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“オヤジをなめたらあかんぜよ”――大仁田厚、ディスカッションでも大暴れ!! 環境問題をテーマに熱く語る(“MICROLINE Green Forum”より)

2000年07月13日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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(株)沖データは、7月11日、12日の両日、東京国際フォーラムにおいて、同社のプリンター製品を中心に、プロフェッショナルおよびビジネス・ユースのグラフィックス、プリンティング関連製品を集めた総合展示会“PRINCOM 2000”を開催した。11日には、同社が企業活動の一環として取り組んでいる環境問題をテーマとした“MICROLINE Green Forum(マイクロライン・グリーンフォーラム)”を開催。同フォーラムは3部で構成されており、第1部と第2部は講演、第3部はパネルディスカッションという形で進められた。本稿ではこのフォーラムの模様をお伝えする。

環境問題に企業として取り組む沖データ

沖データは、プリンタメーカーとして“紙の消費”の観点から、近年、積極的に環境保全活動を展開している。特にNGO“オイスカ(OISCA)”と提携し、売上金の一部と各種イベント会場で集まった募金を、熱帯雨林の植林活動のために提供している。
 
また、製品開発においても“環境保全プログラム”を取り入れている。昨年、法案として成立した“グリーン購入”(環境保全に役立つ製品・サービスの購入活動)に適した製品開発に取り組んでいる。主に、低消費電力型のDigital LEDなどを利用した省エネルギー製品の開発や、製品の小型化、紙資源の有効活用などによる資源節約、製品リサイクル率の向上、トナー/ドラムカートリッジの回収再資源化などを実現している。

こうした活動の一環として行なわれたのが、MICROLINE Green Forumである。今回は環境保全の輪を広げるためのネットワークについて、“ネットワークは環境問題解決への切り札となるか?!”をテーマに取り上げた。
 
講演に先立って、沖データの代表取締役社長、河井正彦氏が挨拶にたち、“21世紀は環境の世紀”と位置づけた。

沖データの河井正彦代表取締役社長沖データの河井正彦代表取締役社長



「製造業として環境問題に取り組まなければならない。科学技術の進歩そのものから、問題解決を試みていきたい」と、環境に優しい製品を開発することで、環境問題の取り組みを示した。

ITは田舎暮らしを成立させて、地球規模の消費も防ぐ

  第1部は、雑誌『インサイダー』編集長の高野孟氏が登場。“ネットワークの進化が地球規模の消費を防ぐ”と題された講演を行なった。

第一部はジャーナリストの高野孟氏が講演を行なった。高野氏はジャーナリストであり、会員制ニュースレター『インサイダー』の編集長でもある。'94年、日本初オンライン週刊誌『東京万華鏡』を発信、'95年、PC-VAN上の デジタルマガジン『PC-VANジャーナル』の編集執筆などを開始。早くから電子メディア、インターネットジャーナリズムのための実験に取り組んできた
第一部はジャーナリストの高野孟氏が講演を行なった。高野氏はジャーナリストであり、会員制ニュースレター『インサイダー』の編集長でもある。'94年、日本初オンライン週刊誌『東京万華鏡』を発信、'95年、PC-VAN上の デジタルマガジン『PC-VANジャーナル』の編集執筆などを開始。早くから電子メディア、インターネットジャーナリズムのための実験に取り組んできた



高野氏は「ITと言われているが、森首相は“九州・沖縄サミット”に向けてIT(がテーマになる)を取り上げるのに、分かっていなかったそうだ。官僚に説明を受けたものも、高いびきだったという」と、この国のITの行く末を心配しつつ、話を進めた。
 
「グーテンベルグが印刷機を発明して、アナログに革命が起きてから、メディアはここまで発展してきた。だが、メディアは紙や放送、映画などはバラバラに発展してきている。デジタルが技術的なベースになれば、マスメディアは変貌せざるを得ない」と、メディアとコミュニケーションへ変化を予測した。

さらに「本を出版するにも、返本されれば、断裁せざるを得なかったが、デジタル出版がそういう形を変えていく」とした。

さらに「マルチメディア表現が素人にも可能になった今、ヒト・モノ・カネ、生活のすべては激変する。空間の制約から解放され、これからは時間の制約から解放される可能性も出てきた」とライフスタイルそのものの変化を示唆した。その裏付けとして、高野氏は「昨年、本拠地を安房鴨川に近い場所に移した。半田舎暮らしをしながら、たまに東京に出るだけでいいを実行に移そうとしている」と、ネットワークの進化によって自らのライフスタイルも変化していることを示した。

第2部では、環境論などを専門とする武蔵工業大学の中原秀樹教授が“革命の落とし穴――環境問題の視点から”をテーマに、多くの昨今の新聞記事の切り抜きから導き出される社会の問題点について語った。

第2部の講演を行なった武蔵工業大学教授の中原秀樹氏。専門は消費者市民教育論、環境論。消費者教育は21世紀の市民意識を育てると言う消費者市民論を展開。教職の傍ら、グリーン購入ネットワーク 幹事、国際消費者教育ネットワーク代表などNGO活動に従事。また環境調和型 ライフスタイル形成推進委員会委員(経済企画庁)など多くの公職を歴任
第2部の講演を行なった武蔵工業大学教授の中原秀樹氏。専門は消費者市民教育論、環境論。消費者教育は21世紀の市民意識を育てると言う消費者市民論を展開。教職の傍ら、グリーン購入ネットワーク 幹事、国際消費者教育ネットワーク代表などNGO活動に従事。また環境調和型 ライフスタイル形成推進委員会委員(経済企画庁)など多くの公職を歴任



  中原教授は、「環境問題の解決は、人間性のさらなる向上にかかっている」とし、未成年者による凶悪犯罪など、インターネットが引き起こす人間の退化の可能性について言及し、環境問題の影響への警鐘を鳴らした。

インターネットが家族の接点となる事例

第3部は、先に講演を行なった2名に、プロレスラーの大仁田厚氏、(株)エヌ・ティ・ティ エックスのWebマーケティングカンパニー長、大木隆氏が加わり、“デジタルやネットワークは、環境問題を解決できるのか?”をテーマにして討論が始められた。

コーディネーターはスポーツキャスターの出光ケイ氏。同氏は、日本初の女性スポーツキャスターとして、さまざまな分野で活躍している。特に環境問題に関心の高い滋賀県の番組などを担当するなど、環境問題を得意分野とし始めている。

ディスカッションでは、“アナログ派”を標榜する大仁田氏が中原教授と組み、これに対し、高野氏と大木氏が“デジタル派”という形で、ネットワーク推進派と慎重派に分かれて意見を交換した。

パネルディスカッションの様子。手前からコーディネータの出光ケイ氏、NTT-Xの大木隆氏と高野孟氏はデジタル派。大木氏はインターネット及びマルチメディアを活用した情報流通事業の立ち上げを指揮。環境goo事業のほか、『World Nature Neteork』WNN事業、WEBマガジンの元祖『HOT WIRED JAPAN』事業の責任者でもある
パネルディスカッションの様子。手前からコーディネータの出光ケイ氏、NTT-Xの大木隆氏と高野孟氏はデジタル派。大木氏はインターネット及びマルチメディアを活用した情報流通事業の立ち上げを指揮。環境goo事業のほか、『World Nature Neteork』WNN事業、WEBマガジンの元祖『HOT WIRED JAPAN』事業の責任者でもある



まず、出光氏が先の講演に対する感想を大木氏に聞いた。同氏はポータルサイトgooのアフィニティー化の一環として開設された環境ポータルサイト『環境goo』を運営している。

環境gooの説明を交えつつ、「多くの情報から正しい判断をするには、知識を得る必要がある」とした。さらに「中学生の娘がおりますが、学校で1日の出来事のトピックをインターネットに掲載している」と、インターネットが家族とのつながりを身近にしている側面を紹介した。

大仁田氏は支離滅裂ながらも熱いトークを展開

  大仁田氏は、“一般市民”、“素人”の立場から、ITへの素朴な疑問をぶちまけた。
 
愛知でおきた未成年の5000万円恐喝事件を例に取って、「昔は、そんな変な子供がいたら、町の怖いオヤジに怒られたものだ。大人の世界が確立していた」と幾分脱線しつつも、「自分もメールをやるが、やっぱりアナログの暖かさがいい。宇多田ヒカルもLPで聞いたら凄くよかった」とアナログの良さを強調した。

引き続き、大仁田節の独壇場のまま、「インターネットが犯罪やいたずらに使われている。ネットショッピングでも詐欺が横行している。こういうのは誰が守るのか?」と質問すると、高野氏が努めて冷静に、「なんにでも光と陰がある。ネットワークショッピングでだまされるのは、お店や通販でだまされるのと同じ事。インターネットだから、という問題ではない」と反論した。

本題の“ネットワークは環境問題を解決するか?”という点に話題が移ると、高野氏はいろいろな可能性があるとしつつも、「先般、モンゴルに行って来たが、首都のウランバートルでもIT革命が進んでいる。町中にインターネットカフェやケータイが溢れ、ホテルでもインターネットができる。しかし、町から30分も離れれば、遊牧民の世界がある。便利になればなるほど、そういう世界にあこがれる。不便なくらしの価値が上がるのでは」とデジタル派らしからぬ発言となった。

環境問題は“怖いオヤジ”がポイントになる?!

中原教授からは専門家らしいより具体的な提案がなされた。
 
「人間は習慣性の動物。ラーメンは“とんこつ”と思っていた、九州生まれの私も、東京にきてすぐに“しょうゆ”に慣れた。数年前、東京都が加賀まりこさんを使って『東京スリム』キャンペーンを行なったが、今や半透明のゴミ袋にも慣れたし、分別も徹底してきている。習慣性が不便にもなれる、ということで、そのうちそういう生活がいとおしくもなってくる」と、人の習慣性が環境問題を解決する糸口になることを示した。

さらに「町内の怖いオヤジになってお節介をする、コミュニティーを作る、“私の”を止めるのがポイントだ。21世紀のキーワードは“共生”から“共有”になる」と語った。

中原教授(右)とともにアナログ派を標榜し、“一般市民”の立場でさまざまな発言、質問を繰り出したプロレスラーの大仁田厚氏。注目を集めた41歳の高校生活も2000年に無事卒業、今春より42歳の現役大学生プロレスラーとして新たなる挑戦を続けている。現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説“私の青空”も好評
中原教授(右)とともにアナログ派を標榜し、“一般市民”の立場でさまざまな発言、質問を繰り出したプロレスラーの大仁田厚氏。注目を集めた41歳の高校生活も2000年に無事卒業、今春より42歳の現役大学生プロレスラーとして新たなる挑戦を続けている。現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説“私の青空”も好評



出光氏がそれぞれに最後のメッセージを求めると、大仁田氏は「機械にもケアが必要だが、心にもケアが必要。オヤジをなめたらあかんぜよ」と語った。大木氏は「今年は回線から使い方まで変革の年になる」とした。高野氏は「ネットワーク時代は思い立った人が一点を持ち上げるとそこに人が集まる。“町内の怖いオヤジ”になる気持ちを持つことがポイント」と語った。

最後に出光氏が女性の視点として、「子供たちの世代のために考えて欲しい。女性はコミュニティーづくりが得意。男性には女性の話しをよく聞いてもらって、コミュニティーづくりをしていって欲しい」と語り、締めくくった。

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