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【関西ミュージアムメッセ Vol.4】次世代の展示情報システム登場――国立民族学博物館『みんぱく電子ガイド』

2000年05月29日 00時00分更新

文● 高松平藏/ジャーナリスト

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24日から27日にかけて大阪・北区の国際会議場(グランキューブ大阪)で行なわれた関西ミュージアムメッセ。民族学に関する調査・研究および、資料の収集・保管・展示公開などを行なう国立民族学博物館(民博、大阪府吹田市、石毛直道館長)はこのほど、来館者に情報提供を行なう携帯端末『みんぱく電子ガイド』を導入した。

今年3月に導入された同端末はほぼB5サイズ。重さは約1Kg。館内に設置された赤外線投光機から端末へデータが送り込まれる仕組みだ。利用者はMPEG1フォーマットによる動画コンテンツをリクエストでき、単に展示物を見るだけではなく、その使われ方などを知ることが可能になる。利用者の知的満足度を高めることに一役買うかたちだ。

端末と赤外線投光機(上)。民博とシステムを共同開発した松下電器産業のブースにて端末と赤外線投光機(上)。民博とシステムを共同開発した松下電器産業のブースにて



'77年、世界に先駆けて民博は資料VTR映像の自動送出装置、いわゆる“ビデオテーク”を導入した。その後、技術の進歩にあわせてビデオから光ディスクへと進化させてきた。さらに今回はフルデジタル化。サーバーを利用した『MMR(みんぱくマルチメディア検索システム)』を構築することで、マルチメディア・オン・デマンドを実現した。みんぱく電子ガイドもその一環のサービスだ。

システム導入にあわせて、ビデオテークのほうも、番組を見るだけでなく、関連情報などにもアクセスができるなど機能も増えた。民博の支援事業などを行なう千里文化財団の田中美貴さんによると、利用者の平均利用時間も長くなる傾向にあるという。「お客さんからの質問も増えた」(同氏)。

博物館の利用者満足度を従来のマーケティング手法で把握するのは難しいが、1つの目安は来館者の利用時間の長さとリピーター率。マルチメディア技術が博物館の魅力を増幅させた好例といえよう。

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