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インテルと三菱電機、第3世代携帯電話向けチップセットの共同開発を発表

2000年05月17日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米インテルと三菱電機(株)は17日、第3世代の携帯電話向けチップセットを共同開発すると発表した。インテルはマイクロプロセッサー『StrongARM』や世界シェアトップのフラッシュメモリーを、国内携帯電話でシェア2位の三菱電機がワイヤレス関連技術を持ち寄る。成長著しい携帯電話関連のチップでもトップを狙うインテルと、部品の安定供給を図りたい三菱電機の思惑が一致した。当面は日欧方式のW-CDMA(DS-CDMA)に焦点を合わせ、最初の製品は2002年に日本市場向けに出荷し、順次欧州など世界市場に投入していく。

都内で開かれた記者発表会
都内で開かれた記者発表会



提携の内容は、インテルのStrongARMプロセッサーやDSPコア、フラッシュメモリーといったチップセットを、第3世代の携帯電話機やアプリケーション向けに共同でカスタマイズするというもの。第3世代移動体通信の特徴である高速なデータ伝送を活かし、動画送受信などマルチメディアに対応した高集積、低消費電力のチップセットになるという。

まず2002年にチップセットを搭載したW-CDMA対応携帯電話を日本市場に投入。将来は北米方式のcdma2000(MC-CDMA)向け製品も視野に入れているという。2003年に三菱電機は世界全体で6000万台の出荷を予定しているが、そのうち5割以上に共同開発したチップセットを搭載させる方針。他社へチップセットを販売することも検討している。

パソコン向けプロセッサー市場を制したインテルは、急激な勢いで立ち上がりつつあるモバイルワイヤレス市場でもデファクトスタンダードの地位を狙う。だがフラッシュメモリーでは世界シェアトップながら、携帯電話向けDSPでは米テキサスインスツルメンツの独走を許すなど、目標達成までのハードルは多い。

一方の三菱電機は、国内携帯電話市場ではシェア2位を確保、欧州市場の“Trium”ブランドを含め2000年度は世界全体で2000万台の出荷を見込む。だが「出荷台数が増えれば増えるほど、部品供給の問題に直面する」(三菱電機常務の中西道雄氏)。世界的に部品供給がひっ迫する中、部品不足がネックとなって需要に応えきれない事情がある。

インテルは世界的な携帯電話端末メーカーである三菱電機と組むことで、自社に欠けていたワイヤレス関連のノウハウと、自社製品を売りさばくマスマーケットを獲得できる。三菱電機はインテルの高い技術力を活かしたチップセットで自社製品を差別化できる上、インテルから半導体の安定供給も期待できる。

記者発表会は都内で開かれた。インテル(株)社長のジョン・アントン(John Anton)氏は、提携先に三菱電機を選んだ理由について、「半導体分野のリーダーであるインテルと、携帯電話端末の世界的なメーカーである三菱電機が提携するのは極めて自然なこと。今後は両社ともこの分野でトップ企業を目指す」と答えた。

インテル(株)社長のジョン・アントン氏(右)と三菱電機常務で通信システム本部長の中西道雄氏
インテル(株)社長のジョン・アントン氏(右)と三菱電機常務で通信システム本部長の中西道雄氏



また三菱電機常務で通信システム本部長の中西道雄氏は、「双方の優れた点を持ち寄り、将来はマーケットをリードできるような新技術も開発していきたい」と提携の効果を期待した。

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