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【ビジネスシヨウ2000 TOKYO Vol.5】ドコモとDDI、音楽配信サービス対応のPHSを展示

2000年05月23日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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(社)日本経営協会と東京商工会議所が主催する“ビジネスシヨウ2000 TOKYO”が、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。シリコンオーディオプレーヤーに注目が集まる中、ここでは、ちょっと変わり種である、(株)NTTドコモとDDIポケット電話グループがそれぞれ展示した音楽配信サービス対応のPHS端末と、シャープ(株)のザウルス用のMP3プレーヤーキットを紹介する。

ドコモの音楽配信サービス実験用PHS

NTTドコモは、5月末から6月末にかけて関東甲信越地区で行なうPHSを利用した音楽配信サービス実験において、モニターに配布した2つの機器を展示した。1つは松下通信工業(株)製のモニター用PHSで、もう1つは松下電器産業(株)が先に発表したSDメモリーカード対応のオーディオプレーヤー『SV-SD70』である。


モニター用PHSと『SV-SD70』。『SV-SD70』の詳細についてはこちらを参照してほしい

モニター用PHSは、白黒の液晶ディスプレーと、音楽配信サービスセンター直通の通話/切断ボタン、SDメモリーカード用のスロットを搭載している。楽曲の再生に対応していないため、ダウンロードした楽曲をSDメモリーカードに記録し、それを『SV-SD70』に挿入して再生するという手順を踏む。少々不自由に感じるかもしれないが、今秋に始まる商用サービスでは、PHS単体でダウンロードと再生が行なえるほか、音声通話機能も搭載する予定だ。

今回の実験では、新譜/旧譜、邦楽/洋楽を問わず、30~45秒の試聴楽曲を1000曲程度用意している。音楽配信サービスセンターに電話をかけると、液晶ディスプレーにメニューが表示され、アーティスト名による検索と楽曲タイトルによる検索が行なえる。音楽データのビットレートは32kbpsと128kbpsで、配信する曲はそれぞれ2つのビットレートのデータを用意している。

音楽データのホスティングは、松下とNTTドコモが共同出資をしているエアメディア(株)が担当し、音楽データの圧縮方式はMPEG-4の音声圧縮技術であるAAC、音楽の配信方式は松下が米AT&Tなどと共同開発したEMDLBを採用している。なお、64kbpsで通信を行なった場合のダウンロードにかかる時間は、32kbpsのデータの場合で曲の長さと同じ程度、128kbpsの場合で曲の長さの2倍という。

展示された機器に手を触れることはできなかったが、モニター用PHSに係員が目の前でダウンロードした32kbpsのボーカル曲をヘッドホンで聞いてみたところ、ノイズもなく、雑踏の中でもボーカルの音がよく響いていた。ただし、音の再生に関しては今回『SV-SD70』の実力にも依存しているので、PHS本体にその再生機能を組み込んだ際にどれだけの音質を表現できるか、気になるところである。

松下製の商用サービス向けPHSも展示されていた 松下製の商用サービス向けPHSも展示されていた



なお、ドコモの音楽配信サービスが全て、AAC-EMDLB方式、SDメモリーカードに決定されたというわけではない。NTTドコモによれば、ソニー(株)が、メモリースティック搭載の携帯端末を発売する予定という。その場合、音声圧縮方式としてソニーが開発したATRAC 3を、音楽配信方式として米IBMが開発したMediaDirectに対応した楽曲配信サービスに対応する見込みだ。

DDIも音楽配信サービスを開始

DDIポケット電話グループは、今秋にも同社のPHS『H″(エッジ)』を利用した音楽配信サービスを開始するとして、その試作機を展示した。試作機は、Secure MMCを記録媒体とした三洋電機(株)と(株)日立製作所のものであるが、他の電器メーカーとも交渉を行なっているという。

DDIは同サービスの開始に向け、コンテンツ管理・配信サーバーなどを整備中という。

Secure MMCを記録媒体とした試作機を展示
Secure MMCを記録媒体とした試作機を展示



ザウルス用のMP3プレーヤーキット

シャープは、ザウルス用のMP3プレーヤーキット『CE-AP1』を参考出展した。これは、デコーダーを内蔵するクリップ型のプレーヤー兼リモコン、パソコン用のMP3変換/ファイル管理ソフト、ザウルス用のイコライザーソフトなどを同梱したもの。

ザウルス用のMP3プレーヤーキット『CE-AP1』。対応予定の機種は、MI-C1/MI-EX1/MI-P1/MI-P2/MI-310
ザウルス用のMP3プレーヤーキット『CE-AP1』。対応予定の機種は、MI-C1/MI-EX1/MI-P1/MI-P2/MI-310



プレーヤー本体は、フラッシュメモリーや記録メディア用のスロットを搭載しておらず、ザウルスのコンパクトフラッシュから音楽データを読み込む。ユーザーは、パソコン用のMP3変換/ファイル管理ソフトを用いて、MP3データをコンパクトフラッシュにコピーする。

プレーヤーには、再生/停止/早送りといった基本操作のボタンが付いており、ザウルスの電源を落とした状態でもリモコンの操作だけで音楽を再生できる。インターフェースは、ザウルス専用のオプションポートで、ここからコンパクトフラッシュの音楽データを読み込んだり、電源の供給を行なう。

専用イコライザーソフトは、高音・低音をそれぞれ30段階で調整できるようにする予定
専用イコライザーソフトは、高音・低音をそれぞれ30段階で調整できるようにする予定



シャープは先にSDMIの著作権保護規定に準拠したシリコンオーディオプレーヤーを発売しているが、このキットでは、違法コピー対策として、MP3変換/ファイル管理ソフトが各MP3ファイルに管理IDを付け、他のMP3ファイルでの再生を制限するという。7月発売の予定で、価格は未定。記録メディアを同梱しない1万円以下のMP3プレーヤーが市場に出ていることから、このキットの価格は、少なくとも実売で1万円前後になるのではないかと見られている。

残念ながら、展示機に手を触れることはできなかった。製品を見た印象としては、リモコン操作に対応したシリコンオーディオプレーヤーはまだ数少ないので、MP3プレーヤーの購入を考えているザウルスユーザーは、その候補に入れても良いだろう。また、MP3はAACやATRAC 3と比べて音質の評価が低いが、高音・低音をそれぞれ30段階で調整できるという専用イコライザーソフトも魅力的だ。

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