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モバイル関連技術について助言を行なう団体“Mobile Advisory Council”が説明会を日本で開催――日本企業に参加を呼びかけ

2000年05月15日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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モバイル関連技術に対して提言や助言を行なう、非営利の業界団体“Mobile Advisory Council(MAC)”は15日、都内で説明会を開催した。MACは米スリーコム社と米コンパックコンピュータ社などが中心となり、'99年3月に設立された。現在のメンバー企業は24社におよび、PCオープンアーキテクチャー開発協議会(OADG)とも協調して活動している。

現在のMACのメンバー企業は、米スリーコム、米Advanced Micro Devices(AMD)社、米コンパックコンピュータ、米デルコンピュータ社、米富士通PC社、米IBM社、米ザーコム社の7社からなるボードメンバーと、台湾のエイサーラボラトリーズ社、米Agate Technologies社、米アメリカンメガトレンド社、カナダのATIテクノロジーズ社、米ゲートウェイ社、米ヒューレット・パッカード社、米日立データシステムズ社、米iGo社、米Insyde Software社、米ルーセント・テクノロジー社、米Mobility Electronics社、米Phoenix Technologies社、米シャープ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ社、米Tantivy Communications社、TDK(株)、米テキサス・インスツルメンツ社、米PC Doctor社。

*OADG(Open Architecture Developer's Group):IBM PC/AT互換機の技術を基礎としたOADG仕様を定め、共通アーキテクチャーの実現と拡張、技術情報の提供など、その普及活動を行なっている団体。

MACでPresidentを務める米コンパックコンピュータのポール・スタンレー氏(左)と、ボードメンバーの米富士通PCの島影修二氏(右)
MACでPresidentを務める米コンパックコンピュータのポール・スタンレー氏(左)と、ボードメンバーの米富士通PCの島影修二氏(右)


MACは標準化団体ではない

今回来日した、米コンパックCommercial Portables Division,Senior Member Technical Staff,Portable PC Architectで、MACのPresidentを務める、ポール・スタンレー(Paul Stanley)氏と、ボードメンバーである米富士通PCのSoftware Coordination and Planning,Vice Presidentの島影修二氏にMACの活動についてお話をうかがった。

それによると、MACは技術の標準化を行なったり、あるいは技術を採用するように勧告を行なう団体ではない。パソコン向けに発表されるさまざまな技術の中で、モバイルパソコンに関連する技術に対して、“よりよいものにするために”意見をまとめて要望を出す、ということを目的としている。MAC設立の背景として、現在提唱されているさまざまな技術標準は、主にデスクトップ製品に向けたもので、モバイル向けとしてはあまり適切でなかったりすることが挙げられるという。例えば、USBはノートパソコンにも広く普及している技術だが、サスペンドなどについて考慮されておらず、そういった場合の動作についての決められていなかったりするという。これはUSB2.0についても同様で「速度を速めることしか考えられていない」としている。

現在MACでは、7つのカテゴリーについてワークグループが設けられている。そのワークグループとは電源管理に関する“ACPI/Power Management”、無線通信に関する“Communications”、ノートパソコンのドッキングステーションに関する“Docking Stations”、*PC2001仕様に関する“PC 2001”、USBなどのサブシステムに関する“SubSystem Interconnect”、レガシーフリーPCに関する“Legacy Free”、およびMAC自体の宣伝や企業に対する勧誘に関する“Marketing”の7つ。これらはすべて、モバイル用途で使う場合の観点から話し合いが行なわれ、それぞれの技術の標準化団体に対して、要望をまとめている。

*PC2001:米インテル社と米マイクロソフト社が中心となって策定、発表する、Windowsプラットフォームのコンピューターのシステムデザイン規格。最新のものがPC2001。

MACは設立されて1年ほどだが、いままでにPC2001、ACPI、Docking Stationに関しては提案書を提出しているほか、4月に行なわれたWinHEC 2000では、““Wireless Ready”Mobile Computing”と“Legacy Free Mobile Systems”について、ホワイトペーパーの形で発表している。Intel Developer's Forumなどのカンファレンスでも、MACとしてブースを設けたり、発表を行なっている。

モバイル製品メーカーの多い日本企業にぜひ参加を

日本では、'99年11月にOADGとの協力関係締結を発表し、MACの活動内容をOADG各社に説明したという。今回の来日も、モバイル関連製品のメーカーが多い日本企業に、MACへの参画を促すことが目的で、日本企業のメンバーが増えれば、MACの会議を日本で開催することも考えられるとしている。

これまでのパソコン、特にデスクトップのアーキテクチャーはその多くが米国発で、米企業主導によって開発や普及が行なわれてきた。しかし、いま急速に立ち上がりつつある“モバイルコンピューティング”という分野においては、まちがいなく日本が米国よりも先を走っている。例えば、記者の経験では、米国のカンファレンスなどでは、(パソコンメーカーは別として)プレゼンテーションで使われるノートパソコンの多くがVAIOノート505シリーズで驚かされたことがある。

MACに参加することは、大パソコンメーカーでなくとも、業界の標準技術に対して要望を出すなどの働きかけをできるチャンスではないだろうか。今後、多くの日本のモバイル製品メーカーがMACに参画して、多くの意見を述べ、「アメリカの“モバイルパソコン”と、日本の“モバイルパソコン”ではまったく感覚が違うからな。もっと日本の感覚にあった機能を持ったものがでてこないか」という、日本のユーザーの“嘆き”が減ることを望みたい。

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