【LinuxWorld Expo/Tokyo 2000 レポート Vol.7】コンパック、AlphaサーバーとLinuxによる並列計算システムを発表
2000年05月12日 00時00分更新
“LinuxWorld Expo/Tokyo 2000”初日の11日、コンパックコンピュータ(株)は、同社の『AlphaServer』とLinuxを利用して高速な並列処理を行なうシステム“Alpha
Beowulf(ベオウルフ)クラスタプラットフォーム”を発表した。1Uラックサイズ(厚さ43mm)の薄型サーバー『DS10L』を利用してラック1台当たり40台、37GFLOPSの処理能力を発揮できるという。さまざまなスーパーコンピューティングへの要望に柔軟に応えられるシステムとして、科学技術などの研究機関に売り込む。
“Alpha Beowulfクラスタプラットフォーム” |
“Alpha Beowulfクラスタプラットフォーム”は、同社のサーバーとLinuxを利用した並列計算処理システム。DS10Lは466MHz動作のAlpha
21264プロセッサーを搭載した1Uサイズの薄型サーバーで、今年4月下旬に発表されたばかり。サーバーの並列化には、安価な100BASE-TXか、米Myricom社の『Myrinet』のどちらかを予算に応じて利用できる。1台当たりの演算性能は0.932GFLOPS。19インチラック1台当たり40台まで搭載可能で、この場合の性能は37GFLOPSとなる。
利用可能なLinuxは英語版ディストリビューションのみで、同社ではRedHat
Linux 6.1と独SuSE Linux社製品で動作を確認しているという。システム管理用ソフトとして『CMU(Cluster
Management Utility)』が付属。各ノードの一元管理や、ソフトの一括インストールなどが可能で、運用コストを削減することが可能という。
価格は、DS10L4台でクラスタリングしたモデルが595万円から、8台構成が930万円から。出荷開始は6月中旬。
Beowulfクラスターは、低価格なコンピューターとLinuxを利用した並列化の概念。'94年、米航空宇宙局(NASA)のCEDES(Center
of Excellence in Space Data and Information Science)で構築された486/DX4マシン16台によるクラスターに“Beowulf(中世イギリス叙事詩の英雄)”と名付けられたのが始まり。市販のコンポーネントとオープンソースOSによる安価なスーパーコンピューティング環境を実現する考え方として注目を集め、米ロスアラモス国立研究所といった各種研究機関ですでに導入されている。
会場で開かれた発表会で、コンパックコンピュータエンタープライズ製品本部長の市原隆保氏は、「可用性アップを目的としたクラスターではなく、学術分野における並列計算性能の向上を目的としたシステム。レガシーシステムの置き換えではなく、ゲノム解読といった新分野で市場を開拓したい」と語った。
コンパックコンピュータエンタープライズ製品本部長の市原隆保氏 |