(社)日本電子工業振興協会(JEIDA:電子協)は25日、'99年度の国内におけるミッドレンジコンピューターとワークステーションの出荷実績を発表した。ミッドレンジコンピューターの出荷台数は15万2242台と前年度比5%増加したものの、西暦2000年問題の影響で基幹系システム向けの高額機種が伸び悩み、出荷金額は6514億円と前年度を13%下回った。ワークステーションの出荷台数は8万9894台(前年度比18%減)、出荷金額は1579億円(同28%減)とここ数年の低落傾向に歯止めが掛からなかった。
出荷実績を発表する電子協の委員 |
調査は、電子協のミッドレンジコンピュータ・ワークステーション業務委員会と市場調査委員会が、国内メーカー(ミッドレンジコンピューター18社、ワークステーション14社)の申告を集計して行なった。電子協の定義では、ミッドレンジコンピューターとは“メインフレームとワークステーション、PCの間に位置するコンピューターすべて。主としてクライアント/サーバーシステムにおけるサーバー機”となっている。
Y2K問題で高価格帯への投資抑制
ミッドレンジコンピューターの出荷実績を価格帯別で見ると、1000万円~4000万円未満クラスの出荷台数は7549台と前年度比26%の減少、出荷金額も1864億円と前年度比21%の減少となった。西暦2000年問題対策で企業が情報システム系への投資を控えたのが原因。電子協では1月以降は反動で伸びると見ていたが、うるう年や年度末まで2000年問題の影響が及び、結局大きく挽回することができなかった。対照的に唯一伸びたのは300万円未満の低価格帯。台数が11万2649台(同13%増)、金額が1734億円(前年度比2%増)となった。企業の情報化促進で部門サーバーやネットビジネス用データベースサーバーなどに活用される例が多かった。
その結果、OS別では低価格帯に採用されている“NOSサーバー(Windows NTやLinuxなど非UNIXのネットワークOS搭載機)”が伸び、台数が9万4608台(同34%増)、金額が1358億円(同2%増)と需要拡大を受けて順調に推移。その一方でUNIX系サーバーは、台数は3万4155台と同5%の微増だったものの、金額は3381億円と同8%減にとどまった。得意先の金融・公共機関分野での伸び悩みが響いた。
製造業で置き換えが進まないワークステーション
ワークステーションでは、100万円未満クラスが台数で3万7111台(同14%増)と伸ばしたものの、低価格化が進んでいるため、金額は同4%減の203億円となった。100~300万円未満クラスは台数が2万7333台(同43%減)、金額が513億円(同44%減)と激しく落ち込んだ。300万円以上のクラスも、台数が2万5450台(同14%減)、金額が862億円(同20%減)と減らしている。ワークステーションの減少はここ数年続き、'99年度も歯止めはかからなかった。原因としては主な出荷先である製造業界の景気が厳しく、旧機種の更新が進まないためと見られる。また主な投資がサーバーに移っていることも向かい風となっている。