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マイクロソフト前社長の成毛氏、近況を報告――75億円のファンドで既存企業のIT化を支援

2000年05月17日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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マイクロソフト(株)前社長で現取締役特別顧問の成毛真氏は16日、成毛氏が現在取り組んでいる事業の概要について語った。(株)ソーテックの新製品発表会で行なわれたトークセッションにゲストとして出席した際、ソーテック社長の大辺創一氏の質問に対して答えた。それによると成毛氏は新会社を設立、70億円を超えるファンドを運用して既存企業のIT化を支援していくという。

ソーテックの新製品発表会で近況を語る成毛氏(中央)
ソーテックの新製品発表会で近況を語る成毛氏(中央)



成毛氏が語ったところによると、新会社は“株式会社インスパイア”。5月に設立され、成毛氏が社長に就任した。

新会社の業務は「オールド企業のIT化支援」(成毛氏)。東証一部・二部に上場済みの「自動車部品製造など、マスコミに“衰退産業”と呼ばれている企業」(同)に対し、第三者割当増資を引き受け10億円単位で資金を注入。遅れているIT化や電子商取引(EC)対応を一気に促進させるのが目的という。資金は75億円という自社のファンドを充てるという。

成毛氏は3月の社長退任会見の際、「コンピューター関係の仕事でも、ベンチャーキャピタルの仕事でもないが、金融のテクノロジーを多用するような業種」の事業を起こすことを明らかにしていた。また成毛氏は「赤字を垂れ流すネット企業の株価が高騰する一方、日本の高度成長を支えた企業の株価が100円以下などという現状はおかしい」とネットベンチャーがもてはやされる現状に苦言を呈していた。

トークセッションで成毛氏は、「アマゾンドットコムより、バーンズアンドノーブルだということ。リアルの店舗を持っている既存企業がECを手掛けたほうが早い」と指摘。成毛氏は、ネット対応が遅れている既存企業でも、IT化を促進すれば十分挽回のチャンスがあると見ているようだ。

「マイクロソフトは20年以上にわたって努力を続けたからこそ今の地位がある。現在のネットベンチャーと一緒にされるのは心外だ」とかつて語っていた成毛氏。ベンチャーブームに浮かれたIT業界に背を向けたかのようにも見える今回の転身だが、豊富な経験と資金力で“衰退産業”を“インスパイア”できるのだろうか。

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