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年内には“iOffice2000”を使った携帯サービスが始まる――iモードビジネストレンドセミナーより(前編)

2000年05月12日 00時00分更新

文● 服部貴美子 

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10日に、NTTドコモ関西とアシストの協賛により、iモードビジネストレンドセミナーが開催された。両社の協賛によるイベントはこれが初めてとなる。会場は、大阪市北区福島の大阪国際会議場6F。本稿では、前半に行なわれた両社代表取締役の講演内容をお伝えする。グループウェアの商品性については、後編のレポートを参照していただきたい。

“グランキューブ大阪”という愛称をもつ本格的な設備を揃えた国際会議場。大型スクリーンを備え、数百名が収容できるメインホールが会場に使用された
“グランキューブ大阪”という愛称をもつ本格的な設備を揃えた国際会議場。大型スクリーンを備え、数百名が収容できるメインホールが会場に使用された



今後のモバイルコンピューティングの動向とドコモの取り組みは?

まず、最初に登壇したのは、(株)NTTドコモ関西、代表取締役副社長である菅原光宏氏。
 
'93年の無線機付きPDAサイモン登場以降のモバイルコンピューティングの歴史を振り返った菅原氏は、「携帯電話の爆発的なヒットにより、通信の評価ポイントがボリュームからバリューへ、つまり付加価値へと移った」と指摘。特に関西圏では、ツーカーホン関西や関西セルラーに押され気味だった市場を大きく覆したきっかけが、'99年のiモードサービスのスタートであったことを検証していった。

連休前に、サービス障害などのトラブルが続いたことを謝罪した上で、「システムを補強したので、連休明けも支障なく接続できた」と自信をみせたが、ドコモ関西のiモード契約率は37パーセントを超え、ドコモ四国を抜いて全国トップに。携帯電話加入率者に占めるiモード契約者の比率が高いばかりではなく、顧客シェアに比べてトラフィックシェアが大きいのが特徴だ。講演後の記者会見でも菅原氏は「話し好きの関西人の特徴が出ている。やりはじめると凝る人が多い」と説明した。

記者会見の席上での菅原氏記者会見の席上での菅原氏



ASP事業については、「7月には社内でリリースして、年内には“iOffice2000”*を使ったサービスを始めたい」と述べた。ほかの事業者との競合を避けるため、ドコモオリジナルの携帯情報端末を中心に展開する。

*iOffice2000:グループウェアソフト。同ソフトは、“スケジュール管理”、“設備予約”、“仕事リスト”、“伝言&行き先案内板”、“提示板”、“共有アドレス帳”、“タイムカードシステム”、“ワークフロー”、“共有アドレス帳”、“WebMail”の機能で構成されている。ブラウザー上で動作するメール機能“WebMail”は、各機能に連動しており、作業内容を瞬時にメールで送信できる

アシスト大阪営業部の大坪修一統括部長は、すでにいくつかのケアセンターなどで“iOffice2000”がモニター使用されていると述べ、「ドコモさんと共にコンテンツのブラッシュアップを行ない、地域密着型の優しいシステムを作っていきたい」と語った。具体的には、保険申請システムへの活用や、ケアマネージャーが在宅ケアをする際の利用などを想定しているとのこと。利用者が40代以上である場合が多いため、「ノートPCやPDAより、操作がラクなiモードは好適な端末」(大坪氏)アシスト大阪営業部の大坪修一統括部長は、すでにいくつかのケアセンターなどで“iOffice2000”がモニター使用されていると述べ、「ドコモさんと共にコンテンツのブラッシュアップを行ない、地域密着型の優しいシステムを作っていきたい」と語った。具体的には、保険申請システムへの活用や、ケアマネージャーが在宅ケアをする際の利用などを想定しているとのこと。利用者が40代以上である場合が多いため、「ノートPCやPDAより、操作がラクなiモードは好適な端末」(大坪氏)



モバイルコンピューティングの変遷については「もう、プレゼンテーションを行なう予定のある人、原稿を書く仕事のある人以外は、ノートPCを持ち歩かないだろう」と述べ、iモードがパソコンの全機能を代替できないとしても、連携できるグループウェアの登場や、ダウンロード機能の充実などによって、スイッチポンで使える魅力が際立ってくるだろうとの予想を語った。「ビジネス市場での本格的なモバイルコンピューティング利用の拡充と、コンシューマー市場での利用のさらなる本格化があいまって、iモード市場は伸びていくだろう」(菅原氏)。

今後、問題となってくるのが、ネットワークの安定性と一般ユーザーのセキュリティー確保だが、菅原氏は「指紋、声紋、顔の輪郭、網膜などのデータによる個別認証が、すでに実用段階に入っている」と、技術の進歩について触れ、ID、パスワード、Viometoricsの3つのカギでかなり高度なセキュリティーが実現できると説明した。

関西の特徴を意識したASP事業を

先日開催された“モバイルフロンテイア2000”の参加者にアンケートをとったところ、iモードに何を期待するかとの問いに対して写真付きメール、地図付きメールとの回答が上位を占めており、携帯電話に何を期待するかとの問いに対しては、動画の送受信が約20パーセントでトップ。

このような期待に応えるため、「IMT-2000に向けて、可能なことにはすべて挑戦していく」と意気込みをみせた菅原氏。IMT-2000NWは、年内には東京で、2002年には全国主要都市へと拡大する予定であると説明。

菅原氏は「当社の基本は、移動フレームサービス事業。ネットワークサーバーを基本に据えて、ユーザーの利便性向上に貢献できるサービスを考えていきたい」と述べた。その一端としての “Customized Personal Service”について、「関西では小規模の企業にお役にたてるようなものを」と、中小企業を中心に、業績不振や景気低迷に悩む関西経済を復興させるためにも、BtoB型のASP事業へと参入したいと意欲をみせた。

また、講演の最後には、「ドコモのネットワークを使い、そのネットワークを取り巻くすべての人や企業の望みをかなえる“夢を語れる企業”でありたい」と抱負を述べ、そのプロセスの中で、他社との協業や連携の可能性もうかがわせた。

需要拡大で、“モノの中づくり”産業も活性化!?

引き続き、(株)アシスト 代表取締役のビル・トッテン氏が“私のモバイル活用方法”と題して講演を行なった。以前は東京で暮らしていたトッテン氏だが、緑の多い環境を求めて京都へと移住。「仕事をするのに、机は要らないということが分かった。PCと宅急便と新幹線があれば、不自由はない」とモバイルライフの快適さを語った。

もともと携帯電話は好きではなかったというトッテン氏がiモードを愛用するようになったきっかけは「パソコンのように立ち上げに時間がかかることがなく、データがすぐにみつかる点」と述べ、片手で文字入力するという操作特性を意識してからは、「社員からのメールを、英語から日本語へと切り換えた」とエピソードを披露。

また、日本におけるiモードの爆発的ヒットの背景には「パソコンは、ユーザーの生産性向上の道具といいながら、実は売り手の儲けのために作られている」という、メーカー側の事情を酷評。日本は“モノの中に入っているコンピューター”の技術では世界のトップを走っており、米国がPC業界のリーダーであるという常識に一石を投じた。iモードの需要が伸びれば、トッテン氏が指摘するように、精密部品等の関連産業が多い関西経済にはプラスになると考えられるだろう。

最後に、「書店で同じ本を買ってしまうことがある」など失敗談を語りながら、データベースを参照できることの便利さと快適さを訴え、パソコンの機能を吸収した携帯電話=iモードの魅力を、参加者に伝えていた。

記者会見の席上でのビル・トッテン氏。講演中は、おだかやな口調のままで、内政干渉と政府の対応についてブラッキーなコメントを述べ、参加者の笑いを誘った記者会見の席上でのビル・トッテン氏。講演中は、おだかやな口調のままで、内政干渉と政府の対応についてブラッキーなコメントを述べ、参加者の笑いを誘った

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