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【PC EXPO 2000レポートvol.8】会場あれこれ――BluetoothからAmazon.com CEOのキーノートまで

2000年07月03日 00時00分更新

文● 塩田紳二

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ワイヤレス関連製品ではBluetoothに注目

今回のPC EXPOの目玉の1つは、ワイヤレスである。ワイヤレスという分野に入るものとしては、すでに市場に製品が出ている無線LANがあるが、これは日本国内でもそんなに珍しくない製品である。これから登場するものとしては、Bluetoothがあるが、こちらは、東芝とIBMが展示を行なっていた。東芝は、PCカード型のインターフェースを使い、モデムなどとの接続を行なっていた。

IBMの展示は、IBMブースではなく、IBMが主催する“The Future Technology of e-Business”というパビリオンにあった。ノートPCを使い、Bluetooth、無線LAN、IrDA(これもワイヤレスだから?)を比較するというもの。

“The Future Technology of e-Business”パビリオンに展示されていた、Bluetoothインターフェースを持つエプソンのプリンタ
“The Future Technology of e-Business”パビリオンに展示されていた、Bluetoothインターフェースを持つエプソンのプリンタ



中央に見えるのが、エプソンのプリンタのアンテナ部分中央に見えるのが、エプソンのプリンタのアンテナ部分



ここにエプソンの、Bluetoothによる接続が可能なプリンタがあり、デモが行なわれていた。よくみると、プリンタの後ろからアンテナのような小さな部品が飛び出している。ただし、印刷されるところを見ても、ケーブルがつながっていないこと以外は別に普通と変わったことはない。ちなみに、なぜかこのブースには、ご年配の方がノートパソコンだけを見て、どのThinkPadを買えばいいのかという相談にひっきりなしに訪れている(かなり入り口に近く、隣がPalmのブースなので、そこから流れてくるらしい)。

東芝のBluetoothのデモ。左側にあるのがモデム。右ノートマシンの左側PCカードスロットにBluetoothインターフェースがささっていてワイヤレス接続されている
東芝のBluetoothのデモ。左側にあるのがモデム。右ノートマシンの左側PCカードスロットにBluetoothインターフェースがささっていてワイヤレス接続されている



もう1つ目についたのは、無線接続サービスとそのモデムなどである。『Palm VII』や双方向ページャーが使う、ベルサウスの無線インフラを利用したプロバイダや、別のインフラを使うプロバイダがある。その中には、カナダのRIMが製造する『BackBerry』を使ったところが多かった。こちらは、PalmのようなPDAに双方向無線通信機能がついたもので、Palm VIIに近い製品だ。

RIM社のBlackberry。通信機能を内蔵したPIM、というより双方向ページャーにPIMがついたものRIM社のBlackberry。通信機能を内蔵したPIM、というより双方向ページャーにPIMがついたもの



ただし、このBlackBerry、メールやWebブラウザ(テキストのみ)を内蔵している。また、ジョグダイヤルを装備しているため、操作は意外に軽快。メールや住所録などが多数あっても、スイスイとスクロールできる。展示会場内でも電波は受信できており、使い勝手は日本の携帯電話のメッセージ機能やWeb閲覧機能以上である。なにせ、液晶は大きいし、スクロールも速いのである。

Novatel Wireless社のPalm III用の無線モデム『Minstrel III』Novatel Wireless社のPalm III用の無線モデム『Minstrel III』



米OmniSky社や米Novatel Wireless社といった企業がサポートしており、通信速度は19200bps程度である。また、これらは、PalmやVisor用のアダプタも出ている。たしかにこれを見るとモバイル(インターネット)が今年米国ではやるという話は頷けるものがある。

Bezos氏のキーノートスピーチはちょっと低調

28日は、Amazon.com創業者で、現会長兼CEOのJeffrey Bezos(ジェフリー・ベゾス)がスピーチを行なったのだが、初日のHowkinsよりは人が入り、立ち見も出た。しかし、話の内容はたいしたことがなかった。時間のほとんどをAmazon.comの使い方に費やし、友達を登録すると、友達の間でのベストセラーがわかるとか(あなたの友達のほとんどがPerlの本を買っているとか出る)、家族がWish List(欲しいもののリスト。つまりおねだりリスト)を登録して、お父さんは、それをAmazonですぐ買い物カゴに入れられるとか、という話をずっとしていた。

Amazon.comのJeffrey Bezos会長兼CEO
Amazon.comのJeffrey Bezos会長兼CEO



もっとも、話もうまいし、彼にはファンが多く、会場にきていた人は楽しんでいたようだが。しかし、おねだりリストにあったモトローラーのトランシーバ(『TalkAbout』というやつで、日本でいうCB無線(“特定省電力無線”免許制のトランシーバ)みたいなもの。“Family Band”というのだとか)をBezosが1つ買おうとしたら、会場から「2つ買わないと話せないぞ」と野次が飛び、会場は爆笑状態となった(Bezos本人も大笑い)。

質問が始まると、大勢が質問に立ったが、ビジネスのコツを聞いたり、中には、履歴書を持ってきたから見てくれというやつが出る始末。質問が聞き取れない(今回の会場は音響が最悪でかなり音が聞き取りにくい)とBezosが壇上から駆け下りる一幕も。

まあ、いまでいうeコマースの旗手みたいな存在なので、かなりファンが多く、それに助けられた格好だったが、ファンでもない人には、あんまり面白くなかった。

同じ会場で、今年3月に“Linux World”が開かれたときのLinus Torbals(リーナス・トーバルズ)のスピーチは、開場1時間以上前から長蛇の列ができたのだが、PC EXPOのキーノートスピーチはそんなに盛り上がることはなかった。

マイクロソフトはどうしていたか?

マイクロソフトは、自身のブースのほか、サードパーティを集めたPertner Pavilionを隣接して設置、マイクロソフトブース自体はすいているものの、こちらのパビリオンは多数のソフトハウスなどが出展し、狭いこともあって、結構混んでいた。今回マイクロソフトが力を入れていたのは、最近発表したPocket PC(Windows CE)である。会場で配る袋には、HP、コンパック、カシオのPocket PCマシンの写真が入っている。

マイクロソフトのパートナーブース。奥に見える行列は、Pocket PCのセミナーの参加者
マイクロソフトのパートナーブース。奥に見える行列は、Pocket PCのセミナーの参加者



また、Pocket PCの操作をセミナー形式で教えてくれる小会場には列ができていた。その他、Windows MEのデモもあったが、こちらは、あまり注目されていなかった。なにせ、一見すると、Windows 98と違わないように見えるからであろう。

コンパックのPocket CE機『iPaq H3600』
コンパックのPocket CE機『iPaq H3600』



PC EXPOの来場者はどちらかというとITプロフェッショナルやマニアというより、一般PCユーザーのほうが多いような感じである。このためかどうなのか、たとえば高性能サーバーのような展示は少なく、また、PCパーツ関係も少ない。

ヒューレット・パッカードのPocketPC『Jornada 545』
ヒューレット・パッカードのPocketPC『Jornada 545』



カシオ計算機は、MMCカード対応でカラーバリエーションのEM500を展示
カシオ計算機は、MMCカード対応でカラーバリエーションのEM500を展示



PalmやVISORのブースが盛り上がっているものの、技術よりの展示は、すいているところが目立つ。何回も取材した人によると、PC EXPOは、取材者泣かせだという。いかないと何か出るし、取材に行くと肩透かしを食らわされることもあるという。

今回は、ソニーのPalmとTranmetaのCrusoeに助けられた感じで、これがないと目玉のない展示会になってしったところ。ただしその分、米国の一般ユーザーの雰囲気を表してはいるようだ。PalmやHandspringのブースが混んでいるというのは、つまるところ一般ユーザーの認知度が低く、こうしたイベントでPalmがどんなものだか見てやろうという感じなのであろう。

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