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三重県、ITベンチャー会社“サイバーウェイブジャパン”を設立――外部によるアドバイザリーボードを結成

2000年05月22日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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三重県は、ITベンチャー会社“株式会社サイバーウェイブジャパン”(略称:CWJ)を6月末に設立すると発表、本日都内で記者発表会を行なった。

三重県の北川知事
三重県の北川知事



志摩地域に陸揚げされる海底ケーブルとバブル崩壊後の空きリゾート施設を利用

三重県は、来年度中に合計5種類の大容量超高速海底ケーブルが県南部の志摩地域に陸揚げされるのを契機に、各通信事業者の回線網、県の志摩伊勢間の回線網、県内のCATV回線網などを利用した、情報化によるまちづくりを目指す“志摩サイバーベース・プロジェクト”を展開、同プロジェクトの中心となるCWJを設立することとなった。

志摩地域内の阿児町賢島の保養所群の空き施設を改造し、CWJおよび志摩サイバーベースのオフィスとして利用する。陸揚げする海底ケーブルと県内情報網との間に光ファイバーケーブルを整備し、通信事業者等に開放することで、賢島のCWJと国内外のネットワークが大容量回線で接続されることになる。海底ケーブルの容量は合計でTbit(テラビット)クラスになるという。

CWJは、大容量回線をベースとしたインフラサービス事業を中心に行なう。具体的には、大容量回線に接続されたサーバーのディスクスペースを賃貸する“ホスティングサービス”、顧客のサーバーを預かり運用を代行する“ハウジングサービス”、専用線による“インターネット接続回線提供サービス”、志摩サイバーベース内に設けられるオフィスへインターネットインフラを提供する“志摩サイバーベース内インターネットサービス”、行政文書の電子化(PDF文書化)や、DVDタイトルの企画制作などを行なう“デジタルコンテンツサービス”を提供する。

米MSの古川副社長など、外部からアドバイザリーボードを結成

また三重県は、志摩サイバーベースプロジェクトの推進にあたり、助言をもらうため県の総合的なアドバイザリーボードを結成した。アドバイザーのメンバーは以下の通り。

・(株)インターネット戦略研究所
高橋徹会長
・社会福祉法人プロップ・ステーション
竹中ナミ理事長
・マクロメディア(株)
手嶋雅夫社長
・米マイクロソフト社
古川亨副社長
・(株)オールウェイズ
水居徹社長
・慶応義塾大学環境情報学部
村井純教授

CWJは、第三セクター形式で発足するが、アドバイザリーボードからの経営チェックが入るほか、社内スタッフも天下りなどではなく公募するなど、独立した事業展開を行なう。売上は、初年度で5000万円、3期目で4億円、5期目で7億円を見込んでおり、3期目で単年度黒字化を目指す。将来的には株式公開も予定しているという。代表取締役社長には北川正恭三重県知事が就任予定で、実質的な経営幹部は公募し、当面は(株)オールウェイズの水居徹氏が社長代行として運営業務を行なう。営業開始は8月。資本金は1億1000万円で、会社設立後にさらに増資し、1億5000万円~2億円にする予定。現在(1億1000万円)の株主は以下の通り。

・(株)オールウェイズ:1000万円
・近畿日本鉄道(株):1000万円
・KDD(株):1000万円
・(株)サイネックス:1000万円
・中部テレコミュニケーション(株):1000万円
・未来精工(株):1000万円
・三重県:5000万円

「従来の第三セクターとは一線を画す」と北川知事

発表会場で、北川知事は、「社会のIT化により、従来の既成概念では地域の活性化はなかなかうまくいかないだろうと認識している。三重県全体の情報化に関して助言をもらうため、県の総合的なアドバイザリーボードを結成した。われわれ官は、新しい分野に踏み込んでいくのは不慣れなので、アドバイザーに意見をしてもらいながら、情報革新による地域の活性化を図っていきたい」

「複数の海底ケーブルが志摩地域に陸揚げされる。これらを活用して情報化によるまちづくりプロジェクトを支援するものとしてCWJを6月末に設立する。志摩地域はリゾート地として有名だが、バブル崩壊後、観光客も減り、地域活性化が大きなテーマとなっている。空きリゾート施設も多いので、それをCWJやベンチャー企業のオフィスに振り替えることを考えている」

「CWJは、株式公開も視野に入れたネットベンチャー。人材は公募方式を採用し、役員も選挙等によって決定する。在宅勤務などの障害者雇用も考慮している。CWJは第三セクタースタイルとして発足するが、従来の第三セクターとは一線を画したベンチャー企業として、独立した採算性を取り、天下り的な人事は極力排除する。3期目に黒字化という達成目標数値を明確にしている分、県として全力を挙げて事業に取り組んでいく」と語った。

CWJのビジネスプランを作成した水居氏は、「CWJは、サービスにおいて、第三セクターにありがちな割引ビジネスというよりは、クオリティーをキープしながら、かつコストパフォーマンスもいいという市場原理に基づいた価格の数値を組み立てている」

オールウェイズの水居社長
オールウェイズの水居社長



「スタッフは、基本的には地元またはユーターンで公募し、8月の営業開始の段階では、技術2名、営業2名、管理1名を予定している。勤務形態としては、社内集約型でなく、障害者や高齢者の雇用を考慮した在宅型、海外含めた地域型というネットワークを意識した形態をとる。同時に地域への雇用促進も図っていく」としている。

北川知事(中央)とアドバイザリーボードメンバー、出資会社代表メンバー
北川知事(中央)とアドバイザリーボードメンバー、出資会社代表メンバー

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