このページの本文へ

『IXY DIGITAL』がデジタルカメラ市場の勢力図を塗り替えた――BCN総研、キヤノンがシェアトップを獲得と発表

2000年06月02日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(株)コンピュータ・ニュース社の市場調査部門であるBCN総研は2日、5月第4週(22~28日)におけるデジタルカメラのベンダー別シェアで、キヤノン(株)が1位になったと発表した。同社の戦略商品『IXY DIGITAL』が発売直後から大ヒットとなったためで、BCN総研では「IXY DIGITALの登場で、デジタルカメラ市場のベンダー勢力図は塗り替えられた」と分析している。

調査は同社が東京、名古屋、大阪の量販店284店舗の売上データをもとにした。それによると5月第4週のベンダー別シェアは、(1)キヤノン23.6%、(2)オリンパス光学工業(株)15.1%、(3)富士写真フイルム(株)12.5%、(4)(株)バンダイ11.6%、(5)ソニー(株)11.2%――とキヤノンがトップに躍り出た。

5月第3週(15~21日)のキヤノンのシェアは7.1%で、バンダイ(11.9%)に次ぐ5位。この5月第4週の1週間だけで一気に順位を4つ上げ、シェアも3倍以上に跳ね上がったことになる。このあおりでシェアを下げたのがオリンパスと富士写真フイルム。オリンパスは5月第3週の19.2%から4.1ポイント、富士は19.3%から6.8ポイントのマイナスとなっている。

キヤノン大躍進の原動力は、5月26日に発売された新製品のIXY DIGITALだ。搭載CCDは211万画素とハイエンドの300万画素機に劣るものの、APSコンパクトの人気ブランドである“IXY”シリーズのデザインを踏襲し、スタイリッシュで小型軽量なボディーを採用。さらにスタイリッシュ感を強調するため、サッカー選手の中田英寿氏を起用してキヤノンお得意の大プロモーションを展開した。

こうした作戦が当たり、5月第4週の機種別シェアではIXY DIGITALが19.9%を獲得。2位の『C@mail』(バンダイ、5.5%)を4倍近くの差で突き放す独走を見せ、多くの量販店で早くも入荷待ちの状態が続いているという。

BCN総研によると、IXY DIGITALのヒットでデジタルカメラ市場全体の規模も3割以上拡大したという。量販店は「IXY DIGITALの購入者は女性やパソコン初心者が多い」と回答しており、IXY DIGITALがデジタルカメラの潜在的需要に火を付けたと言えそうだ。

「今年はシェア20%はいくのでは」(キヤノン社長の御手洗冨士夫氏)というキヤノンのもくろみが早くも実現した格好だが、先行きについては予断を許さない。富士写真フイルムは、若者向けデザインを採用しながら音楽ファイルも再生できる多機能モデルを7月に発売、IXY DIGITALに真っ向から対決する。またトップを維持してきたオリンパスが、こうしたデザイン重視路線のヒットに何らかのアクションを起こすのは間違いない。優れたデザインをお家芸とするソニーも着実にシェアを伸ばしている。

デジタルカメラ市場は、高画質を追求するハイエンドモデルと、“持っていてうれしい、楽しい”付加価値を若者に訴えるデザイン重視モデルの二極に分かれ、今後もますます競争は熱くなりそうだ。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン