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電子協、'99年度のミッドレンジコンピューターとワークステーションの出荷実績を発表――2000年問題の影響で出荷金額が減少

2000年05月25日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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(社)日本電子工業振興協会(JEIDA:電子協)は25日、'99年度の国内におけるミッドレンジコンピューターとワークステーションの出荷実績を発表した。ミッドレンジコンピューターの出荷台数は15万2242台と前年度比5%増加したものの、西暦2000年問題の影響で基幹系システム向けの高額機種が伸び悩み、出荷金額は6514億円と前年度を13%下回った。ワークステーションの出荷台数は8万9894台(前年度比18%減)、出荷金額は1579億円(同28%減)とここ数年の低落傾向に歯止めが掛からなかった。

出荷実績を発表する電子協の委員
出荷実績を発表する電子協の委員



調査は、電子協のミッドレンジコンピュータ・ワークステーション業務委員会と市場調査委員会が、国内メーカー(ミッドレンジコンピューター18社、ワークステーション14社)の申告を集計して行なった。電子協の定義では、ミッドレンジコンピューターとは“メインフレームとワークステーション、PCの間に位置するコンピューターすべて。主としてクライアント/サーバーシステムにおけるサーバー機”となっている。

Y2K問題で高価格帯への投資抑制

ミッドレンジコンピューターの出荷実績を価格帯別で見ると、1000万円~4000万円未満クラスの出荷台数は7549台と前年度比26%の減少、出荷金額も1864億円と前年度比21%の減少となった。西暦2000年問題対策で企業が情報システム系への投資を控えたのが原因。電子協では1月以降は反動で伸びると見ていたが、うるう年や年度末まで2000年問題の影響が及び、結局大きく挽回することができなかった。

対照的に唯一伸びたのは300万円未満の低価格帯。台数が11万2649台(同13%増)、金額が1734億円(前年度比2%増)となった。企業の情報化促進で部門サーバーやネットビジネス用データベースサーバーなどに活用される例が多かった。

その結果、OS別では低価格帯に採用されている“NOSサーバー(Windows NTやLinuxなど非UNIXのネットワークOS搭載機)”が伸び、台数が9万4608台(同34%増)、金額が1358億円(同2%増)と需要拡大を受けて順調に推移。その一方でUNIX系サーバーは、台数は3万4155台と同5%の微増だったものの、金額は3381億円と同8%減にとどまった。得意先の金融・公共機関分野での伸び悩みが響いた。

製造業で置き換えが進まないワークステーション

ワークステーションでは、100万円未満クラスが台数で3万7111台(同14%増)と伸ばしたものの、低価格化が進んでいるため、金額は同4%減の203億円となった。100~300万円未満クラスは台数が2万7333台(同43%減)、金額が513億円(同44%減)と激しく落ち込んだ。300万円以上のクラスも、台数が2万5450台(同14%減)、金額が862億円(同20%減)と減らしている。

ワークステーションの減少はここ数年続き、'99年度も歯止めはかからなかった。原因としては主な出荷先である製造業界の景気が厳しく、旧機種の更新が進まないためと見られる。また主な投資がサーバーに移っていることも向かい風となっている。

アウトソーシング化でサーバー需要伸長を予測

2000年度の見通しでは、ミッドレンジコンピューターは「大規模基幹システムの構築案件が増える上、ASP(Application Service Provider)やデータセンターなどアウトソーシング分野でサーバー需要が拡大する」(電子協)として、UNIXサーバーが金額で'99年度比5%増、台数で同8%増、NOSサーバーも金額で同7%増、台数で同17%増加すると予想している。ただし「景気動向が最大の懸念材料」という。また今年後半に市場投入されるIA-64ベースの製品については、「影響が出てくるのは来年以降だろう」と見ている。

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