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Palm OS搭載PDAの『Visor』、2万9800円で日本上陸――ハンドスプリング、16日に発売開始と発表

2000年06月14日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米ハンドスプリング社は14日、Palm OS搭載PDA『Visor』の国内販売を開始すると発表した。販売されるのは8MBのメモリーを内蔵した『Visor Deluxe』1機種。Palm OS 3.1日本語版を搭載し、“グラファイト”“ブルー”など5色のボディーカラーが用意される。USB接続のクレードル付きで価格は2万9800円。発売は16日で、30日から同社ウェブサイトで直販も開始する。Visorは価格の安さと“Springboard”と呼ばれる独自規格のスロットによる拡張性の高さで、米国では“本家”Palm社製品を上回る人気を誇る。日本で4月に発売されたPalm製品も好調な滑り出しを見せており、Visorの発売で国内PDA市場は一気にPalm勢有利に傾く可能性も出てきた。

『Visor Deluxe』。左から“ブルー”“アイス”“グラファイト”“オレンジ”“グリーン”
『Visor Deluxe』。左から“ブルー”“アイス”“グラファイト”“オレンジ”“グリーン”



Visor Deluxeは、Palm OSを搭載したPDA。OSは前バージョンのPalm OS 3.1の日本語版を採用し、8MBのメモリーを内蔵する。予定表やアドレス帳、ToDo機能のほか電子メールビューワーや電卓機能も搭載している。ボディーカラーは“ブルー”“アイス”“グラファイト”“オレンジ”“グリーン”の5色が用意される。パソコンに接続してデータを同期させる“HotSync”用のソフト『Palm Desktop』(Windows/Macintosh)を同梱、USB接続のクレードルも付属する。電源は単4アルカリ電池2本を使用し、電池寿命は約2ヵ月としている。サイズは121.9×76.2×17.8mm、重さ153g(電池を含む)。

Visorの特徴は、拡張モジュールを装着することでさまざまな機能拡張が可能な点。背面に装備された独自規格のスロット“Springboard”に、サードパーティー製の対応モジュールを差し込むことで、単体では実現が難しい機能を加えることができる。まず第一弾として、拡張メモリーの『8MBフラッシュモジュール』(9980円)、データや設定を保存できる『バックアップモジュール』(6980円)、ゴルフゲーム『タイガー・ウッズ PGAツアーゴルフゲーム』(4980円)の3種類が同時に発売される。今後、モデムやMP3プレーヤー、デジタルカメラといったモジュールを順次発売する予定という。また日本のPDA事情に合わせ、通信機能などを充実させる日本独自のモジュール開発も考えているという。

Springboard用のMP3プレーヤー
Springboard用のMP3プレーヤー



米国で開発中という携帯電話モジュール。装着すれば通話やデータ通信が可能になるという 米国で開発中という携帯電話モジュール。装着すれば通話やデータ通信が可能になるという



発売は16日で、(株)ヨドバシカメラや、(株)CSKエレクトロニクスの“T-ZONE”など全国約50店舗で店頭販売される。30日には同社のサイトで直販の申し込み受け付けを開始する予定。

ハンドスプリングによると、OSに最新バージョンの3.5ではなく3.1を採用したのは、「SpringboardやUSBに3.5を対応させることがまだできていないため、まず3.1でスタートすることにした。3.5はカラー対応などはVisorに必要なく、旧バージョンだからといって機能的に劣っているわけではない」としている。また米国で販売している2MBメモリー搭載のローエンドモデルについては、「日本語は2バイト文字ということもあって記録データが大きくなる」などの理由で発売を見送ったという。

「目標はトップ。二番手になるつもりはない」

ハンドスプリングは同日、都内で新製品発表会を開催。同時に日本法人“ハンドスプリング株式会社”の設立を正式に発表、同社の戦略を説明した。



日本法人は2月に都内で設立され、米本社が資本金1000万円を100パーセント出資する。登記上の社長には、米本社副社長のウィリアム・ホルツマン(William Holtzman)氏が就任。陣頭指揮を執る代表取締役には、シチズン時計(株)でカードサイズのPDA『DataSlim』の開発に関わった小見山茂樹氏が就任した。

発表会で小見山氏は、「Visorはユーザーが簡単に利用できるようなPDAを目指している。日本では、PDAはビジネスマンの情報ツールとして認識されてきたが、Visorの登場でPDAの基本概念が変わるだろう」と一般コンシューマーへの浸透に自信を見せた。さらに「Visorは日本で必ずポピュラーな製品になる。ソニーが発売予定のPalm OS搭載機も、日本のPalm市場拡大につながるものとして歓迎したい」と語り、「今年はPalm飛躍の年」と意気込んだ。

左から、ハンドスプリング社上級副社長のエド・コリガン氏、同副社長のウィリアム・ホルツマン氏、日本法人代表取締役の小見山茂樹氏
左から、ハンドスプリング社上級副社長のエド・コリガン氏、同副社長のウィリアム・ホルツマン氏、日本法人代表取締役の小見山茂樹氏



ハンドスプリングはもともと、旧Palm Computing社(現Palm社)の創業メンバーが設立したベンチャー企業。発表会に合わせて来日した、創業者の一人でハンドスプリング社上級副社長のエド・コリガン(Ed Colligan)氏は、「Visorのようなハンドヘルド機は、将来のインターネットアクセスやモバイル向け電子商取引(EC)の主役になるだろう」と指摘。その上で、「我々の目標はハンドヘルド市場のトップベンダーになること。二番手になるつもりはない」と宣言、ハード販売で本家のPalm社を脅かす存在となった自信のほどをうかがわせた。

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