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広がる携帯電話の活用法。在庫照会から、発注、PDFのFAX出力まで――iモードビジネストレンドセミナー(後編)

2000年05月15日 00時00分更新

文● 服部貴美子 

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NTTドコモ関西と(株)アシストの協賛により開催された、iモードビジネストレンドセミナー(5月10日)において、iモードを利用したグループウェアのデモンストレーションが実施された。なお、同セミナーの前半に行なわれた両社代表取締役の講演内容については、前編のレポートを参照していただきたい。

EDAの利用で既存システムと融合を

まず、協賛会社の1つである(株)アシストの“WebFOCUS”の概要説明とデモンストレーションが行なわれた。

iモードの躍進を支えているのは、若年層であり、ビジネスにおける利活用はまだまだ。電子メールやスケジュールなど、グループウェア的な利用がほとんどであるにもかかわらず、たとえば営業マンの在庫照会などに使われている例はほとんどないのが現状だ。

多くの企業は、過去の顧客データベースを、オラクルやNotesで管理しているが、そのほかにも在庫情報ならばAS400、10年ほど前の取引先データはOS390に……など、さまざまな環境下に分散して置かれており、iモードからダイレクトにアクセスできないものも混在してしまう。ところが、既存システムとの融合のために、各種プラットフォーム、DBMS、プロトコル、使用ツールの差異を吸収するミドルウェア(EDA=Enterprise Data Access)を置き、仮想的な1つのビューで複数のデータを呼び出せるEDAハブサーバーを構築すれば解決できる。

この仕組みを利用したデータウェアハウス活用ツールが“WebFOCUS”だ。NTやUNIXなど、多様なプラットホームで稼動できるため、ほとんどの企業に即導入できる。

参照、出力の形式は、ホームページを作成するのと同じ手順。FrontPageなどでも十分に制作できる
参照、出力の形式は、ホームページを作成するのと同じ手順。FrontPageなどでも十分に制作できる



デモンストレーションでは、在庫照会から発注という流れが説明された。

iモード上の商品名などをクリックすると、その商品の詳細情報が現われるが、これは新規画面が出たというよりも、大きなデータベースの中で、表示させる箇所を移動しているという雰囲気。ウェブで言うところのハイパーリンク機能を使い、iモードの小さな画面に表示させるデータの上限位置を指定しているというわけだ。さらに、交渉の現場で見積もりを作成し、本体の電話機としての機能を使って、PDF形式の書類をFAXで出力することもできる。

発注操作のデモ。このあと、在庫データにアクセスしてみれば、リアルタイムにデータが更新されているのがよく分かる
発注操作のデモ。このあと、在庫データにアクセスしてみれば、リアルタイムにデータが更新されているのがよく分かる



iモード側で送信完了になってから、FAXが受信するまでは1分たらず。FAXの機種によって、プリントアウトまでのスピードは異なるが、数分間ですべての作業が終わった
iモード側で送信完了になってから、FAXが受信するまでは1分たらず。FAXの機種によって、プリントアウトまでのスピードは異なるが、数分間ですべての作業が終わった



本来の電話機としての機能も活かした応用例

さらに、応用例として、診察待合システムが紹介された。問診票の打ち込みから、希望の科での受付まで、すべてiモードで操作。データベースにアクセスすれば、自分の診察があと何人でまわってくるかを照会することができる。また、更新されるデータの数値が一定の値に達したとき――例えば、待合人数があと5人に減ったら――データベースからメールソフトが稼動し、メールが送信される。これで利用者にとっては電話がかかってきたのと同じ状態となる。

続いて、iモードを活用したグループウェア“iOffice2000”について、(株)ネオジャパンの代表取締役、齋藤晶議氏から紹介があった。

グループウェア“iOffice2000”は、昨年12月に最新バージョン2.3を発表。同時に、NTTドコモのiモードに対応した“iモード版Version 2.0”も併せて公開された。これまでの販売実績は、販売数2200社、1サーバー平均のユーザ数は65である。

ホームページからダウンロードできる無償グループウェア

  “iOffice2000”は、スケジュール、メール、共有アドレス、伝言、タイムカード、設備予約、回覧板、ワークフロー、仕事リストなど、11の機能から必要なものだけを選択して運用することができるウェブ対応型のグループウェア。iモード対応版は、9機能に絞られているが、本体にアドオンして無償で利用できるが魅力だ。

本体の操作は、標準的なインターネット技術を採用しており、情報入力の約90パーセント以上がマウス操作のみで済む。ログイン時には、ログイン名とパスワードによってセキュリティーをかけることができ、サーバーのタイムアウト時間を設定することで、紛失時などに悪用される心配を軽減できる。

個別の機能としては、たとえばスケジュールは個人/グループのスケジュールが同時に管理でき、表示も月間、週間、日間などさまざまなビューの中から選択できる。

スケジュール表のイメージビュー。グループ共通のスケジュールを入力し、メールで通知することもできる。定例の予定も、マウス操作で簡単に登録可
スケジュール表のイメージビュー。グループ共通のスケジュールを入力し、メールで通知することもできる。定例の予定も、マウス操作で簡単に登録可



アウトルックなどのソフトウェアとのインポートやエキスポートも可能だ。メール機能なら、iモード本体にも付いているが、ビジネスシーンにおいては、文字数制限がネックとなることも多い。データベースからの情報参照の形ならば、長い文章でもすべて読めるという利点がある。また、他人のパソコンやインターネットカフェから利用した際にもログが残らず、個人のセキュリティーが守られる。

価格は、1サーバ5ユーザー版が3万9800円より。iモード対応版のほか、ザウルスやWorkPadから連携できるPDA対応版も提供されている(有償)。

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