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【RoboCupジャパンオープン2000 Vol.5】AIBOやMINDSTORMSによるエキジビションも開催

2000年06月30日 00時00分更新

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RoboCupの競技にはこれまで紹介した小型機、中型機、シミュレーションのほかに、ソニーのAIBOを使った4脚ロボットリーグがある。一昨年のパリ大会でAIBOのプロトタイプを使ったエキジビションを行ない、昨年のストックホルム大会で正式競技に格上げされたものだ。競技用AIBOを使ってチームを組み、サッカーをさせる。今回のジャパンオープンでは東京大学と大阪大学チームがエキジビションマッチを行なった。

4脚リーグでは競技用AIBOを使った対戦デモが実施された。画面奥にボールを追うAIBOが見える
4脚リーグでは競技用AIBOを使った対戦デモが実施された。画面奥にボールを追うAIBOが見える





競技用AIBOは首筋(?)からCCDの映像を取り出せるようになっている
競技用AIBOは首筋(?)からCCDの映像を取り出せるようになっている



競技用AIBO専用オプションのシリアル接続ケーブル。AIBOとパソコンをつなぐために使う
競技用AIBO専用オプションのシリアル接続ケーブル。AIBOとパソコンをつなぐために使う



競技用のAIBOは基本的には市販のものと同じ仕様だが、首部分に内蔵CCDカメラの出力を取り出すための端子が設けられていることと、USB端子が実装されているのが特徴だ(USB端子は市販AIBOにも基板パターンはあるがコネクターは実装されていない)。基本的にハードウェアの改造は不可であり、プログラムの優劣を競うことになる。ちなみにストックホルム大会で優勝したパリ大学チームが、昨年東京で開催された“AIBO EXPO”に来日、内蔵センサーとモーターを駆使して微妙な体重移動をしながらブランコをこぐAIBOを紹介したことからもわかるとおり、AIBOには単なるペットロボット以上の能力を与えることができるわけだ。

エキジビジョンの合間にもたくさんの人がAIBOを見に訪れた
エキジビジョンの合間にもたくさんの人がAIBOを見に訪れた



エキジビションでは一生懸命ボールを追うコミカルなAIBOの動きに大勢の観客が歓声を送っていたが、その裏ではAIBOにヘッディングをさせたり、密集状態になったときによりインテリジェンスに行動できるプログラムが考えられているようだ。

“ロボチャレンジ”イベントも開催

またRoboCupの活動の1つ“ロボチャレンジ”関連のイベントも開催された。ロボチャレンジはロボットの製作を通してモノづくりや科学の楽しさを伝えることを目的にしたイベント。今回はLEGOブロックを使うロボット『LEGO MINDSTORMS』によるサッカーと、この春に発表された子ども向けの『RoboCup Jr.』に対応した(株)イーケイジャパン製の組み立てロボットキット『サッカー・ロボ』を組み立てて実際に対戦を行なうワークショップが実施された。MINDSTORMSは大学生が、サッカー・ロボは小学生が参加、どちらも手軽に動くロボットを作って動かすことができるとあって、来場者の関心も高かった。

プレステのコントローラーを使ったリモコンで動くMINDSTORMSのロボットたち。スピーディーな試合が展開された
プレステのコントローラーを使ったリモコンで動くMINDSTORMSのロボットたち。スピーディーな試合が展開された



LEGO MINDSTORMSでロボットを作成中の学生たち。MINDSTORMSによるサッカーロボットは欧州でかなり高度な機能を持つものが製作されている
LEGO MINDSTORMSでロボットを作成中の学生たち。MINDSTORMSによるサッカーロボットは欧州でかなり高度な機能を持つものが製作されている



ユニークなロボットが多数製作された
ユニークなロボットが多数製作された





RoboCup.Jr仕様の『サッカー・ロボ』。半完成キット。小学生の参加者が自分でキットを組み立てて対戦を行なった。ラジコン仕様で、駆動方式を選択できるのが特徴だ
RoboCup.Jr仕様の『サッカー・ロボ』。半完成キット。小学生の参加者が自分でキットを組み立てて対戦を行なった。ラジコン仕様で、駆動方式を選択できるのが特徴だ



専用のフィールドでチームによる対戦が行なわれた。やっぱり動くおもちゃは面白い!
専用のフィールドでチームによる対戦が行なわれた。やっぱり動くおもちゃは面白い!



公立はこだて未来大学

最後に会場となった公立はこだて未来大学について紹介しておこう。

ガラス張りのオープンスペースからは函館湾や函館の街が一望できる。リゾートホテルのような建物だ
ガラス張りのオープンスペースからは函館湾や函館の街が一望できる。リゾートホテルのような建物だ



同大学はこの4月に開校したばかり。システム情報科学部のみの単一学科大学で、複雑系やコンピューターサイエンス、ロボットや人工知能などの教育・研究を目的にしている。これまでRoboCupに関わってきた関係者が多数教員として赴任しているのも特徴だ。函館湾や函館山を一望できる丘陵地帯に建てられた校舎は大学らしからぬオープン設計になっており、教室や教員室などの壁はすべてガラス張り。1階から5階までを吹き抜け構造にした「スタジオ」と呼ばれるスペースを始め、学内のいたるところにEthernetケーブルとAC電源が張り巡らされているので、どこからでも学内ネットワークへ接続することができる。もちろん機材は最新のものが揃っており、UNIXやプログラミングの実習用にはIBMのIntellistationが、デザイン系の実習にはPowerMac G4がズラリと並んだ実習室があるほか、木工や旋盤などの工作機を揃えた工房、プレゼンや論文資料を作成するための録音・録画スタジオも備えている。ちなみに今回のジャパンオープン2000では同大の学生がボランティアとして大会運営を支えた。

オープンスペースの「スタジオ」部分。5階までぶち抜きの大きなスペースにはたくさんのテーブルや机が用意されており、どこからでもネットワークへ接続できる。各フロアにある教員室もガラス張りだ
オープンスペースの「スタジオ」部分。5階までぶち抜きの大きなスペースにはたくさんのテーブルや机が用意されており、どこからでもネットワークへ接続できる。各フロアにある教員室もガラス張りだ



オープンスペースの机やほとんどの教室にはEthernetコネクターとACアダプターが用意されている
オープンスペースの机やほとんどの教室にはEthernetコネクターとACアダプターが用意されている



最新のPowerMac G4が40台設置されたグラフィックス工房。このほかワークステーションが置かれた実習室やSGI製のグラフィックスマシンが置かれた部屋もある
最新のPowerMac G4が40台設置されたグラフィックス工房。このほかワークステーションが置かれた実習室やSGI製のグラフィックスマシンが置かれた部屋もある



学内を案内してくれた大沢教授。人工知能の研究やエージェントシステムが専門。MINDSTORMSを教材にした授業も行なっている。前身はソニーコンピュータサイエンス研のリサーチャー。新設校だけにさまざまな経歴の人が教員として赴任している。
学内を案内してくれた大沢教授。人工知能の研究やエージェントシステムが専門。MINDSTORMSを教材にした授業も行なっている。前身はソニーコンピュータサイエンス研のリサーチャー。新設校だけにさまざまな経歴の人が教員として赴任している。



RoboCupは今夏8月26日からオーストラリアのメルボルンで世界大会が開催される。

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