLinux OSをソニーが他社と共同で開発するという件に対しては、同社は「ソニーは現在検討段階で、Linuxに関して具体的な動きはしていない」としている
インフォメーションテクノロジー(IT)カンパニープレジデントの木村敬治氏。なお、本日一部媒体報道された、携帯電話など組み込み用途のLinux OSをソニーが他社と共同で開発するという件に対しては、同社は「ソニーは現在検討段階で、Linuxに関して具体的な動きはしていない」としている



ワールドワイドでのPDA市場について、各国と日本国内を比較すると、iモードをはじめとする携帯電話の普及により、日本のPDAの市場規模は非常に小さいのが現状だ。井原氏は、「日本のユーザーにはPDAの商品認知が至っていない。よってまだまだポテンシャルがある。ソニーブランドでPDAの認知度を上げ、PDAマーケットを立ち上げていきたい」と意気込みを語った。ソニーブランドが携帯電話に慣れた国内ユーザーにどこまで通用するか、お手並み拝見といったところだ。

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