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【詳報】AMD、新『AMD Athlon』は“Socket A”から出荷――今年後半にはFSB 266MHzサポート

2000年06月05日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米AMD社が5日、“COMPUTEX TAIPEI 2000”で発表した*新『AMD Athlon Processor』は、従来と同様の“Slot A”に加え、『AMD Duron』と同じ“Socket A”の2つのパッケージで提供される。ただし、Socket A版が優先して出荷され、Slot A版はその後OEM向けに出荷するとしている。なお、従来のAthlonプロセッサーは第3四半期まで供給される見込み。

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本記事では、フルスピードのオンダイ2次キャッシュを搭載した『AMD Athlonプロセッサ』(コードネーム:Thunderbird)を、便宜的に新Athlonと記す。

Socket A版の『AMD Athlon』
Socket A版の『AMD Athlon』



各社の搭載PC発売は6月末以降か

日本AMD(株)のリリースによると、新Athlonプロセッサーを搭載したシステムの発売を予定しているのは、米コンパック コンピュータ社、米ゲートウェイ社、米ヒューレット・パッカード社、米IBM社など。また、日本国内では、日本ゲートウェイ(株)、(株)ソーテック、(株)エプソンダイレクト、(株)ソフマップ、九十九電機(株)、(株)CSK・エレクトロニクス(T・ZONE)、(株)フェイスが発売を計画しているという。

各社に編集部が発売計画について問い合わせたところ、エプソンダイレクトは7月末に発売を予定しているほか、九十九電機も「現在はプロセッサーが未入荷のためはっきりとしないが、6月末には発売したい」という。その他については時期については未定、あるいは本稿執筆時までに連絡が取れなかった。

新Athlonは、1GHzおよび950/900/850/800/750MHzの6つの動作周波数の製品が、主にSocket A用のPGAパッケージで提供される。Socket AとSlot Aの製品では、電気的特性がわずかに異なるのもの、性能について識別できるような違いはないとしている。また、1GHz以上の動作周波数の製品については、市場での競争力を保っていけるように向上させ続けるとしているが、具体的な数値は公表されていない。

Soket Aの仕様については、50×50mmの正方形のPGAパッケージで、ピン数は462、コアのサイズは120平方mm。当初はFSB(Front Side Bus)200MHzをサポートするが、今年後半には266MHzに高速化される予定という。これは同社が投入を予定している新チップセット『AMD-760』による。このAMD-760では、266MHzのDDR(Double Data Rate)SDRAMがサポートされる。また、2プロセッサーまでのマルチプロセッシングに対応した、ワークステーション/サーバー用途向けの『AMD-760MP』も今年後半に予定されている。

銅配線でもアルミ配線でも性能は同じ

また、新Athlonには、米テキサス州オースチンのFab 25で製造されるアルミニウム配線の0.18μmプロセスバージョンと、独ドレスデンのFab 30で製造される銅配線の0.18μmプロセスバージョンの2種類が存在するが、この両者について性能上の差違はなく、エンドユーザーが2つを見分ける方法もないとしている。

なお、現時点でSocket Aに対応したチップセットとしては、台湾のVIA Technologies社から『VIA Appolo KT133』、台湾のSilicon Integrated Systems(SiS)社から『SiS730S』が発表されている。

さらに、同社の今後のロードマップに登場する製品について、“AMD Athlonプロセッサ Q&A”で触れられている。コードネーム“Mustang”(マスタング)と呼ばれるプロセッサーは、新Athlonをさらに拡張したバージョンで、コアサイズを縮小し、最大1MBのオンダイ2次キャッシュを備える。銅配線の0.18μmプロセスによって製造され、ワークステーション/サーバー、バリューデスクトップ、モバイルの各市場向けに複数のバージョンの製品を投入するとしている。またコードネーム“Corvette”(コルベット)と呼ばれるプロセッサーは、Mustangコアを使用し、ローパワーでの動作とモバイル機能をサポートする、Athlonプロセッサー初のモバイル向け製品であるとしている。Mustang同様に銅配線の0.18μmプロセスによって製造される。

Pentium IIIをすべてに渡り上回る?

なお、米AMDのウェブサイト(http://www.amd.com/products/cpg/athlon/benchmarks/23937.html)では、新Athlonプロセッサー(チップセットはVIA Applo KT133)とPentium III(同Intel820)を比較した、多数のベンチマーク結果が掲載されている。これらの結果を見る限り、同クロックであればすべてに渡りPentium IIIを上回っており、MPEGエンコードなどの一部のアプリケーションでは、Pentium III-1GHzよりも新Athlon-800MHzが上回るような結果も出ている。

当編集部の企画記事“Pentium III vs. Athlon――1GHz対決<決定版>”において、*Athlonの弱点として2次キャッシュがオンダイでないことを指摘したが、Athlonがそれを備えた今、AMDがインテルに対して再び優位に立とうとしているようだ。

*新旧のAthlonを比較すると、旧Athlon-1GHzの2次キャッシュは512KBだが、プロセッサーコアの3分の1のスピードでしかアクセスできなかった。新Athlon-1GHzでは、容量は半分の256KBながら、プロセッサーコアと同じ速度でアクセスできる。ライバルのPentium IIIでは、“Katmai”において512KBの2次キャッシュ(アクセススピードはコアの2分の1)を搭載していたが、“Coppermine”では256KBと半分の容量になりながら、フルスピードでアクセスできるようになったことで、パフォーマンスが向上したのとほぼ同じ状況だ。

1点気になるニュースとしては、インテルが5日付で発表した『インテル820Eチップセット』がある。インテルでは、この820E搭載のシステムでは、820よりもパフォーマンスが向上するというアナウンスをしており、このチップセットを搭載したシステムが入手でき次第、改めて“新Athlon対Pentium III”のテストを行ない、結果をお知らせしたい。

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